第5話 イヤだった言葉『人は人、自分は自分』
私は『人は人、自分は自分』という言葉があまり好きじゃなかったんですね。
でも、冷静に考えてみると、真意を突いたとても大切なことを表す言葉だと思います。
【自分自身を大切にし、他人の意見や価値観に左右されず、自分の道を歩むこと】
他人がどうであっても、自分を貫き、自分のしたいことをすることですね。人は皆違ってそれぞれの信念や価値観があるから、人に合わせるのではなく、自分の信念や価値観を大切にするということです。
最近、自分を顧みて、自分で選択したことはこれでいいんだ、と自分に言いたいときにこの言葉が思い浮かびました。
そして、もう一つ思い出しました。
これ、昔、母がよく言ってたなぁ……でも私は自分の子どもにはあまり使わなかったかもしれない。それはなんでだろう、と思いました。
それでこの言葉があまり好きじゃなかった理由もわかりました。
私がまだ小さかった頃、私や妹がおもちゃなど何か「買って欲しい」と言った時に、母はよく私達にこの言葉を使って
「人は人、自分は自分だよ。◯◯ちゃんちは◯◯ちゃんち、うちはうち。〇〇ちゃんは買ってもらったかもしれないけど、うちでは買わないよ」
幼児の理解では、言葉通りにしか受け取れませんので、◯〇ちゃんちは買ってもらえるけど、うちではこれは買ってもらえないんだな、と単純に思いました。
あーあ。あのおもちゃ付きのお菓子、欲しかったなー。でも、人んちは人んち、うちはうちなんだから、仕方ないんだよな。どうせこれ以上言っても無駄だろうな。人は人、自分は自分ってイヤだなー。
このように、私にとってこの言葉は、何か欲しいものがあっても、我慢して諦めなければいけないニュアンスが含まれた言葉になってたんですね。
母にとっては、人の家では子どもに買い与えているものでも、自分ちの事情や何らかの信念で自分の子どもには買い与えない、ということだったのかもしれないけど、私の受け取り方は少しズレていて、本来の意味とかけ離れてました。
小さい頃に掛けられた言葉や起きた出来事は、その時の視野の狭さから、本来の意味と全く別物として受け取っていることもあるんだろうな、と思いました。
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