046 エメラルドドラゴンの鱗(うろこ)の価値は

 3日後、ボクたちはイベント会場についた。


 係員の指示に従って、待機場所たいきばしょから見ていた。


係員A

「では、挑戦者2名と見学者2名で、合計 4,000 Versil《バーシル》をいただきます。」


ルナ

「お願いします。」


 ボクは、4人分のお金を支払った。

 そのあとで、質問することにした。


ルナ

「それにしても、見学者からも料金を取るのですね。」


係員A

「見学と言いながら、支援魔法しえんまほうを使う方がいらっしゃるのです。

 そういう値切りをするひとたちと話し合うことは時間の無駄むだ精神的苦痛せいしんてきくつうですから。」


青兵衛

「おっしゃるとおりです。

 ここの経営者けいえいしゃ判断はんだんは正しいです。

 機会があったら、商売の話をしたいです。」


係員A

御縁ごえんがあったら、どこかで出会うでしょう。」


黄庵

「エメラルドドラゴンのうろこを商品にするだなんて、貴重ではないのですか?」


係員A

「人間は、散髪さんぱつして切り落としたかみてるでしょう。

 ドラゴンから抜け落ちたウロコを有効活用ゆうこうかつようしています。

 ドラゴンさんも捨てているものがお金になってよろこんでくれています。」


紅丸

「しかし、おたがいに怪我けがをするのではないですか?」


係員

「エメラルドドラゴンさんは加減してくれます。

 それに、ほとんどの方は、あの胴に掛けられたまとに当てることが出来ません。

 ただし、首元の逆鱗げきりんには触れないでくださいね。

 強く光っているので分かるでしょう。」


ルナ

「ああ、なるほどね。

 首元から、マトは十分にはなしてあるね。」


ルナ こころの声

『異世界に来てから、視力もあがって見やすいなあ。

 視力が1.5の世界って、小さい頃でも見えなかったからなあ。』


 ボクは、うれしくなってしまった。


紅丸

「ルナ様、ご機嫌なのは良いことですが、気を引き締めてくださいね。

 たるんだ状態では、大けがしますよ。」


ルナ

「ありがとう。 気を付けるよ。」


係員

「お待たせしました。

 前のグループが記念撮影を済ませたら、みなさんの順番です。」


黄庵

「係員さん、確認したいのだが?」


係員

「なんでしょうか?」


黄庵

「見学者が仲間を治療したり、飛ばされてきたときに受け止めたりすると、どうなりますか?」


係員

「なにも問題ありません。

 注意事項は、実質的に参加するのに参加料をはらわないズルを防止ぼうしするためのものですから。」


黄庵

「それを聞いて安心しました。」


青兵衛

「黄庵は、参加する気になったの?」


黄庵

「いいえ、万が一のことを考えて聞いただけです。」


青兵衛

「ということは、真剣に見守った方が良さそうですね。」


 ボクたちは、貸し出されたけんたてにぎりしめた。


係員

「いってらっしゃい。」


ルナ

「いってきます。」

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