028 青紫の商才(8)月夜の秘密を知りたい

 なんと、青兵衛は女性で、探していた青紫あおむらさきだった。


青紫

「あれ? 月夜が鼻血を出して倒れちゃった。」


紅姫

「青紫? いろいろと聞きたいことが有るのだが、どうして、月夜様を呼び捨てで呼んでいるのだ?」


青紫

「あなたたち二人の命の恩人だから、呼び捨てで良いって言われたわ。」


黄花

「月夜さんがそう言ったのですか?」


青紫

「そうよ、あなたたちが様付け、さん付けで、月夜のことを呼んでいることから考えて、呼び捨てをゆるすなんて、特別扱とくべつあつかいみたいね。


 あなたたち二人が無事だったことが、相当そうとううれしかったということよね。


 おふたりとも愛されていますね。」


紅姫

「そうか、うれしいな。」


黄花

「月夜さんに、あんなひどい言い方をしたのに、大事に思ってくれるなんて、申し訳ないくらいに感謝したくなりますわ。」


青紫

「ところで、ふたりとも気にならない?

 月夜の反応って、思春期の男の子に近いわよね。


 月夜は、あなたたちのお姫様で女性だと思っていたんだけれど、もしかしたら、男性なのかな?


 いっしょにお風呂に入ってないのかな?」


紅姫

「そう言えば、月夜様は、いつもひとりで最後にお風呂に入りますね。

 風呂掃除をするからとか言っています。」


黄花

「そうなのね。

 でも、お洗濯を含む家事をしてくれる殿方なんて存在しないわよね。」


青紫

「わたしは、月夜って、年端のいかない美少年じゃないかって思うのだけど、賭けをしない?」


紅姫

「賭けって、もしかして。月夜様の性別をか?」


青紫

「そうよ。 わたしは男性だと思うわ。」


紅姫

「黄花? 医者として、どう思う?」


黄花

「声の高さや仕草しぐさからしても、女性よね。」


青紫

「じゃあ、紅姫はどっちにするの?」


紅姫

「黄花を信じて、女性に賭ける。」


黄花

「でも、どうやって、確かめるの?」


青紫

「脱がせばいいじゃない。

 当分目を覚まさないから、こんな好機チャンスは二度と来ないわよ。

 どうするの?」


 紅姫と黄花は、月夜に悪いと思いながらも、知りたい気持ちに勝てなかった。


青紫

「じゃあ、脱がすわよ。

 結果は最後に分かる方がいいわよね。


 上から、脱がせましょうね。


 まあ、きれいな胸ね。

 ほんの少しだけ、ふくらんでいるわ。


 残念、少女だったかな?」


紅姫

「なんて、綺麗な桜の花だ。」


黄花

「本当ね。 吸い込まれそう。」


 ふたりは気付いたら、月夜の桜の花に口づけをしていた。


青紫

「あらあら、いままで我慢していたのね。


 では、答え合わせしましょうね。


 御開帳ごかいちょう。」


 青紫は、月夜の下半分の衣服を脱がせた。


青紫

「すごい。 すばらしいわ。

 妖刀斬 紅丸と言ったわよね。

 となりに並べて欲しいくらいだわ。」


紅姫

「たしかに、ものすごい立派りっぱカタナだな。」


黄花

「信じられない。

 普段は、とても小さいから目立たなかったのね。」


青紫

「こんなにしたのは私のはだかだから、責任をとって、元の大きさに戻してあげなきゃね。」


紅姫

「なにをする気だ?」


黄花

「まさか、どくを吸い出す要領ようりょうで、くちでするつもりなの?」


青紫

「起きる前に済ますには、それが一番早いでしょ?」


紅丸

「だめだ。」


黄花

「やめて。」


青紫

「女性を犯す場合は、意図しない妊娠にんしんをするから駄目だけれど、男性にはあとに残る被害は無いわよね。」


紅丸

「それでも、だめだ。」


黄花

「ゆるさないわ。」


青紫

「わたしを納得させる理由を言ってよ。」


紅丸

「月夜を愛しているからだ。」


黄花

「あんなことがあったあとで助けに来てくれる男性は月夜だけよ。

 だから、わたしがくちでしたいわ。」


青紫

「じゃあ、わたしたちで月夜を大事にしましょうか?

 気付かれないうちに、月夜の衣服を元に戻しましょうか。」


 月夜の衣服を元に戻した。


紅姫

「じゃあ、わたしがをする。

 月夜様に頼まれたからな。


 黄花は、青紫に部屋の入り方を教えてやってくれ。」


黄花

「わかったわ。 月夜さんをよろしくね。 紅姫。」


紅姫

「ああ、もちろんだ。


 青紫、命を助けてもらったことは感謝している。

 ただし、月夜に夜這よばいを掛けるのは、次の機会にしてくれ。」


青紫

「わかったわ。

 でも、あなたたちは、もっと月夜にった方がいいわ。


 彼はわたしが身体をゆるしてもいいと思えたはじめての男性よ。

 とても、まぶしいものをもっているわ。


 もちろん、カタナのことじゃないわよ。


 じゃあね。 おやすみなさい。 紅姫。


 黄花さん、部屋の入り方について、よろしくね。」


黄花

「じゃあね。 紅姫。


 青紫は、こちらへ。」





 黄花と青紫は、とびらの前に移動した。


黄花

「このレバーを下に押して、手前に引っ張ってくれますか?」


青紫

「こうね。 あ、開いたわね。

 部屋の中は、何もないのね。


 引っ越ししたいわあ。

 でも、荷物を運ぶことが大変ね。」


黄花

「青紫。 もう一度、扉を閉じてください。」


青紫

「こうかしら。」


 青紫はとびらを閉じた。


黄花

「青紫。 もう一度、扉を開けてください。」


青紫

「こうかしら。

 すごい、実家に残してきた家具なんかが並んでいるわ。」


黄花

「この家の鍵は、明日、月夜さんから受け取ってくださいね。

 それまでは、家の外に出ないでください。

 戻ってこれなくなりますから。」


青紫

「ありがとう。

 黄花さん。

 注意事項まで、教えてくれるなんて、あなた良いひとね。」


黄花

「どうでしょうか?

 今回の件で、自信を無くしました。」


青紫

「考え事は夜はダメよ。

 悪い考えばかり出てくるからね。


 朝にしましょう。


 早起きは三文の得よ。


 おやすみなさい。


 良い夢を。」


黄花

「あなたもね。」

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