014 紅姫に会おう(6)性魔力に必要な適性について

月夜つきよ ルナ

紅丸べにまるひとほうって、女性じょせいだったの?」


紅姫べにひめ

「そうです。

 かくしていました。

 たびをするには男性だんせい姿すがたをした方が安全あんぜんですから。」


月夜つきよ ルナ

「まあ、そうだよね。

 女性なら、ボクと仲良なかよくしてくれるかもって希望きぼうはあるけれど・・・」


紅丸べにまる

「では、我々われわれ月夜様つきよさま屋敷やしきむかれてくださいませんか?」


紅姫べにひめ

「紅丸、そんなにあせらなくても。」


紅丸べにまる

「もったいぶらずに、こちらがお願いしたいことをほうはなしはやいでござる。」


紅姫べにひめ

「それは、そうね。

 いかがでしょうか?

 月夜様。


 「紅姫」と表札ひょうさつがある部屋へやまわせてもらえませんか?」


月夜つきよ ルナ

「でも、あの部屋はカギかっているからかないよ。

 部屋の鍵らしきものは見当みあたらなかったからね。」


紅丸べにまる

「なんと。」


紅姫べにひめ

「こじけられるかためしてみてもいいですか?」


月夜つきよ ルナ

「そうだね。

 ドアの、いや、とびらの開け方を説明せつめいするよ。」


 ボクは、自分の部屋のとびらを開けて見せた。

 そして、紅姫べにひめとびらを同じように開けようとしたが開かなかったことも見せた。


紅丸べにまる

「もしかしたら、なにかしらの封印ふういんがあって、部屋の持ち主にしか開けられないのかもしれませんな。」


紅姫べにひめ

「その通りかもね。

 月夜様、もしわたしが部屋のとびらを開けることができたら、わたしも住まわせてくれませんか?」


月夜つきよ ルナ

「ひとつだけ条件があるよ。」


紅姫べにひめ

「なんですか?」


月夜つきよ ルナ

「ボクと仲良くしてくれることだよ。」


紅姫べにひめ

「わたしのほうこそ、仲良くして欲しいですわ。

 そして、月夜様の美味おいしい料理料理を毎日食べたいです。」


月夜つきよ ルナ

「それを聞いて安心したよ。

 ボクの料理を気に入ってくれてうれしいよ。」


紅姫べにひめ

「では、挑戦ちょうせんしますね。

 おねがいて!」


 とびらはあっさりとひらいた。

 部屋の中には、なにもなかったが、広くて住みやすそうだった。


紅姫べにひめ

「月夜様、見てください。

 ひらきましたわ。」


月夜つきよ ルナ

「扉を閉めてから、もう一度、開けてくれますか?」


紅姫べにひめ

「いいけれど、2回目は開かないなんてことはないわよね。」


 紅姫は月夜の言うとおりにした。


紅姫べにひめ

「では、もういちど挑戦ちょうせんしますね。

 おねがいて!」


 もう一度、開けると部屋の中には、故郷こきょうのこしてきた家具かぐかれていた。


紅丸べにまる

「やや、なんということか?

 これは、紅姫様のまわりのものがならべられているとは。」


紅姫べにひめ

「もう手にすることはないと、あきらめていたけれど。

 ゆめみたいよ。」


月夜つきよ ルナ

「ようこそ、紅姫、紅丸。

 これから、よろしくね。」


紅姫べにひめ

「ありがとうございます。

 月夜様。」


紅丸べにまる

「かたじけない。」





紅丸べにまる

「月夜様、かさねてお願いがありまする。」


紅姫べにひめ

「ええ、ぜひとも、月夜様のわざ伝授でんじゅしていただきたいのです。」


月夜つきよ ルナ

「ボクは、けんかたは知らないよ。」


紅丸べにまる

「そうではなくて、拙者せっしゃ魔力まりょくそそいでくださった御力おちからのことでござる。」


紅姫べにひめ

「ぜひとも、お願い申し上げます。」


月夜つきよ ルナ

「あれは、性魔力せいまりょくと言いますが・・・」


紅丸べにまる

「せいまりょく。」


紅姫べにひめ

「せいまりょく。

 せいは、ひじりなるもののせいですか?」


月夜つきよ ルナ

性欲せいよくせいだよ。」


紅丸べにまる

「なんと意外いがいな。

 性欲せいよくせいとは。」


紅姫べにひめ

を、月夜様にまかせれば習得しゅうとくできますか?」


月夜つきよ ルナ

「それは必要ひつようないけれど、女性にはむずかしいとおもいます。」


紅丸べにまる

女性蔑視じょせいべっしでござるか?」


紅姫べにひめ

「これ、紅丸。

 くちつつしみなさい。」


月夜つきよ ルナ

「そうじゃないよ。


 ただ、恋愛対象れんあいたいしょうが女性であることがだい条件じょうけんなんだ。

 紅姫は女性だから、男性が恋愛対象でしょ?」


紅姫べにひめ

「えっ? そんなことですか?

 なら、問題ありません。


 わたしは可愛かわいい女性が好きですから。

 月夜様のような、ね。」


月夜つきよ ルナ

「そうなの?

 じゃあ、いいかな。


 第2条件は、恋人こいびととの愛情交換あいじょうこうかんのときに【め】ではなく、【け】を希望きぼうするという性的嗜好せいてきしこうが必要です。」


紅姫べにひめ

「それは、どちらかというと、【攻め】が好きですね。」


月夜つきよ ルナ

「それなら、【受け】をしてもいいと思える女性に出会える日をつしかないね。」


紅姫べにひめ

「それなら、月夜様となら、わたしは【受け】をしたいです。」


月夜つきよ ルナ

「ボクは駄目だめだよ。

 あきらめてね。」


紅丸べにまる

「月夜様は、紅姫様では、ご不満ふまんですか?」


月夜つきよ ルナ

「不満はないけれど、駄目だめだよ。」


紅姫べにひめ

「なにが駄目なのか、理由りゆうをおかせくださいませんか?」


月夜つきよ ルナ

「言いたくない。

 とにかく、駄目なものはダメ。


 とにかく、いっしょに生活することになるのだから、仲良くしてね。」


紅姫べにひめ

「ええ、仲良くしたいです。


 そして、月夜様の【攻め】をもらえるように精進しょうじんします。」


 ボクは、なにも言えなかった。

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