仲良し

 丸いハンバーグをみんなで囲んで食べた。

 不思議なことに、専門店で味わえるような絶品ハンバーグじゃないが、比較にならない安心さと、美味しさがある。


「美味かった」

「うん、美味しかった」


 俺と透夜の感想に、妻は不思議に思ったのか、傾げた。


「仲良くなったじゃん、透夜も凛々しくなってさ、なんかあった?」


 そりゃ気になるか。

 ただ、真実を話すことは、やっぱりやめた。

 きっと妻は、深く気にしてしまうだろう。

 彼女にまで重荷を背負ってほしくない。


「そう、色々あったんだ。男と男のなんとやら」

「へぇ、ついこの間まで悩んでたのにね」

「まぁ……嫌いじゃないよ」


 少しだけ関係は良くなったと思う。


「とっても仲良くなれていました! 私も、私のご友人もみんな仲良くできていました!」

「かなえさんの友達も別荘に? へー女の子ってこと……ふーん」


 ちょっと見方が変わってしまうじゃないか。

 これは誤解されないうちにちゃんとフォローしよう。


「良い子たちだよ。ちゃんと当番つけて、料理も洗濯も、宿題もやってさ、そういや美術委員会の課題ってどうなったの?」

「はい、八百原さん提案の小さな家が採用されるみたいです」

「マジ?」

「マジです!」


 学園の広さが分からない以上、想像でしかないが、小さな家が学園内にあるって、結構邪魔な気がする。

 面白ければ何でもいいってか……。


「はは、アンタも楽しそうで良かった」


 頬杖をつき、斜め顔にニヤリ、と妻は満ち足りた笑顔を浮かべた。

 

 


 




  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る