深夜の語らい
もう深夜も深夜。
ゲストルームのベッドで、天井を眺める。
「父さん」
「んー」
「智里さんって人と、なんで別れたの、なんで、母さんと浮気したの」
「聞くなよそんなこと。教えないぞ」
触れられたくないことを、平然と訊いてくる。
「でも、そうじゃないと俺って生まれてこなかったんだ。かなえだけが生きて、誰かと幸せになる。考えるだけで凄く怖い」
「兄妹でも、会えたことが嬉しい?」
「まぁ、うん、離れがたい人」
「重いなぁ」
「うるさい、父さんのせいだよ」
「……ごめん」
「う……ごめん」
お互い沈黙になり、次に話題も出てこない。
戸鞠さんも透夜と同じ気持ちで、離れがたい人、なんだ。
兄妹と認識なく出会い、惹かれ合って、恋人になったことを後悔していない。
だが、色々と課題は多い。
事情を知る俺や常務がサポートすることはできるけど、世間は厄介だ。
大人になれば嫌というほど困難が待ち受ける。
「透夜、その、将来子供とかは」
「……」
返事がない。
「透夜?」
隣のベッドを覗いてみると、枕を抱いて眠っていた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。