深夜の語らい

 もう深夜も深夜。

 ゲストルームのベッドで、天井を眺める。


「父さん」

「んー」

「智里さんって人と、なんで別れたの、なんで、母さんと浮気したの」

「聞くなよそんなこと。教えないぞ」


 触れられたくないことを、平然と訊いてくる。


「でも、そうじゃないと俺って生まれてこなかったんだ。かなえだけが生きて、誰かと幸せになる。考えるだけで凄く怖い」

「兄妹でも、会えたことが嬉しい?」

「まぁ、うん、離れがたい人」

「重いなぁ」

「うるさい、父さんのせいだよ」

「……ごめん」

「う……ごめん」


 お互い沈黙になり、次に話題も出てこない。

 戸鞠さんも透夜と同じ気持ちで、離れがたい人、なんだ。

 兄妹と認識なく出会い、惹かれ合って、恋人になったことを後悔していない。

 だが、色々と課題は多い。

 事情を知る俺や常務がサポートすることはできるけど、世間は厄介だ。

 大人になれば嫌というほど困難が待ち受ける。


「透夜、その、将来子供とかは」

「……」


 返事がない。


「透夜?」


 隣のベッドを覗いてみると、枕を抱いて眠っていた。




 

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