確かめたい

「いやいやいや常務、安直なこと言わないでくださいよ。透夜は絶対別れないって言ってるんです」

「まぁまぁ何も2人きりではありません、保護者として私か五十嵐さんが同伴すればいい、リモート可能でしたね。本部長から確認はとれています」


 俺に選択肢はないのか。


「若者の性欲を侮っていません? かなえさんはともかく、透夜は分かっててもヤリますよ、絶対」

「はは、辛辣かつ事実ですね。さすがに部屋は別々です。あと、かなえと同級生の子も何名か呼びますので」

「はい?」

「いい相手が見つかるかもしれません。透夜君は私達を除けば男1人です。女子はかなえを含めて確か5名でした。ご安心ください、みんなとても良い子です」


 訳が分からない。

 淡々と爽やかな笑顔で説明してくるけど、腹の中はどうなってるんだろう。


「いやぁ透夜は一途ですから」

「そうですね…………分かってはいるんですよ、私も。私自身の目で確かめて、次に行かなければね」


 眉を困ったように下げ、憂い気味に微笑んだ常務。


「次?」

「えぇ。さて、そろそろ戻らないと部長に怒られてしまいます。夏休みの件、よろしくお願いします」

「え、決定事項ですか?!」


 はははは、と爽やかな笑い声を残し、会議室から出ていった……――。


 

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