全ては単純なことだったのか?
この物語はまず、美しい音楽とスタッフロールから始まる。
無感情と画一はもう過去のことで、この街は今、死に体ながらもあちこちに模様がつき様々な表情を見せている。
ひび割れた壁や、元の形が想像できないほどぐずぐずに崩れ落ちた瓦礫の山。
茶色く飾られた草木も添えられ、随分と騒がしい情景になった。
灰色の街。
腐った空に太陽はのぼらない。
春ももうやってはこない。
暗闇は生き物を眠らせ、寒さは生き物を殺す。
この街の景色は夜と冬の理によって確かに守られていた。
巨大な静寂の中、時々聞こえてくる無機質な音は人の死を意味することを私はよく知っている。
他人にはほとんど出会さない。
まるでこの場所には人の悪意だけが存在しているかのようだ。
これほどまでに静かなスラムがあるだろうか?
「世界は終わったと、まだ気づかないのか?」
走馬灯のように、誰かの声がふつふつ聞こえてくる。
道路を行き交う車。交通量は多く、曲がった標識には"60"とある。
その路を脇からただ眺める自分のイメージ。
この場所に立てば分かる。あちこちから漂う怒りを感じずにはいられない。
小刻みに忙しなくペダルを踏み荒らす。
時々クラクションが騒ぎ立て、罵声も鳴り響く。
曇った窓からは運転手の姿が見えないが、互いが互いに憎しみを持っているのが分かる。
どんどん聞こえてくる。
車の色も車種もバラバラ。
記憶に潜む声。
混み合ってはいるが渋滞ではない。
無秩序に入り乱れ、とにかく進んではいる。
その路を脇からただ眺める自分のイメージ。
ぞろぞろと、声が列をなして脳へと流れ込む…。
「銃声、怒り、欲求不満。それが地球の音だ」
「宇宙にこそ居場所がある」
「ねえ、皆んなで昔話をしてるんでしょ?
"古き良き時代"…あの頃の話をしましょう。」
手帳を手にとりペンを握る。別に遺書を書くわけじゃない。ただ少しの間休んでいたいだけ。
Lines in the brain: Space is the Place(movie) by Sun Ra,The Way We Were / Try to Remember(songs) by Gladys Knight & The Pips
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世界はゲットーだ! TREND MONGER @tinpopo187
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