僕と風俗嬢!⑧

崔 梨遙(再)

1話完結:1100字

 また30代前半のお話。僕が風俗通いをしていた頃。



 その日、僕はいつもと違う店に行った。夜のお店の情報誌で、一目で気に入った娘(こ)を見つけたのだ。しかも、金髪外国人。名前はソフィア。そう、僕は外国人専門店に初めて行ったのだ。だが、初めての客は電話予約が出来ない。初回は、店に行って指名する。僕は金髪白人女性との性体験はあったが、いつもと違うドキドキがあった。店に行くと、ソフィアの写真があった。良かった。出勤しているようだ。


「〇〇時でしたら出勤してきます」

「じゃあ、〇〇時から90分で」

「ありがとうございます。〇〇時まで時間がありますが、外に出られますか?」

「いえ、待合室で寝て待っています」

「わかりました」



「崔様、そろそろお時間です」

「あ、もうそんな時間ですか?」

「それでは、〇〇ホテルの〇〇〇号室でお待ちください」

「あれ? 一緒にホテルに行くんじゃないの?」

「はい、ほんのちょっと到着が遅れております。スグに行かせますので、先に行って待っていてください」

「はあ……」


 普通、一緒にホテルに行くので、この時。少し違和感があった。



 ホテルで30分くらい待った。いい加減、待ちくたびれた。“別の日にしよう”と思った。店に電話をかけようと思ったら、ホテルの部屋の電話が鳴った。店からの連絡だった。


「すみません、もう帰りたいんですけど」

「まあ、そうおっしゃらずに」

「いや、もう別の日にします」

「いやいや、実はソフィアさん、急な体調不良で今日はお休みになったんですよ」

「え! じゃあ、僕、マジで今日は帰ります。別の日にまた来ます」

「いやいやいやいや、他の娘を行かせますので」

「いやいやいやいやいやいやいやいや、ソフィアさんだからこそ指名したわけで、違う女の娘なら嫌ですよ。いいですよ、別の日に来ますから。でも、おかしくないですか? 到着が遅れるとか、こっちに向かっているという話だったじゃないですか」

「ええ、こっちに向かっていたんですけど、体調不良で帰っちゃったんですよ」

「あの……もう帰らせてください」

「いやいやいやいやいやいやいやいや、いい娘を行かせますから。いい娘ですから」


 散々粘られて、その“他の娘”というのを待った。


 ノックされた。ドアを開けた。僕は度肝を抜かれた。“妊婦か?”と思うほどのビール腹。とにかくデカイ。金髪だが、黒髪だったら力士かと思ってしまいそうな女の娘だった。


「ヨロシクオネガイシマス!」

「すみません、僕、体調が悪いので帰ります」



 勿論、2度とその店には行かなかった。返金してもらおうかと思ったが、ややこしいので諦めた。金の無駄だった。ソフィアという女性には会いたかったけれど。







  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

僕と風俗嬢!⑧ 崔 梨遙(再) @sairiyousai

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

参加中のコンテスト・自主企画