第2話 森の動物達

〇迷いの森入り口(朝)○

  突然大声を出した智春に驚いた3匹のリス達は一斉に智春からは見えない、

  木の幹よりやや細めの枝に登って智春を観察することにした。

  智春は混乱していた。次第に頭痛も相まって不安になって来た。

智春「ほ、本当にどこだろ😥うぅ…頭痛いよぉ。😫ひ、人探して

…聞いてみようかなぁ」

  智春は目の前にある森の中へ入って行った。

  少し距離置いて智春の後ろを音もなくついて行くリス達

リスA「森の奥へ入って行くよ」

リスC「危険だ、危ないよ」

リスB「あの子について行こう」

  

◯森の中(昼)○

  リス達は智春に見つからない様に木の枝から観測していた。

  そこに一羽の梟がリスCの隣に止まった。

梟「ワシの縄張りになにかようか?」

  リスBとリスCが梟の声にびっくりしてリスAの腕を掴んだ。

  右腕にリスB、左腕にリスCとそれぞれしがみついた。

リスB・C「うわっ⁉︎😵」

リスA「静かにしろよ、バレるだろ😠」

  リスCは体を震わせて、リスBは固まってしまった。

リスC「喰べられちゃうよー💦」

  リスAは梟に気付いていたが平然としていた。

  梟より智春に見つかる方が怖くて小さな心臓がドキドキしていた。

  何度か後ろを振り向かれ見つかりそうになったが、そこは小動物の得意技、

  生い茂る草むらや自分達より大きい岩の後ろに隠れたりしていた。

  梟はリス達に向かって翼を音もなく大きく広げた。

梟「ホッホッホー。喰べやしないよ、何か用事のぉ?」

リスA「用はないんだ」

  梟は広げた翼を元に戻す。

梟「じゃあ、どうしてワシの縄張りにいるんじゃ?」

  リスBは喰べられないと安堵しリスAの腕から離れて智春を指差した。

リスB「オレ達、あの子を見てたんだ」

梟「ほぉ、人間の女の子なんて珍しいのぉ🤔」

リスA「だろー。だから観察してるんだ」

梟「なるほど、でも観察するのにヒト様の縄張りに入るのはよくないじゃろぉ」

  どの世界でも自分または味方以外の縄張りに入る事は、自殺行為にあたる

  くらい危険な行動である。ましてや動物世界なら喰われても仕方がない。

  リス達は謝った。素直なリス達に梟は穏やかに頷いた。

  リス達を許し、梟も智春を観測することにした。

  一方智春は歩き疲れていた、時折足首をくるくる回している。

  あれほど痛かった頭痛が、いつの間にか治っていた。

  というか痛みのことを智春はすっかり忘れてしまっている。

  何本もある木の中に一本丁度良い具合に切られている、

  切り株を発見した智春は制服の汚れなんて気にもせず深いため息をついて、

  まるで老婆の様によっこらせと座った。

智春「さっきから人に遭わない、😢木こりの1人や2人くらい居てもおかしく

ないのに。どこを見ても森ばっかりもう少し奥に入ってみようかなぁ」

  切り株の上から降りて再び歩き出す、

  それを見ていたリス達と梟は智春の後を追う。

  さっきまでいた場所からさらに奥へ進んだ智春とリス達、

  梟がリスに話しかけてきた。

梟「あの子、どこまで行くんじゃ?」

  リス達は両手を広げて首を右に少し傾けた。智春の独り言は聞こえても

  『木こり』という存在が分からないのだ。どんどん森の奥へ進む智春。

  その後ろについて行くリス3匹と梟。

  2時間程度歩いただろうか智春は再び切り株に座った。梟は異変に気付いた。

  景色が変わらない、さっきから同じ場所をぐるぐる周っている。

  智春観測に夢中になり過ぎた。リス達は気付いているのだろうか。

梟「おーい。リス達よ今更だがまずい事になった」

リスA「なんだ?😶」

リスB「お腹空いた?😐」

リスC「やっぱり喰べられる?😰」

梟「喰わない。喰って欲しいのか?😈」

  リスCはブンブンと首を振った。

  リスB森の奥で見つけたどんぐりを食べている。

  リスBの頬袋がもう少しでいっぱいになりそうになっている。

リスA「まずいとは?」

梟「迷いの森の罠に掛かったようじゃ」

  リス達青ざめる。

  リスBは手に持っていたどんぐりをぽろっと落とし、

  リスAは頭を抱え、

  リスCはその場でぐるぐる周りはじめた。

  梟はリス達の反応が面白くて思わず笑ってしまった。ほーほっほ

リスA「笑いごとじゃないだろ!どうすんだ!!」

梟「あの子に知らせるんじゃよ、再び歩き出す前に」 

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