第9話 キキとの再会

 しかしジョウは昏睡状態だった。付き添いのお母さんによれば、最初は、最近楽しい夢が見られるとうれしそうだったのに、段々寝てばかりになって、とうとう起きてこなくなったそうだ。ベッドで意識不明の重病のはずのジョウは確かに笑っているようで、しあわせそうに見えた。


 病院を出たとき「優ちゃん!」という明るい声に振り返ると、そこに束ねていない長い髪の高校生の美人がいた。あのラベンダの良い香りがした。口調はとても柔らかく、メガネ越しで無い目が優しく笑っていた。誰かに似ているなあと、ぼおっと思うと、

「わたしよ。キキ!」

 そうだ、夢の中のあのキキさんだ。えっ⁉

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