第8話 消えたキキ

 それから数週間後、僕がやっと出来上がったメガネをかけて登校すると、キキさんがどこにも居ない。クラスメートに訊くと誰もが「吉沢樹喜? 誰それ?」と答え、山本先生も誰もキキを知らない。キキの存在が消えた。いや、存在した証すら消えていた。壁に貼ってあったキキさんの表彰された絵も習字も無い。焦った僕は「矢藤君は?」と聞くと、今入院中だと先生が教えてくれた。ジョウならきっとキキのこと知っているはずだと思い、病院に向かった。

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