第3話 優太の夢の中でのキキ
その後、僕とキキさんとの接点はなかった。でもそれから僕はキキさんの夢をよく見た。夢の中のキキさんは、束ねていない長い髪で、メガネはかけず、大人の美人だった。何よりも裸眼の目が優しく笑っていた。逆に夢の中で僕はメガネをかけているのではっきり見えた。キキさんの口調はとても柔らかく、言い方がキツイ昼間のキキさんと真逆だった。
「矢藤君の言っていた話だけど・・・」
「超能力はねえ、訓練しないと使えないのよねえ」
僕の話題が超能力の事だとキキさんがすぐ分かったのに驚いた。まるで僕の心が読めているようだ。実は僕はある弱い超能力を持っていた。読心術だ。でもその能力は不安定で、いつも発揮できるとは限らず、つまり、使い物にはならなかった。というか、むしろ邪魔だった。聞きたくない他人間の嫌悪の感情は良く聞こえてくるのだが、肝心の他人からの僕への感情は全く聞こえて来なかった。こんな中途半端な超能力を持つことを僕は誰にも明かしたことが無かった。でも夢の中のキキさんは僕が超能力を持つことを前から知っているように見えた。
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