ドラグア、出撃(で)る!

 格納庫で待機しているライカは精霊機装ドラグアに乗り込み待機している。


『初陣だな。いくぞライカ』

「おう! 頼んだジュルド!」


 四枚羽根のドラグアの主武装はライフル状のプラズマキャノン。長砲身の銃を両手に構えた状態で待機している。

 火と雷の複合精霊であるジュルドの権能とドアクアのドラゴンハートリアクターの組み合わせを活かした兵装となっている。

 ライカのMPを使い、極大化した精霊魔法も行使可能だ。


「私達もいきますよフィネラ」

「おっけー!」


 彼女たちも巨大な羽根がついた精霊機装に搭乗している。

 リスペリアの機体はそれぞれ宿った精霊の名がつけられた。リスペリアの機体にはザナ。フィネラの機体にはディーリットだ。


 斬り込み隊長でもあるライカのドラグアが精霊機装用カタパルトに乗り射出撃準備を整える。

 

「ドラグア、出撃る!」


 1キロ近いカタパルトは、配置された山の中腹にある隠しデッキに通じている。

 ドラグアが射出され、空中に踊りでる。続けてディーリットが出撃し、最後にはザナだ。


「俺たちは砲撃支援だ」

「撃ち落とすよ!」


 ドバとバムンの精霊機装には飛行能力はない。

 ドバの機体は砲撃機ながら厚い装甲と見た目によらぬ運動性能で近接戦も可能。トマホークを二本装備している。投げたらブーメランのように戻ってくる優れものだ。

 バムンは完全に狙撃機。潜伏して相手に大火力を叩き込む。


 飛来するドラグアを確認して、惑星ペレンディの成層圏で迎撃態勢を整える宇宙帝国のアサルトマニューバクローズ。

 無人機を先行させ、様子をみていた彼らだったが、空中戦に切り替えた。


「敵機体確認。マニューバクローズと思われますが、材質不明。――ぐあああ!」


 斥候担当の空挺部隊がドラグアの砲撃によって爆散した。


「一撃でだと?! なんだあの出力は!」

「速い! もう接近してきます! 大気圏内戦闘機並みです!」

「無人戦闘機を差し向けろ!」


 ドラグアに狙いを定めて長射程のミサイルを放つ宇宙帝国軍の無人戦闘機。


「させない! ホーリーショット!」

「マジックボルト!」


 リスペリアとフィネラは魔法ならぬライフル形状の魔砲を使い、飛来するミサイルをことごとく撃ち落とす。


「ならばこちらも!」


 ドラグアは主翼を水平状に展開して装備されているミサイルを斉射した。

 ミサイルは敵無人戦闘機編隊目がけて飛翔する。途中、分裂して無数の小型ミサイルとなって無人戦闘機群に襲い掛かる。


 被弾して海面へ墜落する無人戦闘機。マイクロミサイルは一撃で爆散する威力だった。


「あんな小型ミサイルで! 馬鹿な!」


 驚愕するサイボーグ兵たち。


「連中もミサイルが栽培した弾薬とは思わないだろうな」


 苦笑するライカだった。自分で目の当たりにしても納得し辛いものがある。


「次はあなたたちだよ~ ファイアエクスプロージョン!」


 魔砲から放たれるファイアエクスプロージョンは炸裂する火球だ。

 遥か上空にいるアサルトマニューバクローズに被弾すると、大爆発が生じて周囲のアサルトマニューバクローズまで吹き飛んでしまった。


「ありゃ。中位魔法でこれだけの威力がでるんだね~」


 ファイアブリット、ファイアボール、ファイアエクスプロージョン順で威力があがっていく。フィネラが使える魔法は上位魔法が残っている。ファイアストーム、テンペスト、フレア、エックスフレアなどの大威力魔法は温存しているのだ。


『まだこんなものではない。一気に成層圏に上がるぞライカ!』

「おう!」


 降下しながら攻撃してくるアサルトマニューバクローズを撃破しながら、上昇するドラグア。

 レーザーやミサイルなどは躱す。多少の被弾はものともしない。


 無詠唱魔法と魔砲による同時攻撃。雷撃と高エネルギー弾がアサルトマニューバクローズ部隊を襲う。

 宇宙帝国軍のアサルトマニューバクローズはドラグアに近付くことさえも困難を極めた。


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