第2話 惚れ直したぜ!!
「やっと昼休みかぁ…」
「涼太!飯食おうぜ!」
「今日もあそこに行く?きっとルカちゃんも来ると思うけど?」
「思わなくても来るよ…今日もあそこで食べるって言っちまったからな…」
俺たちの言うあそことは、学校にある大きな"中庭"の事。
そこには中高の全校生徒が休み時間を過ごす場所としても使われていて、昼食なんかもそこで食べることも多い。
全校生徒が集まるだけに、中等部と高等部が交流する場でもある。
そして、当然…。
「涼く~ん!」
ルカが手を振って大声で俺を呼んできた。
中庭のベンチに座った俺達は昼飯を食べ始めた。
俺の弁当はルカが作ってくれたお手製物、正直「旨そう」以外の言葉は浮かばねえ…。
中には俺の好物の1つである"メンチカツ"が入っていた。
他のおかずも旨そうだが、メンチカツがあったのは嬉しい。
ルカの持っている弁当の中身を覗くと、俺と同じメンチカツが入っていたが、それ以外はほぼ別物だった。
「涼くん!」
「ん?」
「はい!あ~ん!」
ルカがそう言うと、箸で俺の弁当のメンチカツを持って俺の口に入れようとしていた。
「おいルカ…そういうのももうやめろよ…周りに見られてるだろ」
「いいじゃんかよ!」
「よ!ご両人!」
「お前らな…」
寺島と兵藤が俺を茶化してやがる…。
と言ってもいつもの事だけどな…。
俺は観念してルカからの『あ~ん』を受け入れた。正直メンチカツは旨い…。ルカは本当に料理も上手だな、本当に嫁になってくれたらどれだけ…いやいや何を考えているんだ俺は!!
ルカはあくまでも"妹"…そう、妹同然の幼馴染みだ!ましてや恋愛感情なんて…。
「涼くん!次は私にもあ~んして!私には卵焼きを頂戴!」
「ったくよ、ほら、あ~ん」
「あ~ん!ん~!」
自分で作っておきながら旨いと思うとは、自画自賛もいいところだとは思うが、味が良いのは本当だからな…。
食事を終えて世間話をした後に昼休みは終わった。
俺のクラスの5時間目は体育だ。
しかもバスケだ!燃えるぜ!!
「ファイト~!!」
(お!この声援の主は!?)
俺は試合中であるにも関わらず声をしている方に目を向けた。
応援しているのは、クラスの学級委員にしてマドンナ、
綺麗なショートの黒髪に、ほほえましいほどの小顔!
まるで人形のような美しさだ・・・。
ああ、八雲さん今日も可愛いなあ・・・。
「おい!天道!!ボール来たぞ!!」
「え!?ぐはっ!!!」
お、俺としたことが・・・八雲さんに見とれてしまってバスケットボールを見ていなかった・・・。
これがドッヂボールだったら顔面セーフとかになるが・・・。
バスケットボールは固いからな・・・。
「おい!天道!」
「大変だ!保健委員!天道を保健室へ!!」
◆
あれ?俺いったい…。
あ、そうか!さっきボールが当たって今保健室に運ばれたのか…。
「天道くん、大丈夫?」
んこの声は?
八雲さん!!??
「八雲さん、どうして?」
「先生が"学級委員として着いていて"って…」
先生ありがとう!!
ボールぶつけた奴もありがとう!!
って、喜んでいる場合じゃない!
今の俺は鼻に絆創膏を貼った変な顔だ…。
なのに、八雲さんはそんな俺を分かってくれている…。
そりゃ、理由が判明しているからな…。
「そうだ、先生がね、まだ気分悪いならもう帰っても良いって言ってるけどどうする?」
「ああ、もう大丈夫だから最後まで残るよ!」
八雲さんにここまでさせたんだ!
このまま帰れるか!
「そういえば、天道くんって、いつも中等部の女の子と仲良いけど、あの子はどういう子なの?」
「ああ、あいつは…」
俺はそのまま八雲さんにルカの事を話し始めた。
幼馴染みであること…。
昔「お嫁さんになる」って言われたこと…。
今でも「お嫁さんになる」って言っていること…。
なんでも話しちまった。
八雲さんって、清楚に見えて結構表情豊かなんだな…。
惚れ直したぜ!!
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