第11話 ケツに入れた最終兵器

 そして放課後。俺はおとり作戦を決行すべく、ケツにローターを入れたまま、教室で自習をしていた。教室内には音ノ葉を含めた女子数人が、残って自習をしていたが……テスト前でもないのに、こんな人数が残ってるのはおかしい。


 これは俺がいるからで間違いないだろう……自意識過剰に思われるかもしれないが、実際にそうなんだから仕方ないだろ。


 ちなみに滝宮さんは三年生のため、俺らのクラスにいるのは不自然ってことで、今回の作戦はお留守番となっている。でも護身用にと、俺に催眠アプリ入りのピンク色のスマホを貸してくれていた。まぁなんだかんだ、滝宮さんも協力はしてくれるんだよな……。


「……」


 そんなことを思いつつ、自習をしながら周囲を気にしてみる……確かにみんなの視線は俺の方を向いていた。全員が全員、俺のことを催眠にかけようと狙ってるわけじゃないとは思うけど……ならこれ単純にエロい目で見てるってことか? それはそれで普通に嫌だな。


 ……でも。今の俺のミッションは、催眠アプリを持っているヤツを炙り出すことなんだよな。そのためには、相手を興奮させなきゃいけないのだ……。


「はぁ……」


 ため息を吐きながら、シャツのボタンをひとつ開ける……これじゃ弱いか?


「……」


 それならと俺は、椅子から腰を浮かせて……◯んポジを直した。すると……なんか息飲む音が聞こえてきた。いいの? これが正解なの?


『ピコン』


 スマホに通知が……音ノ葉からだ。


『うわ、エッッッッッッッッロ!! その調子で動かし続けましょう、隆太様!!』


 どんな調子だよ。俺はどんだけ◯んポジを動かせばいいんだよ……。


『次は両手で揉み込むようにいきましょう!!』


 うどん職人じゃねぇんだよ……はぁ。ってか、さっきからケツに違和感が凄いし。役に立ちそうにもないから、これこっそり抜いてこようかな……?


「……」


 このままだと何も集中出来ないと思った俺は席を立ち、トイレへと向かった。


 ──


 トイレに行ってる廊下の途中、背後から女子に声を掛けられた。


「江野君ー? どうしたの、休憩?」


「いや……トイレ」


 答えつつ、俺は警戒を強める。確かこの女子の名前は篠田……彼女が好きなAV男優の話だの、男性アイドルの誰々は◯んこデカそうだの、教室内で喋っているのを俺は聞いたことがあったのだ。


 そう、いわゆる中学の野球部男子タイプ……そんなヤツがもし催眠なんかを手に入れたら、どんな行動をするかなんて分かりきっている。


「そうなんだ……ねぇ、面白い動画があるんだけどさぁ。一緒に見ない?」


 見ねぇよ。これ絶対来るな……カウンターを用意しなきゃ……いや、俺から仕掛けるべきか? だが、こんな廊下で催眠をかけるわけにもいかない……人通りの少ない場所におびき寄せるべきか?


 思った俺は早歩きで移動する……。


「どこ行くの? トイレそっちじゃないよ?」


 言いながら篠田は俺について来る。よし、このままおびき寄せて……。


「……」


 校内にある人気のない行き止まりの場所まで来た。よし、あとは催眠をかけるだけだ……! 俺はポケットに入れていた滝宮さんのスマホを取って、催眠をかけようとした…………が、即座にそれは奪い取られ。放り投げられてしまった。


「あっ……!」


「ふふっ、何する気だったのかな? そんな可愛い色のスマホ持っちゃって……これも音ノ葉から借りたものかなぁ?」


「……!」

 

 篠田は、このスマホを音ノ葉の物だと勘違いしているようだが……どうやらこの反応、俺と音ノ葉の関係を知っているのか……!? 確かに音ノ葉と教室で話す回数は多少増えたかもしれないが、たったそれだけで……!?


「まぁ私のものになるんだから、どうでもいいんだけど。ほら、これ見て……」


 そして案の定、篠田は俺に催眠をかけてこようとした。とにかくここは、目を瞑って冷静に回避するしか方法はない……!!


「……」


「……ふふっ、目なんか瞑っちゃって。じゃあ…………はい」


 そして俺は耳に何か装着させられた……これは……イヤホン!? まさか……催眠音声か……!? は、早く取らなきゃ……!!


「だーめ。手はお膝」


 だが俺の抵抗も虚しく、俺の両手は篠田に押さえつけられていた。クソ……力が強すぎる……! そして耳からは謎の電子音が…………ああ。やべぇ、なんかボーッとしてきた……………………たっ、助けてくれ…………音ノ葉!!















「…………………………お゛っッ♡!!!!!!??!??!?」


 ──刹那。俺のケツの奥に入れてた最終兵器ローターが、激しいほどに振動してきた。

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