幕間 其ノ参 希望
決着の
白帝界、位置は
「私は
気合いを入れ直して、
「ここまで来たんですもの。 なんとかなるはず」
時間は更に、
◇◇◇
ルクスに位置するサーヴァンツ家の別荘、地下二階。
「安置所行きですよね」
「当然でしょう」
心なく、交わされる確認。
『……』
二人の動きが止まる。
「……
「当然でうしょ」
心なく? 交わされた確認。
追い打ちをかけるようにシーツがもぞもぞと動き出した。
とっさに手を放し、その場から離れる。
『
戦闘を
張り詰める空気。担架から何者かがむくりと起き上がる。
「うーん、良く寝ました、わ? ギャアアアッー!」
それに対し、
「ストップ、ストップ! 生きてますわ!」
『あり得ません、処分します』
「っ、ミハイル・サーヴァンツ! 三十三歳! 無断で家を飛び出して両親の雇った
『……後で連絡させていただきますね』
「やめてくださいまし!?」
突っ込みどころが
一息ついて、ミハイルが二人に質問する。
「あの、リザ様はどうしましたの?」
世の中の疑問が頭の中にいっぱいのメイドが答える。
「ミハイル様から受け取った手紙を見て、白帝界へ向かいました」
「……そうですか。宿屋で何回も書き直したので百回は見返して欲しいですわね。それともう一つ。どうして私が生きているのか、分かる方っています?」
怖がっていたメイドが当然に答えた。
「それは恐らく、
「へぇー……」
『絶対によく分かってませんね』
ミハイルは確かにあの時、命を落とした。しかしその直後に血争劇総原則其ノ壱から三つ目の罰則で「一定時間意識を失う」ことが上書きされたため、奇跡的に生存した。……雷魔法が直前で弱められなかった場合、こうはならなかっただろう。
「まぁ何でもいいですわ。生きているならばやるべきことは一つ。リザ様を助けにっ、あれ」
立ち上がろうとするが、力が入らず
「……あの、回復とごはんをお願いしてもいいですか? てへぺろ」
疑問メイドと当然メイドは顔を見合わせてから、ニッコリと答えた。
『賞与の方、期待していますね』
◇◇◇
そして迷宮を
魔法の罠に苦戦していた。もとい、全部引っ掛かっていた。
落とし穴と針山。
「危ないですわね! 私、穴だらけのセーターになる所でしたわ!」
複数の魔法陣から放たれる炎と氷。
「熱いですわ! 寒いですわ! もはや常温っ!」
誰もが知らないと答えるであろう、ニッチな問題。
「ピンポーン! 答えは、『マジ宇宙』ですわ! ドヤ」
ブブーという不快な音とともに鉄球がクイズ会場を破壊しながら転がってきた。
「分かるわけないですわ!」
気がつけば、入り口に戻されているミハイル。
「はぁ……はぁ……これを作った方はここに来る者を
そう、この迷宮の本質は罠ではなく迷路そのものだった。罠など仕掛ける必要もない程に高度な
「でも私は絶対に諦め、おわ!」
音を立てて地面が揺れる。それと同時に辺りが少しずつ崩壊していった。
術者の集中が途切れたのだ。
「もしかして……。あっ!」
崩落と共に、宝玉への道が開かれた。
「……私は確信しましたわ。絶対にリザ様が勝って、道を
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