第六幕 天秤
ラウド密林から離れた草原に、ルクスという城壁に守られた大都市がある。その
城下町のはずれに塀で囲まれた
その一室、客間にて。木製の椅子に座りながら窓の外の曇った空を見つめる、
「……」
激闘を終えた後リザはミハイルを抱え、手紙の内容の案内を受けてこの豪邸にたどり着いた。到着すると、
客間のドアが開く。
「リザ様、調子の方はいかがでございましょうか」
この屋敷に
「アタシの事なんかどうでもいいわ……」
「
「……」
流れる沈黙。
リザはというと、メイドを気にも留めずに、
リザ・ノートン様
元々、私の実家は魔女として実力を向上させるということは全く考えておらず他の魔女に見つからないようひっそりと暮らしていました。そしてとにかく人のため世のために家事全般の技術や
そして。毎日穴が開くほど魔法書を読んだり、筋トレをしたり、何度も魔法を放ち研究、血争劇に勝利して勝ち上がっていく姿を見せてくれたこと。これは私にとって大きな葛藤を生み出しました。敗北した魔女はみな絶望し、打ちひしがれていましした。それは私の心に黒いなにかをもたらしたのです。言い表せない、負の感情。そこでもし、リザ様が負けてしまった事を考えたら気が気ではありませんでした。しかし「リザ様のようなかっこいい魔女になってみたい」と強い憧れも抱きました。モノクロのような景色だった世界が、晴れ渡ってみるみると明るくなったんです。果たして魔女の在り方は何が正しいのか。一緒に考えてはくださいませんか。心優しく、強い貴女様ならばきっと正しい答えを導き出すことができると考えております。楽しくも考え深い、かけがえのない日々を与えてくださり本当にありがとうございます。
変化魔法の縛りで確たる証拠を出せないこと、申し訳ございません。
貴女様の幸せが、私の幸せ。大好きです。どうかご自愛ください。
ミハイル・サーヴァンツ
(この世界での年号、月数、日数である)
そして手紙には、捕らえられている期間で収集したであろうレイチェルに関する経歴を記した文書と、とある
――色んな他愛のない話もしたけどアタシの友達だった、なんて
両手をグッ、と握りしめて覚悟を決める。
「アタシ、行かなきゃ」
指を鳴らして光を纏う。そして瞬時に
そして窓を開けて。勢いよく飛び降り、
「必ず復讐してやるわ」
声色は、闇よりも深い。
受け継いだ希望を
杖は、全速力で「白帝界」へ向かった。沢山のメイド達に見送られながら。
『いってらっしゃいませ、リザ様。どうかその道に、
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