第27話 宝物

 1990年 5月


 勝也、伊藤、萩原、妙香は酒田辰之助の葬儀に参列した。

 酒田は、泣きじゃくり勝也の胸を借りる。

「爺ちゃん、死んじゃった‥」

無理もない酒田学は爺ちゃん子だった。

5人は、焼き場のロビーであの夏の思い出話をした。

 結局、与島卓は逮捕され、母、美登里、川井達5人も死体遺棄で逮捕された。

 残された与島太助は、あの夏の5年後に老衰で亡くなっていた。

 酒田は、「爺ちゃん、死に際に〝宝はある!あの場所に〟って俺に言うんだ‥あるのかな?」と話す。

伊藤は、「死に際に言ったのか⁈じゃあ、やっぱりあるんだよ!確かめに行こうぜ!」と皆を誘う。

萩原は、「嫌だよ!また死体でてきたらどうするの?」と反対する。

勝也が「死に際に、嘘言うかな?俺も確かめたい!

あの夏の理由を!」と伊藤に賛成する。

妙香も横で頷いた。

 結局、5人は車でまた〝あの松のある千倉〟に向かう事となった。


 数日後


 それぞれスコップを持った大人になった4人の男達が掘る。

 あの死体のあった反対側を掘っていた勝也が

「何かあるぞ!」と叫ぶ。

皆集まり、堀進める。

 暫くして、出て来たのは〝革製の鞄〟であった。

鞄を取り出して開ける。

 

 中から出て来たのは、〝洋盤の古いJAZZ〟のレコードと一枚の紙であった!


 紙には


〝いつの日か平和な世がきたらまた聴こうぞ〟

              与島太助

              酒田辰之助


の紙が入っていた。


 萩原は、「戦争中は、アメリカのレコードは政府に提出する命令が出ていたそうであ〜る」と説明した。

酒田は、「爺ちゃん、先生やってたから、埋めるしかなかったんだ」そう言った。

 そんな5人を、あの夏と同じ日差しと風が迎えた。


   完

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昭和!埋蔵金探検少年団 霞 芯 @shinichi-23

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