第3話 お年玉の貯金通帳

 「いいでしょ!出してよ貯金通帳!」と勝也は埋蔵金発掘の為の資金として、お年玉を貯めた貯金通帳が欲しがった。

「だから!何に使うの!また、オモチャでしょ!

ダメ!」母、澄江は、一向に出そうとしない。

勝也は、「訳は言えないけど、皆んなの為に使うんだよ!僕の貯金通帳でしょ!」と鼻の穴を広げる。

「使い道言えないなら出さないから!」と澄江は〝あかんべー〟をした。

「ケチ!」と勝也は、諦めて昼ご飯をたべずに、家を出た。


 午後1時 三丁目公園


 公園には、萩原が来ていた。

萩原は、運動は苦手だったが、勉強ができた。

背は高くメガネをかけた優等生であった。

 勝也は、そばの酒屋、〝桝屋〟で買った瓶のコーラを片手にそばによる。

 「どうだった?」と聞いて、コーラを一口飲み、

萩原に〝飲むか?〟と瓶をむけるが、萩原は、〝イイヤ〟とジェスチャーし、「だめだった‥全財産は、1800円‥」としょげている。

「僕もだよ、母さん〝通帳〟出してくれないんだよ!ひどいよな!俺の貯金なのに」とまた、コーラを一口のむ。

「これじゃ、電車賃すらないね、〝埋蔵金発掘〟なんて無理かな?」と萩原は弱気である。

勝也は、「そうだな‥伊藤と酒田がどうかな?当てにならないかな?」と不安げである。

 そんな時、伊藤と酒田が集まってきた。

二人とも笑いながらはしゃいで近づく。

勝也が「どうしたんだよ?ずいぶん絶好調じゃん?」と話かけると、伊藤が「酒田!見せてやれよ!」と酒田を煽ると酒田が、「ジャン!」と一万円札を3枚出した!

勝也と萩原は、「すげ〜!どうしたんだよ?その金⁈」と問いただす。

酒田は、「爺ちゃんが、〝軍資金〟って渡してくれたんだよ!〝埋蔵金〟みつけたら10倍にしろ!って言われたけど」と笑いながら鼻水を垂らす。

伊藤は、「俺は、みんなとプールいく、っていったら、3000円もらえた!お前達は?」と聞いてきた。

勝也は、「ゴメン!二人合わせて4000円ってとこだ!」と酒田を拝む。

伊藤は、「じゃあ、みんなで、えっと‥」

「3万7千円程度」と萩原がすぐに計算した。

勝也は、「酒田の爺さん様々だ!」と笑った。

伊藤は、「景気づけに、アイスでも食べようぜ!」と〝桝屋〟に行こうとしたが、

「ダメだよ!計画的にいかないと、何が起こるかわからないから‥」と萩原に反対された。

勝也は、「大丈夫だよ、50円くらい!」と伊藤に賛成して〝桝屋〟に向かった。

「ダメだよ〜」と萩原は、3人を追いかけた。





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