第2話 墨

 伊藤一男は、萩原健太郎はぎわらけんたろう酒田学さかたまなぶに埋蔵金の話をした。

二人共大賛成だった。

明日からは、夏休み、明日それぞれ支度をして明後日出発となった。


 酒田学は家に帰り、祖父、酒田辰之助さかたたつのすけに埋蔵金の話をした。

 酒田辰之助は、不味そうな顔をして、考え込み、

自分の部屋へ入り、墨をすった。


 翌日


 磯野勝也の家の電話が鳴る。

母澄江が、「勝也!伊藤君!」と2階にいる勝也を呼び出した。

「まずいよ!勝也!酒田の爺さんから呼び出しだ!

10時に酒田ん家に集合な!」それだけ言って慌ただしく電話を切った。


 酒田邸


 四人は、酒田辰之助の部屋で並んで正座をしていた。

 辰之助は、「里見家の埋蔵金を探しにいくそうだな?小松寺を掘るつもりか?」と顎髭を撫でながら問いただす。

 「はい」四人は、恐る恐る答える。

「無駄じゃ!」辰之助は、そう言って一つの掛軸をだす。

 「まず、これじゃ」と掛軸を床に広げる。

「我が酒田家は、先祖を辿ると里見家の家臣であった。」と家系図を指差し説明する。

「そして、これじゃ!」と一枚の地図を出す。

「これが、埋蔵金の地図じゃ!」と広げた。

辰之助は続ける。

「小松寺が、ここ、で本当に埋めてある場所は、北に一里ほどいった、松の下じゃ!」と自信ありげに説明する。

四人は、余りのことに目を丸くして地図を見る。

そこには、小松寺からの地図が、書かれていた。

「何故、今まで堀おこさなかったか?と思うであろう?何故ならもうやったからじゃ!何度も先祖の方達が挑んだが、見つからなかった。だから、止めておけ!わかったな!」と言い聞かせた。

 だが、酒田学は、宝の地図を胸へしまった!

「やるよ!爺ちゃん!俺たち見つけるよ!」と意気込む。

 他の三人も「やらせてください!」と頭を下げる。

辰之助は、「お前達は、全く‥勝手にせい!」そう言って背を向けた。

 四人は、深くお辞儀をし、部屋を出ようとすると

辰之助は、「車には、気をつけなさい!」と注意したが、笑っているようにも見えた。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る