第4話
「美和ちゃん、いらっしゃい」
「お邪魔します!」
美和が訪れたのは秋城の守護者というパーティ名のの作戦室である。美和を出迎えたのは青髪ロンセレブ感満載の美女。秋城守護者のリーダーである猪狩心である。美和はぺこりと会釈をし、隊室の中へ足を踏み入れた。
「ごめんなさい、遅くなりました」
「あら、いいのよ別に。気にしないで。どうせかっちゃんに捕まったんでしょう。彼はいい情報源としてはいいのよね」
2人は作戦室の奥へと進んで行く。奥の部屋はまるでリビングというより大きな女子の部屋という作りになっていて、ソファに座ったりコタツに入ったり明るい声が響き渡る。
「みなさん、こんにちは!」
「こんにちは、美和先輩」
初めに挨拶したのは、ここの中で一番後輩で、量の多い緑髪をサイドテールに纏めた風ミャだった。彼女はたった2日でAランクに来た実力的なアタッカーで女子としては3番目の快挙でもう半年すればレイアナにも届く実力があるのではないかと言われている。だがそんな風ミャも再宮兄には子供扱いされて少し落ち込んでいる。
「ささ、美和ちゃんも早く座って!」
「うん」
同じくソファに腰掛けていたのは、ネットで俺様最強の記事を書くために冒険者になった眉墨舞香である。それがいつのにか、記事なんて忘れて京谷の魅力に堕ちてしまったのは内緒である。舞香が美和にソファに座るように促し、美和はニッコリ笑いながら従い、舞香の隣に座った。
「美和ちゃん、何食べる?色々あるよ」
コタツの上に並べられた多種多様なお菓子を見せながら美和に話しかけたのは、綺麗な赤髪をボブにカットした女子。花道ちなつだった。美和はピンク色の可愛らしいマカロンを手に取り、小さく口を開けて頬張った。お手並み拝見の頭脳として言われている、美也ちゃんだ。
美和ちゃんは小さなお口を開けてお煎餅に手を出した。
「ん、これすごく美味しい!」
「そうでしょう?私のお気に入りなのよ」
心が美和ちゃんのために紅茶を淹れたティーカップを卓上に置き、ゆったりとした、なれた動作ででコタツに入る。明らかにセレブ感あふれる心が普通にコタツに入る光景はミスマッチに思えるかもしれないが、そこがギャップを感じていいのだと言いたい。心海外にいたのでこたつに入ったのは日本の冒険者になってからだった。
コタツに入ったらお嬢様から一般人になる姿は何度も見てもいい。コタツは最強だった。
「さて、揃ったわね。女子会始めましょうか」
本日のメンバーが全員揃い、心が女子会の開始を宣言する。開幕早々挙手したのは美和ちゃんだった。一生懸命「ハイハイ」と私を指名してと言いたそうな感じで心を見つめる。心達は心の可愛いお手などを見て可愛いと思ったりしてかたまり、どうぞ聞かせてって感じで見つめる
「そういえば、さっきかっちゃんさんから聞いた話があるんですよ」
「ん?なになに?気になるかも。かっちゃんさんいいわねかっちゃんさんって響きが」
「かっちゃんくんの話ねぇ。面白そうだけど…多分自慢話じゃないの?」
真っ先に反応したのは風ミャが興味深々に気になっていた。興味津々な目で三上を見る。かっちゃんならもしかしたら素晴らしい京谷の情報を持っているのではと期待する。
心の言葉はあながち間違っておらず、かっちゃんは面白いが下らない話ばかりするというのは事実だ。
この前、心がかっちゃんと会話した際も下らない話を聞かされたばかりだった。「心ちゃん今日は誰からラブファンレターもらったと思う」
と思わせぶりな質問をした挙句、その答えは「妹」という何の捻りもクソもない答えだったため、かっちゃん兄妹の愛はすごいというのは知っているため又かと思った。ちなみに、この話は面白くな上に下らなく、兄妹仲良くしていますようアピールに困っていた。
「いや、下らない話じゃないんですよ。むしろ…結構重要な話というか…」
しかし、美和は心の言葉を否定する。かっちゃんが重要な話なんかするのか?という疑問に三上以外の4人は軽く首を傾げる。数秒の沈黙の後、美和はニッコリと微笑みながら話を続ける。
「かっちゃんさんさん曰く、友塚が俺様最強に入るらしいです」
その発言に、再び4人は首を傾げる。それもそのはず、もしレイアナが引退するなら噂が流れ込んでくるはず。それを記事に書くだろう舞香でも知らない情報だった。と顔だけで分かるという疑問が4人の頭を駆け巡った。
その疑問を最初に口に出したのは、だった。
「レイアナ先輩が辞めるなんてなるとニュースでも流れ込んできそうだけど」
その言葉に、美和以外の女子は頷きすぐさまテレビをつけた。チャンネルを冒険者ギルドのニュースに変えると。なんと再宮の弟とレイアナの弟京谷が丁度戦っている場面だった。
急遽ライブでやり始めて、これは視聴率も高いはずだ。京谷と再宮の対決には名前がつけられる。だがどれも引き分けで終わっているが今回は時間無制限でどちらかが負けや体力の2割まで削り合うまで戦い続けるルールだ。
女子5人は完全に京谷に目を光らせてハートマークを浮かべながら彼を見つめていた。
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