第10話 決断
理事会での激しい攻防の末、証拠がすべて提示され、瀬戸専務理事の不正が明らかになった。理事会メンバーたちはその場で判断を下すことができず、最終的な決定は理事長に託されることとなった。
理事長: 「この件に関しては慎重に検討する必要があります。全ての証拠を見直し、適切な処分を下します。」
こうして理事会は一旦終了となり、香織、涼介、健一の三人は一息つくためにエトワールへと向かった。
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エトワールの落ち着いた雰囲気の中、香織たちはコーヒーを飲みながら、今回の事件を振り返っていた。窓から見える門司港の風景が、少しずつ夕焼けに染まっていく。
香織: 「やっと一段落ついたわね。ここまで来るのは本当に大変だった。」
涼介: 「ああ、でもこれで信用金庫の名誉を守ることができた。香織、健一、本当にありがとう。」
健一: 「まだ最終的な決断は出ていないけど、これで良い方向に進むはずだ。」
三人は安堵の表情を浮かべながら、今後の計画について語り合っていた。その時、信用金庫の理事長から緊急理事会の招集がかかった。
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再び信用金庫の本部へと急ぐ三人。理事会室に入ると、他の理事たちが既に集まっており、理事長が議題を提示していた。
理事長: 「皆さん、先ほどの証拠に基づき、瀬戸専務理事に関する問題について再度議論します。瀬戸専務理事、ご自身の弁明をお願いします。」
瀬戸専務理事は立ち上がり、弁明を始めた。
瀬戸専務理事: 「皆様、この度の問題について誤解があります。私は信用金庫のために全力を尽くしてきました。不正とされる取引についても、全て正当な手続きの下で行われています。」
奥田常務理事は厳しい表情で反論した。
奥田常務理事: 「瀬戸専務理事、私たちは具体的な証拠を元にあなたの行動を問題視しています。架空の取引先、虚偽の書類、そして不正に流用された資金。これらについてどう説明するのですか?」
瀬戸専務理事は一瞬動揺したが、冷静を装って答えた。
瀬戸専務理事: 「それは全て誤解です。取引先は実在し、書類も全て正当です。」
小田切理事もまた、瀬戸に厳しい問いを投げかけた。
小田切理事: 「しかし、提示された証拠は非常に具体的です。特に、トラックの荷物についての説明が不十分です。どうして架空の取引先に送られたはずの物資が、橋本議員の関連企業に流れていたのですか?」
瀬戸専務理事: 「それは…誤配送によるものです。意図的なものではありません。」
香織は立ち上がり、決定的な証拠を示した。
香織: 「ここにあるのは、全ての取引の詳細と、それに関わる全ての署名、記録です。これを見てください。これらのデータは、あなたが故意に不正を行ったことを示しています。」
香織の心の声: 「これで決着をつける。信用金庫の未来を守るために。」
涼介: 「そして、トラックの謎の荷物についても説明します。これらの荷物は架空の取引先に送られたことになっていますが、実際には橋本議員の関連企業に流れていました。このことが示すのは、資金と物資の両方が不正に流用されていたという事実です。」
理事会のメンバーたちはその証拠を見て、深く考え込んだ。
理事長: 「皆さん、全ての証拠と弁明を踏まえ、これから投票を行います。瀬戸専務理事の解任について賛成の方は挙手をお願いします。」
重い沈黙が続いた後、徐々に手が上がり始めた。そして、過半数の手が挙がった。
理事長: 「過半数以上の賛成により、瀬戸専務理事の解任が決定しました。」
その瞬間、理事会室の扉が開き、数人の警察官が入ってきた。彼らは瀬戸専務理事に向かって歩み寄った。
警察官: 「瀬戸専務理事、あなたを不正取引および背任の容疑で逮捕します。」
瀬戸専務理事は驚愕の表情を浮かべたが、抵抗することなく連行された。理事会のメンバーたちはその光景に驚きと安堵を感じた。
理事長: 「この決定が信用金庫の透明性と信頼性を取り戻すための第一歩であることを信じています。皆さんの協力をお願いします。」
理事会は終了し、香織たちは再びエトワールに戻った。
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エトワールに戻った三人は、理事会での結果について話し合った。
香織: 「瀬戸専務理事が解任され、逮捕されるなんて想定外だった。でも、これで信用金庫の未来は明るいわ。」
涼介: 「これからも信用金庫の名誉を守るために戦い続けよう。」
健一: 「そうだね。これが終わりではなく、新たな始まりだ。」
香織たちは新たな決意を胸に、次のステップに進む準備を整えた。
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