第9話 弁明と真実の攻防

理事会の会議室は緊張に包まれていた。香織たちが提示した不正の証拠に、瀬戸専務理事は蒼白な顔で立ち上がり、自らの弁明を始めた。


瀬戸専務理事: 「これらの証拠は誤解です。私は信用金庫の利益を守るために最善を尽くしてきました。架空の取引先とされている会社も、実際には我々の取引先です。」


香織は瀬戸の弁明を冷静に聞きながら、反論の準備を進めていた。彼女の横には涼介と健一が緊張の面持ちで控えていた。


香織: 「瀬戸専務理事、あなたが言う取引先が実在することを証明するための具体的な資料を提示してください。私たちの調査では、その会社は存在しないことが確認されています。」


瀬戸は動揺しながらも、続けて弁明を試みた。


瀬戸専務理事: 「証拠が足りないだけです。私の誠意を疑うのですか?」


涼介は力強く反論した。


涼介: 「瀬戸専務理事、私たちが提示した資料には、あなたの署名がある虚偽の書類も含まれています。これについてどう説明するつもりですか?」


理事会のメンバーたちは瀬戸の弁明に対する涼介の強い追及に注目していた。奥田常務理事と小田切理事もまた、瀬戸の説明に納得できず、さらに問い詰めた。


奥田常務理事: 「瀬戸さん、このままでは信用金庫全体の信用に関わる問題です。全てを正直に話してください。」


小田切理事: 「我々は信用金庫を守るためにここにいるのです。真実を明らかにすることが必要です。」


瀬戸専務理事は明らかに焦り始め、弁明が苦しくなっていった。


香織は再度立ち上がり、決定的な証拠を提示した。


香織: 「このトラックの謎の荷物についての詳細です。これらの荷物は架空の取引先に送られたことになっていますが、実際には橋本議員の関連企業に流れていました。このことが示すのは、資金と物資の両方が不正に流用されていたという事実です。」


健一も加勢した。


健一: 「さらに、私たちが解析したデータによれば、この不正取引は数年前から継続的に行われていました。これ以上の誤魔化しは通用しません。」


理事会のメンバーたちは息を呑み、瀬戸の表情を見守った。瀬戸は何も言えずに立ち尽くした。


香織の心の声: 「ここで決着をつける。信用金庫の未来を守るために。」


涼介: 「理事会の皆様、これ以上の審議は不要です。全ての証拠が揃っています。今こそ、信用金庫の名誉を守るために、適切な行動を取る時です。」


奥田常務理事と小田切理事は静かに頷き、理事会は決定的な瞬間を迎えた。

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