第2話:反対側と逆張り

 ベッドの上でやっと手に入ったAIドールを使い肉欲を満たす。


 生息あらいぶは女性関係で羽目を外すのをやめ、若干時代じゃないがAIドールで足りない部分を埋めていくのだ。


「これじゃあオタクの抱き枕と変わらねえじゃねえか。」


 AIドールは特に喋らない。

 本当は口数が生息あらいぶより多くて会話しているだけで楽しかった。

 それも長年の調整で大人しい秘書みたいになってしまって二十二歳にしてもう熱中出来ることはない。


 ここは誰かと遊ぶか。

 部屋に吊るしたサンドバッグを殴って気持ちを切り替える。

 電話をかけられそうな相手を探して通話する。


 誰かに語れる趣味はあるがここやインターネットで語れる場所はない。

 AIドールもとっくに古い物なのに人間社会では浸透していない。


 そして生息あらいぶも結局人間関係に縛られる。


 会話に出る人間はこの歳だと減っていく一方。

 ろくでもない相手の方が気が楽だ。


『なんだよ生息あらいぶかよ。

 まあいいや。

 ところでよ。

 合法的にヤバいやつをぶん殴れる案件があるんだが来るか?』


 かける相手を間違えたか。

 いや、これはこれでいいか。


露骨ろこつに治安が悪い案件だ。

 本当に合法なんだろうな?」


『合法も合法よ。

 そもそも俺らで世界救えるかもしれねえ。

 その名も【グリーンモンスター討伐】。

 歌手じゃねえぞ。

 侵略型のモンスターだ。』


 グリーンモンスター。

 確か日本には当たり前にセイソクしている「くず」という植物の海外での異名だ。

 一度生えるとセイソク地域を広げて草刈りに苦労すると聞いた。


「草刈りなら楽そうだ。」


『草刈り?

 まあ生息あらいぶならグリーンモンスター余裕で勝てるか。


 まだ現役で試合してるのか?』


 その話になるとすぐ優しくなる。

 元は彼とも生息あらいぶは戦っていたからか広告収入で生活出来るようになったのに彼はあの頃を忘れていない。


 するとAIドールが場所とグリーンモンスターについて部屋いっぱいに映像を見せた。


生息あらいぶさん。

 関東某地区、ここから〇〇km先でグリーンモンスターと呼ばれている植物型の化け物が暴れ回っています。

 しかも特定の人間にしか知られない情報としてどなたが発信しています。」


「そうか。

 又槍らいでんと!俺も手伝う。」


 あとは私がとAIドールがアシストしてくれる。

 そこは彼、いや戦友である又槍らいでんととAIドールを信頼して現場へ向かうことにした。


 続く。

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