反対側の住人
釣ール
第1話:我らの日常
周りがもう自分達の道を見つけて歩くようになって二年。
「いいねえ。アプリでハッピーバースデーなんて。」
ちっとも良くない。
まるで女性向けドラマのようなソロの押し付けに屈した二十歳を迎えた男性への世間の見方は厳しい。
ま、そんな相手も家の中ならいないので自由にやれるわけだが。
動画制作も好きなジャンルやりすぎてどん詰まって適当に働いているが先が見えない。
もっと他ジャンルを見つけられないかなあとは考えている。
まだ動画製作者としてのやる気はなくなっていないのかもしれない。
これも先の人生で休み続けるための準備に過ぎない。
嫌いよりマシってだけの話だから。
『やっとテスト終わりました。
鴉魂さんはお暇ですか?』
今年十八歳の男子高校生。
そして鴉魂の後輩。
仕方なく文武両道で育ってグレかけた所を鴉魂が声をかけたらついてきた年頃の青年だ。
「暇だけど金欠で相手できねえよ。」
『金欠なら金欠で楽しめることもあるかもしれませんよ?』
「反対側の住人として過ごしてる俺と将来が約束されたお前とは違うからなあ。」
リモート会話で話しているからか画面越しで一旦間があった。
ちょっと前まで文武両道でグレて人より劣っていたい!とか言ってた
涼鳴は競技も喧嘩も得意で鴉魂は死にかけたというのに。
『
「こっちのセリフだ!
反対側じゃねえよそんなの。」
『反対側ですよ。
「お前ムカつくな。
俺がお前に勝てないからって好き放題言いやがって。」
『やっと食いついてくれました。
ストレス発散に少しカメラもらえませんか?』
どういう理屈だ。
不可思議研究をしているのは表向きの不思議属性だと思っていたのに二人で動画制作していた頃の思い出がよみがえったのか?
結局
「確かに反対側だよ涼鳴。
よく食えるな。」
「心霊現象ついでに食糧確保。
いい経験だとは思いませんか?」
「
やっぱ選択肢って多い方がいい。」
あとは無言で焚き火をし、すでに
「あとは
「なんだ?俺が半分暇人の反対側人間だからって頼みたいことがあるのなら言えよ。」
しまった。
つい
「じゃあ新しい備蓄手に入れるついでに二人でストレス発散しますかあ。
実は関東のある場所で・・・。」
副業が面倒で特に仕事を入れてなかったから好都合だ。
それよりも…。
「先輩としてプレゼント。
限定カップラーメン。
ここで渡す。」
そういえば昔もカップラーメンでグレた
十八歳だが目を輝かせて喜ぶ
強がりは毒だと二人は学んだ。
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