友達の家

金谷さとる

カエちゃんはおともだち

「カエちゃん、遊びに行っていい?」

「おじーちゃんち? いいけど?」

「ぅうん。カエちゃんち」

「ウチねー、おとーさんがオマネキルールつくってるから守れない子はダメなんだよ?」

「ルール?」

「まずは親御さんの了解をとる」

「ふんふん」

「それと学校からちゃんとうちに帰ってから」

「え。時間短い!」

「うちに来て習い事に遅刻するようなことはダメ」

「まぁ、習い事は行ってないから」

「あと、ウチに遊びに来たら、ウチのおとーさんがダメって言うことはダメだから。あとウチのユズちゃんまだちいさいから悪いこと教えちゃダメなんだよね」

「ウチのまゆちゃんよりお姉ちゃんじゃない。ユズコちゃん」

「ユズコじゃなくてユズだからゆーず」

「カエちゃん、おっきくなったら『お兄ちゃんウザい』とか言われそー」

「……ネオンちゃん、ウチに遊びに来たいんだよね?」

「うん!」


 そう、カエちゃんのお家には時々タイくんが遊びに来ると言う情報を得たネオンは行動に移すことに迷いはなかったのだ!

 カエちゃんのお家はまわりに似たようなお家が並んでいていつも迷いそうになる。

 お家の周りを壁で囲っているか、植木で囲っているかでしっかり目隠しされたお家ばかりである。

「プライバシー大事だよ? あと個性はあるし、ほら、あそこは美容室だし、あっちは歯医者さん。目印はそれなりにあるよ?」

「あ。仔猫!」

「ネオンちゃん、仔猫は目印にならないし、ちゃんとついてきて?」

「カエちゃん、あそこ! あそこの窓のとこ! 猫さん見てる!」

「ヨヨギさんちには三匹のボスがいるの。ちゃんと道見てる? ついてきて?」

 三匹!

 三匹も猫さん!

 そして、タイくんが遊びに来ていたらしく途中でお迎えに来てくれました。

「わーい。タイくんだぁ!」

「あれ、ネオンちゃんだ。カエにほかの友達が来るなら帰ろうかと思って挨拶だけでもって」

「ぇー! 帰っちゃうのー!?」

「タイくん、来て。ぜったいうるさいから助けると思って来て。それにそろそろウチに帰り着きたい」

 カエちゃんはおおげさですね。

 カエちゃんのお家ではカエちゃんパパが「遅かったな。いらっしゃい」とお迎えしてくれました。

「おじゃまします」

 とタイくんが言っていたのでちゃんとネオンも「こんにちは。おじゃまします」とご挨拶しました。

 カエちゃんパパに抱っこされたユズちゃんがなんか暴れてました。かわいい。

 ユズちゃんは今カエちゃんにべったりらしく、おでかけしたカエちゃんを追いかけようとお家脱走をカエちゃんパパにソシされていたそうです。

 ユズちゃん、まだまだ甘いんですね。がんばれ!

「ゲームするつもりだったけど、ネオンちゃんも一緒なら別のにする?」

 タイくんとカエちゃんには共通の思ってた予定のゲームがあったらしく、変更を考えてくれます。

 カエちゃんちには残念ながらユズちゃんが一番可愛くて小さい生き物ですからね。

「どんなゲーム? ネオンも見たい!」

「これだけど」と見せてもらった二人が遊んでいるゲームは小型潜水艦で海中探索するゲームでした。

 発見できる生物コレクションを埋めている最中だとか。

 なにコレおもしろい!

 コンプすると海域が広がったり、潜水艦のスペックが上がったりするそうです。

 カエちゃんは潜水艦の操作が苦手でタイくんは地上パートと目的達成が苦手なので二人でやってるそうです。

「亀さんだ!」

「あ、近くで見てみる? 速度合わせたらとなりで泳いでくれることもあるんだよ」

 カエちゃんちにゲームしに行くことが増えました。

 カエちゃんパパは手を洗えとか、宿題残してないだろうな。とか休憩して水分をとれということしか言ってこなかったので期待はずれでした。

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友達の家 金谷さとる @Tomcat

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