第4話

そう言えば、付き合っている頃に一度大きな喧嘩をしたことがありました。



東京と伊豆で少し距離があったと仕事が忙しくてすれ違うことが多くなっていました。




ある日、寂しかったのに素直にならなかった私が勝手に拗ねて怒ったのです。



女子あるあるなのか…

私だけなのか。



寂しいとは自分から言えずヤキモチを妬くと言うなんとも可愛くない態度をとってしまったのです。




今思えばよくあんなに大喧嘩したのに(原因は私のヤキモチです)



別れがこなかったな…と思います。



逢えない時間が愛を育むと言うような曲がありますが



私は寂しさを曲に乗せられても好きな人に寂しさを打ち明けることができませんでした。



夫は私の寂しさを知らなかったので、その日友達と出かけました。



私はもう寂しかったので連絡しないと言って拗ねました。



ここで終わればただの可愛いわがままで終わりです。




しかし、溜まりに溜まった心のストレスは傷つける言葉として吐き出されることになりました。




人生でこれ以上に人を傷つけたことがあるのか?


と自問自答したいくらいに夫を責めました。




ただ、一言寂しいと言ったらよかったのに…




人の恋心には人一倍敏感なのに、自分の気持ちには疎すぎてびっくりしました。





しかし、一度吐いてしまった言葉は消せません。




大喧嘩になりました。





あれ?付き合う前も喧嘩したことあったっけ?



人の心は一度すれ違い始めるとあれよ、あれよとすれ違い始めます。




私が自分の中にしまっておけなかった『寂しさ』が溢れたまま大洪水となり、堰を切りました。



堰を切った思いは言い合いとなり、口論になりました。




お互いもう離れたくなかったので、『別れ』は口にしませんでしたが、この寂しさや『喧嘩している今』を乗り越えられるのか?




大きな不安がありました。




その時、喧嘩を初めてから朝方4時くらいまで口論していたのですが



夫が車で東京まで来てくれました。





なぜたった一言『寂しい』

私の方を向いていてと言わなかったのか?



なぜ素直にならなかったのか?



私は、逢いにきてくれた夫に感謝しました。



いつの時代も『出会い』と『縁』と『別れ』は隣り合わせ




出会いは急にあったとしても、別れにはいつも『理由』が付き纏う




私は心から大切だった夫のことを自分自身に勝てずに『手を離す』ところでした。



夫が逢いにきてくれるという行動を起こしてくれなかったら私たちは理由を明確に持った『別れ』を選んでいたかもしれません。



いや、別れたいんじゃない


私の方を見ててほしい



という小さなわがままが大きな喧嘩をもたらしました。




時々、人と人は心が見えないからこそすれ違います。




私もそうでした。

些細な心の行き違いで大喧嘩しました。



今でこそ穏やかな時を過ごしていますが、

どうしても素直になれない時

素直に感情を出せない時

甘えたいのに甘えられない時



人間にはいろいろありますよね



私にもいろいろな感情があります。



今はシアワセと言うのでつまらない人生だと思われがちですが私にもいろいろあります。



だって人間だもの

生きているだもの

呼吸している限りいろいろあります


それが人生。

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