第6話
今日も今日とて、日差しが強い。
夏は、天気が良くて歩く分には、そんなに苦ではない。
あくまでも、暑さを無視すればの話だが。
実際に散歩係の青は、「今日は、散歩なしでいいか?」とか言ってきた。思いっきり吠えてやったが。
「まったく、こんな暑い日にも散歩に行きたいとは……。ほんまにぽちは、散歩好きやな」
いいだろ、散歩が好きなんだ。あと、お前は、暑いことを言い訳にし過ぎだ。一日の中で、アイスを食べまくるし、ダイエットもやめただろ。
「……、ぽち。私は、とんでもないことに気がついた」
あ、くだらないことだ。
「私、趣味がない」
やっぱり、くだらなかった。
「まぁ、趣味がないから、お金もそんなにかからず過ごせ居るのかもしれんけど。それでも、なんか人生に張りがないわ」
お前の人生に張りなんてあったか?
大学進学とか、そういう節目で立場が変わった時くらいだろ。それでも、2週間くらいでダレるが。
「いかんな。このままでは、趣味がぽちの散歩になってしまう。おじいちゃんや。今すぐにおじいちゃんになってしまう」
どういうことだよ。
あと、散歩が趣味でもいいだろ。いっぱいいると思うぞ、散歩が趣味の人。
「趣味……、趣味か。あらためて考えるとむずいな。読書、映画、カフェ巡り……、いっぱいあるわ」
歩きながら、青は、なにやらぶつぶつ独り言を言い始めた。
そんなことしながら歩いていると、普通に危ないぞ。
「なぁ、ぽち。趣味って、なんや?」
俺が知るわけないだろ。
「あー、あかんわ。こういう思考がぐるぐると回りだしたら、1回リセットするのが一番なんや。というわけで、ぽち、コンビニ行くで。アイス食べよう」
また、アイスか。青は、夏だけじゃなくて冬にもアイス食べるよな……。どんだけ好きなんだ。
……、青の趣味って、アイス食べることじゃダメなのか?
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