あの人が犯人よ!

天川裕司

あの人が犯人よ!

タイトル:あの人が犯人よ!



イントロ〜


あなたは誰かを愛していますか?その愛は本気でしょうか?

ですが、本気の愛とはまた一体どんなもの?

時にそれは自滅をもたらす狂気ともなるもの。



メインシナリオ〜


ト書き〈公園〉


俺は彼女を愛していた。もう付き合って5年になるが、俺たちは付き合ってから3年目にして結婚を約束し、その将来は明るい筈だった。


だが由美子は、或るとき強姦魔に襲われ、それから心に深い傷を負ってしまった。

そのせいで結婚も延期され、とにかく俺は彼女を庇い続けた。慰め続けた。


俺は変わらず彼女を愛している。彼女もそうだった。

お互い相思相愛で、2人将来、一緒になる事は変わらない。


だが俺は彼女を愛する上で、1つしなければならないことがあった。

それは敵討ち。彼女をやった奴をどうしても許しておけない。殺すまでもなく、何らかの制裁を加えずには置けない。


幸い、彼女はその犯人の姿かたち、顔をはっきり覚えていた。


あの手の犯人は必ず決まって同じ犯行を繰り返す。それも同じ手口と同じ場所で。


いっとき場所を違えても、しばらくすれば必ずそこへ戻ってきて、1度は良い思いをしたその場所を聖地のように見ることがあり、俺はその場所を由美子と共に張り続けた。


そして或る時、ついにその運命の日が訪れたのだ。


由美子「あ!…あ、あの人…あの人よ!私を襲ったのは…!」


「本当か?間違い無いな…」


彼女がついにその男を見つけた。やはり戻ってきたのだ。

そして俺はとりあえず確認すべく、その男に近づき、事の真偽を確かめた。


すると男は急に青ざめ始め…


男「わ、悪かった!悪かったよ!あんた、あの子の彼氏さんなのか…!?ほんとにすまない!魔が差しただけなんだ!」


はっきり自分の犯行を認めた。

当然俺の怒りは絶頂に達し、

持っていた鈍器でそいつをぶちのめした。


「魔が差しただけ」だと、そんな気まぐれ程度のお前のせいで、由美子が一体どれだけ苦しんだことか。

その生涯を狂わされるほど、今でも心に大きな傷を負って、どれだけ精神を病んで来たことか…。


「お前、それを知ってるか!?」


そう問い詰めたが、そいつはもう動かなかった。


「お、おい、お前…」


結局、そいつは打ち所が悪く、その場で亡くなった。


「お、俺は一体なんてことを…」


そう思ったが、これは時間を超えた正当防衛でした事。彼女を守るためにした事。

彼女のために自分の一生を犠牲にし、やった事だと俺は自分で自分に言い聞かせ、

なんとか自分のその時の荒れた心を落ち着かせようと必死になっていた。


由美子もそんな俺を慰めてくれ、そばにずっと居続けて、俺を抱擁した。


でも俺のやった事は罪。それ以外の何物でもない。だから俺はその場で警察へ自首しようとした。


その時、由美子はこう叫んだのだ。


由美子「あ…あの人…、あの人よ…!あの人が私を襲ったのよ!!」



エンディング〜


どうやら由美子は精神疾患に侵されていた様子。

それもひどい被害妄想により、見る男、見る男、

誰もが犯人に見えてしまう、そんな不条理な状況を強いられたまま。


そして彼があやめたその男は、別件の強姦魔だった様子。勘違いが自らの破滅を招いてしまった、そんなところだったんでしょう。


何はともあれ、行き過ぎた感情を持つ事は時として、その人の不利益になる様子。

固より道徳から外れた行為を働く事は論外、と言えるでしょうか。それでは又。


動画はこちら(^^♪

https://www.youtube.com/watch?v=onLAPRjTyeQ&t=58s

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