第8話:驚く瑞穂姉ちゃん。

「なに?・・・あんた、それでオッケ〜したの?」


レイラと生太との大学の井戸での井戸端会議を聞いた瑞穂姉ちゃんは驚いた。


「だって・・・余命半年なんて言うからフッたら可哀想だろ?」


「男同士でしょうが?」


「つうか、私、見かけは女だよ」

「多分、私とナマタはどこから見ても男女のカップルにしか見えないと思う

けど・・・だからいんじゃね?」

「人助けだよ・・・半年彼女でいてやったらナマタは満足してあの世に行ける

んだから・・・」


「人助けね・・・それ逆じゃない?」


「逆って」


「その彼氏、今はいいけど、いざレイラと別れなくちゃいけない時期になったら

苦しむよ・・・好きなのに別れなくちゃいけないんだからさ?」

「そっちのほうが残酷じゃん」

「って言うか、あんたあぐら組んで股をボリボリかかない」

「いんきんじゃないの?」


「もう治ってるよ・・・股が痒い時だってあるし・・・」


「とにかく、あぐらなんかかかないこと、股もかかない、分かった?」

「そう言うのは普段から気をつけてないと人の前でもついっかりやっちゃ

うんだよ」

「その付き合うって彼氏が見たら幻滅されちゃうよ」


「いいんだって・・・ナマタはそう言うの気にならないみたいだから、

私みたいなガサツな女がマストなんだってよ」

「私は男みたいだからって言ったら、それでいいんだって」

「ナマタは変わってるんだよ・・・尻フェチみたいだし・・・ホラー苦手

みたいだし・・・ビビりだしヘタレだし・・・」


「ナマタ?・・・それ彼の名前?・・・変な名前」


「いや〜ほんとは生太いくたって言うんだけど私がナマタって呼んでるだけ」

「って言うより、もう付き合ってあげるって言っちゃってるし」

「今更、やっぱりやめる、なんて言ったらあいつ寿命が来る前に自殺するかもよ」


「まあ、考えてみたら男どうしでもないか・・・だってエッチしようと

思えば普通にできちゃうもんね」


「やめてくれ、論外だよ、俺は・・・私はそう言う趣味ないから・・・」

「で、今度の土曜日、デートしてくださいって」


「しかたないね・・・じゃ〜ま、せいぜい頑張りな」


そして土曜日。

レイラは瑞穂姉ちゃんの一張羅いっちょうらを貸してもらった。


「サイズ合わないかなって思ったけど、案外いけるね」


「あのさ・・・露出多くないか?・・・今まで何気に見てたけど女って

無防備だな・・・」

「それにさ・・・これパンツ見えないか?短すぎんじゃねえか?スカート」


「あんた、普段からジャージしか着てないんだから・・・そういう

服にも慣れないと・・・」

「アピール、アピール・・・まずはビジュアルから彼氏の心を射止めるの」


「服でなんかアピールしなくても、ナマタは勝手に私に射止められてるよ」


「いいから、姉ちゃんの言う通りにしてたら上手く行くんだから」

「うん・・・似合ってる・・・あんた案外可愛いんだからそう言う衣装

似合うんだよ」


「まじ、ぶりっ子じゃねえか」


「ねえか、じゃなくて、ないの?・・・もう何度言ったらちゃんとできるかな」


「これでも努力してるのよ・・・お姉様」


「気をつけること・・・言葉遣い・・・あとガニ股で歩かない・・・女らしく」

「ほい、じゃ〜行って来い」


なわけで、レイラは姉ちゃんに尻を叩かれてデートの待ち合わせ場所に出かけた。


つづく。



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