第6話:レイラ、為末 生太から告られる。

「えっ・・・試す?・・・え〜と実はですね、本当はそっちはどうでもいいんです、すいません」


「なに?」


「あのそれはまた今度ってことにしませんか?」

「実は僕、鴨志田さんに別の話があるんですけど・・・」


「え?・・・なに?異世界へ行っちゃうって話はメインじゃないの?」


「違うんです・・・その話はフェイクです」


「フェイクだと?」

「フェイクって・・・まどろっこいしい・・・じゃ〜なに?」


「引かないで聞いて欲しいんですけど・・・僕、この前、鴨志田さんと会った

時から、君のことが好きになっちゃったんです」


「だから、よかったら付き合って欲しいと思って告白しに来ました」

「あの、そう言う相談事はダメでしょうか?」


「・・・メインな話ってそれ?」


(待て待て〜俺は男だぞ・・・おまえ告る相手間違ってるぞ)


「ざけんなよ、ナマタ」


「ふ、ふざけてなんかないです、僕はこの上なく真剣です」

「めっちゃドキドキして自分の気持ちを告白しようかやめようか散々悩んだんです」

「この切実な気持ち分かりますか?」


「んなこと言われたってさ・・・困っちゃっうよ」


「困るって、え?鴨志田さん、まさかもう彼氏とかいるんですか?」


「なんでよ、誰が俺みたいな、私みたいなオカルト女の彼氏になってくれる人が

いるんだよ」

「いたらお目にかかってみたいわ」


生太は自分の顔を指差して言った。


「ここにいますけど・・・・」


「なるほど・・・あはは・・・すっとぼけて・・・ナマタあんた面白いわ」


「いや〜オカルト女でも鴨志田さん可愛いから彼氏とかいるのかと思って・・・」


「彼氏なんて生まれてから、このかた一度もいたことないわ」

「それに可愛いなんて言われたからって、じゃ〜付き合ってあげるなんて

言わないからな」


「やっぱりダメなんでしょうか?」


「あのさ・・・ナマタの希望に添いたいとは思うけど・・・無理だし」


(このさい、俺が男だってカミングアウトしてやろうか)


「ダメなんですね、ダメな理由って僕がひ弱そうな男だからですか?それとも

尻フェチだからですか?」


「ひ弱いとか尻フェチとか関係ないから・・・そう言うハンデじゃないんだ」


「じゃ〜なにがダメなんでしょう?」


「あのね・・・私はね・・・」


「あの〜!!実はこのことは鴨志田さんだけに話すことなんですけどど・・・

僕、あと半年しか生きられないんです」


「は?」

「いきなりショッキングなこと言うんだね、ナマタ」

「どう言うこと?」


「僕は病気にかかっていて肝臓に疾患があるんです・・・肝臓に腫瘍があって

現在ステージ4だそうです」

「発見が早かったら手術でなんとかなったんですけど、ガンが肝臓以外にも

転移してるんだそうです」

「で、医者から言われました・・・持ってあと半年だって・・・」


「僕は半年後には死ぬんです」


「だから、死んじゃうまでの半年間でもいいから鴨志田さんと付き合えたらな

って思って・・・」

「半年でいいんです・・・半年、僕の彼女でいてくれたら・・・それで僕は満足

してあの世に行けます」


「そう思ったんです・・・」

「でも、もういいです・・・よく考えたら手前勝手なお願いですよね」

「あと半年しか命のない男に・・・先のない男に告られても迷惑ですよね」

「ごめんなさい・・・忘れてください」

「お邪魔してすいませんでした・・・僕よりもっと素敵な彼氏見つけてくだい、

鴨志田さんのお幸せを祈ってます・・・それじゃお元気で、さよなら」


そう言って生太はレイラに頭を下げた。


実は生太はレイラを知る前、自分の余命が半年と知って、いっそどこか誰も

知らない場所へ行ってひとりひっそり死のうって思ったんだ。


それで、異世界があるならそこへ行けるならって思った・・その相談にオカルト部へ

行ったところでレイラと出会った・・・その時点で生太は異世界のことなんか

どうでもよくなった。


「半年・・・その間だけでいい、僕は好きな人と一緒に過ごしたい・・・」


つづく。


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