第4話:ようこそオカルト部へ。

授業が始まる前にレイラは転入生として担任の「尻無川しりなしがわ」からクラスの全員に

紹介された。


(今更紹介されなくても全員のアホ面は知ってるし・・・)


「え〜・・・本日、このクラスに転入して来た「鴨志田かもしだ レイラ」さん」


「どうも〜鴨志田 レイラです・・・よろしく、ね」


鴨志田って聞いてみんな少しざわついた。

そりゃそうだ・・・同じ鴨志田って名前の男子生徒が転校してったばかりだから。

しかもよく見たら顔も男子の鴨志田に似てなくもない・・・みんなが違和感感じ

るのも無理はない。


「え〜そう言うわけでみんな、仲良くするように・・・」

「鴨志田さんの席はと・・・・」


「あ、三田村 聖子の後ろの席・・・」


(あ〜あの席って元俺の席じゃん)


レイラは尻をボリボリ掻きながら、三田村 聖子の後ろの席まで歩いて行った。

横の席のやつがレイラをいぶかしそうに見ていた。


「なに、見てんだよ、ボケ!!」


礼がレイラに変わった以外はなにひとつ変わっていない。

だからレイラにとって様変わりもしないつまらない時間がまたはじまった

だけだった。


で、レイラは礼だった時、オカルト部に席を置いてたから今回も迷わず

オカルト部に入部した。

今のところレイラを入れると部員は三人・・・男子ふたりにレイラ。

オカルトなんてマイナーな部だから変わったやつしか入部して来ない。

本来レイラは男だから厳密には男三人ってことになるのか。


鴨志田かもしだ レ・・・・レイラです」

「新人ですけど、よろしくお願いします」


「ようこそ、オカルト部へ鴨志田さん」

「なんかさ、鴨志田さん転校してった鴨志田 礼君に似てない?」


そう言ったのはオカルト部の部長の「竹垣 笹生たけがき ささお」だった。


「ああ・・・礼とは従兄弟なもんで、それで似てるんじゃないかな?」


「あ、そうなんだ・・・まあ、よろしくね」


もうひとりの男子は寡黙が美徳と思ってるようなやつで余計なことは一切しゃべら

ない・・・って言うよりただの対人恐怖症なだけの話だった。


で、ある日のこと。

そのオカルト部を訪ねてきた男子生徒がいた。

名前を「為末 生太ためすえ いくた」って言った。

で、レイラと同級生で隣のクラスの男子。

だから、レイラが転入して来たこともあり生太はレイラの存在を知らなかった。


生太が、なんでオカルト部に用があったか・・・それについてはまたあとで

解説するとして・・・。

生太がオカルト部を訪ねた時、部にはレイラひとりしかいなかった。


「あの〜すきません・・・」


「ん?・・・なに?」


レイラが振り向くと、メガネをかけたひょろ〜っとした軟弱そうな男子が

立っていた。


生太はレイラの顔を見て金縛りにあったように動けなくなった。


「何か用????・・・あんたオカルト部に入部したいのかよ?」


「・・・・・すいません・・・出直してきます」


我に返った生太はそれだけ言って走り去ってしまった。


「なんだ?あれ・・・」


生太はオカルト部で見たレイラに一瞬で一目惚れしてしまったのだ。

レイラが男だとも知らずに・・・まあ見かけはどこから見ても女以外の何者でも

ない訳だから疑いようもない。


本当は相談ごとをオカルト部に持って来たはずだったんだけど生太は

気が動転して肝心なことを言えず退散してしまった。


その日から生太の片想いが始まった。

オカルト部にいた女子はビジュアル的に見てまじで生太の描く理想の女だった

からだ。

生太は隣のクラスだったからレイラのことは知らなかった。

そこでレイラのクラスに言って他の生徒にこっそりレイラの名前を教えてもらった。


(鴨志田 レイラさんに彼女になって欲しい)


その想いは切実なものだった・・・それにはどうしても諦めきれない訳、理由が

生太にはあったのだ。

子供の頃から小心だった生太は今までいろんなことを我慢して来た。

だけど今回ばかりは我慢するつもりはなかった。


(僕が生きてるうちに鴨志田さんと付き合うチャンスを作らないと・・・)


なもんで、散々悩んで悩み抜いて生太はレイラに自分の気持ちを告白する

ことを決心した。


つづく。

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