第3話:女子としての身だしなみ。
全面的に女になった
不思議でしょうがなかった。
男なら女性の体に興味があってあたりまえ、それが目の前にある。
だけど実際は女性の体に触れることなんかしたこともないし、そんなセクハラに
なるようなことできない。
だからなおさら興味をそそられる。
礼は、いや、レイラは恐る恐る自分のおっぱいを触ってみた。
「わは〜プニプニしてる・・・気持ちいい」
「って、俺のおっぱいだし・・・ってか俺って変態か?」
だけどまあ、おっぱいまではいい・・・そこから先は・・・いくら女の体に
なったからって秘部まで見るってことは、やっちゃいけない。
自分のものだし誰に気を使うこともないんだから別にいいじゃんって思うけど
でもそこは、やっぱり観覧禁止の場所だと思った。
「あ〜あ・・・このまま女として生きてくのか、俺」
「・・・まあ生きてくしかないわな・・・しゃ〜ないか・・・嘆いてたって
はじまんないからな」
礼は、レイラはその時点で完全に開き直った。
そしてレイラの世話は一個上の「
姉妹の中で一番優しいほうで面倒見はいい年子のお姉ちゃん。
「レイラ・・・あんたもう女なんだから女らしくしなさいよ」
「まずは言葉遣い・・・汚い言葉は使わない、分かってる?」
「んなこと急に言われたって無理に決まってるだろ?」
「17年間これで生きてきたんだぞ」
「それでも少しづつ直していかなきゃ、素行の悪い子だって思われるよ」
「あとあんたさ・・・お風呂から上がったら、おっぱい丸出しでトランク
一丁で部屋の中うろうろするのやめなさい、見た目めっちゃかっこ悪いよ」
「それに明日から学校なんだから女の子らしくブラと女の子用のパンツ
履きなさい」
「女子としての身だしなみをちゃんとしなきゃ」
「げ〜そんなもん履けるか・・・なんでトランクスじゃいけないんだよ」
「あのね、もしスカートが捲れ上がった時トランクスが見えたら変でしょ」
「私の貸してあげるから明日からそれ履いて学校へ行きな?」
「え〜面倒くせえ」
「面倒くさくても、いつ男に戻れるか分かんないんだから、それまでは
女としてちゃんとしなきゃ」
ついてたものがないからパンツを履いても全然違和感なかった。
子供の頃、上の姉ちゃんに女装させられた経験が今になって活かされていた。
その夜、レイラは干してある女モノのパンツを盗もうとして当屋にバレて
警察に通報されて、逃げようとしたけど金縛りにあったみたいに足が動かない。
焦ってると警察がやって来てとっ捕まった・・・って夢を見た。
びっくりして飛び起きたら汗びっしょりだった。
だから瑞穂姉ちゃんを起こして新しいブラとパンツを出してもらった。
「来週にもあんた用のブラとパンツ買って用意しとくから・・・ったく
手間かかるんだから・・・」
次の日はレイラの初登校の日だった・・・って言っても本人的には
いつもとなにも変わってないわけで・・・ただ転入生ってことになってるから
授業が始まる前にバカみたいにクラスのやつらに挨拶しなきゃならないことに
なってる。
「あ〜ウザ〜・・・休みて〜」
「こら言葉遣い・・・今日はお天気がいいよね、お姉さん」
「ほら、言ってみ?」
「今日は・・・お天気がいいよね、お、姉さん・・・おえ〜」
「感情がこもってない!!」
「女の子の喋り方くらい、やろうと思えばできるでしょうが・・・17年間も
お姉ちゃんたちを見て来てるんだから・・・」
「え〜、俺と言葉遣い大して変わんないぞ」
「俺じゃなくて、わ〜た〜し〜・・・わたしだよ」
「いい?家ならまだいいとしても学校ではダメだよ、気をつけるんだよ」
「へいへい・・・小姑・・・世話やき女房みたい」
「なに?」
「なんでもありません、お姉さま」
「バカにしてたら面倒見ないわよ」
「分かりました、お姉さま」
朝から、そんなやり取りがあって、レイラは瑞穂姉ちゃんの付き添いのもと
学校へ向かった。
面倒見のいい瑞穂姉ちゃんも同じ高校に通ってるからね。
途中、例の神社と石段を通ったけど、やっぱりお稲荷さんなんかなかった・・・
うっそうとした森の中に普通の神社が建っているばかりだった。
「ほら、なにボ〜ッとしてんの・・・さっさと行くわよ」
「それから、ガニ股で歩かないの・・・下品だから」
「女子として生きてく為の制約が多すぎるよ・・・」
「せっかくそんなに可愛いんだからマイナスポイント削除してかないと
損だよ・・・男子にモテないわよ」
「おえ〜っ、野郎になんかモテたか〜ねえよ」
「想像しただけで飯が不味くなるわ」
「まあ、それだけ男っぽかったら中には言い寄って来る女子いるかもね」
「お姉さま〜って・・・」
つづく。
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