落ち合った果て

天川裕司

落ち合った果て

タイトル:落ち合った果て



イントロ〜


今日も街中で、複雑な事件が起きてるようです。



メインシナリオ〜


ト書き〈警察署〉


ある日、カロライナ警察署に1本の電話が入った。


犯人「女を1人誘拐した」


ローラ「きゃあ!助けてぇ!」


犯人「無事に返して欲しくば金を用意しろ。3百万ドルだ。場所はワイナリー埠頭。必ず誰か1人で来い。他の警官の姿が見えた時点で、女は射殺する」


ホルクス刑事「おい!おい!」


いわゆる人質事件。こうして警察に直接電話をかけてくると言う事は、

犯人は余程この道に精通している。それか馬鹿である。


警察としては当然放って置くわけにはいかず、

犯人の要求通りにホルクス刑事が1人で金を持っていった。


そして犯人の指示通りに金を車の横に置き、

ホルクス刑事は一旦その車が見えない位置にまで引き下がる。

ものの数分で金を入れたアタッシュケースは消えており、

また犯人の男から携帯に連絡が入る。


犯人「よし、ちゃんと要求通りにしたな。女は返してやる。車のトランクを開けてみろ」


ホルクス刑事がトランクを開けてみると、

中には薬を嗅がされたのか。両手足を縛られ、

口にガムテープを貼られ、おまけに黒い手ぬぐいで

目隠しをされて眠っている女が1人居た。


彼女が誘拐されたローラ。

27歳の在宅ワーカー。

市内に1人で住んでいた。


ト書き〈後日〉


ホルクス刑事「大丈夫ですか?」


ローラ「ええ。ありがとうございました。助かりました」


ホルクス刑事「もし何かあればすぐにまた連絡してください」


ローラ「はい、ありがとうございます」


ローラは何とかショックから立ち直り、日常生活に戻ることができた。


それから更に数日が過ぎ、警察は犯人の行方を追う。

でも一向に犯人の足取りがつかめない。


部下「ダメですね。目撃者が出ません」


ホルクス刑事「ふむ…」


警察は引き続きローラから事情聴取をしていたが、

誘拐された直後から目隠しをされ、そのうえ

薬を飲まされて眠らされ続けていたのもあり、

有力な情報は何も得られなかった。でも…


ローラ「…あ、そう言えば、なんかチラッと見ただけだけど、白い粉のような物を、持ってたような…」


ホルクス刑事「白い粉?…ドラッグか」


最近、それ関連でマフィアの動きも慌ただしい。

少し捜査の目線を変えて、マフィアお抱えの

密売組織の捜査と合わせて犯人の行方を追ってみた。


ト書き〈転機〉


すると、それからわずか数週間後。


部下「警部!おそらく彼女を誘拐したあの犯人かと思われます。カラのアタッシュケースと、おそらく半分ほどは使っていたんでしょう。180万ドルが床下に隠されていました」


ホルクス刑事「…」


それからすぐにこいつが、ローラ誘拐事件の犯人だとする有力証拠が挙がった。

それは靴跡。あの埠頭の脇には砂利道があり、

そこにわずかに靴跡が残されていた。その靴跡と

今こいつが履いてる靴の跡が一致したのだ。


もちろんこれだけでは犯人だと断定できないが、

あの埠頭は普段誰も利用しておらず、

当日は犯人とローラ以外、誰も入った形跡がなかった。


部下「こいつはアジトを変えたばかりのようです」


ホルクス刑事「ん?おかしいな。なぜバレた?」


ト書き〈転機2〉


それからまた数日後。マフィアの1人が捕まった。


ミゲル「あーあー!わかったよ!白状するよ!俺だ!俺がやったんだ!これで満足か!?」


ホルクス刑事「どうして奴のアジトがわかった?」


ミゲル「あん?ハッw垂れ込みだよ」


ホルクス刑事「垂れ込み?誰からだ!?」


ミゲル「んなモン知るかよ!ただ言われて行ってみたらあいつが本当に居たからよ!そこでヤッたんだ!あの野郎、俺達の組からブツ盗みやがって、逃げおおせると思ってやがったんだ。ムカついたからよ、その場で瞬殺してやったよw」


部下「ふざけるな!知らねえ訳ねぇだろお前が!垂れ込んだのは誰なんだ!言え!!」(胸元を掴み上げながら)


ミゲル「ぐっ!ほんとに知らねぇんだよ!女だ!女ぁ!全然聞き覚えのねえ女から電話かかってきてよ!うちの親分カリカリしてたから、とりあえず行ってみたわけよ!」


ミゲル「まぁその女に賭けてみた甲斐はあったけどな!wウチとしちゃあ、ブツを盗んだ奴に制裁を下せればそれで良かったんだ!」


部下「…警部」


ホルクス刑事「…ああ」


(後日)


部下「警部、ローラですが、やはり天涯孤独の身でした」


狂言誘拐。


・男はブツを、女は金を得ようとそれぞれの目的を持っていた。


・そして警察からさえ金を巻き上げようとした。


・普通の身代金誘拐なら警察なんかに電話せず、誘拐した対象の家族に電話をかける。


・アジトを変えたばかりなのにそれをマフィアが知った理由は、犯人とグルだった女がマフィアにそのアジトの場所を垂れ込んだから。


・そして犯人の元に金が残されてあったのはリアリティを出す為の証拠。


・犯人の男は初めからマフィアに追われていた。それに便乗した今回の「女だけが目論んだ犯罪」。


ト書き〈ローラの自宅〉


ローラの自宅の床下から金は出てきた。


ホルクス刑事「…ったく、ホントに恐ろしい女だ」



エンディング〜


共犯。それぞれの目的を達成しようとする時、得てして瓦解することがありますね。それでは又。


動画はこちら(^^♪

https://www.youtube.com/watch?v=XA_ZxJhYm4M&t=65s

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