第7話 大浴場


私は緊張していた

なにせ女になってから初めて、大浴場に行くのだ。


ドキドキ、ドキドキ。


一緒に行くデータ、と言うか誘ってくれたデータは

声をかけて来る


「どうしたんです?そんなに緊張して。」


「な、なんでもない。」


私が元男なんて知られたら、大変だからな。

ここは平静を装わなくては


「???

 ならいいんですが、行きますよ大浴場。」


私はデータとともに大浴場にやって来た。

大浴場は魔族が運営する浴場のようだ


データは慣れた感じで言う


「女性2名で。」


受付の魔族、1本角の種族、レプリカヒューマンも

手慣れた口調で言う


「女性2名ですね、かしこまりました

  1000ゴールドになります」


私達はそれぞれ500ゴールドずつ払う

ちなみにこの1ゴールド、だいたい日本円で1円ぐらいの価値だ




私達は更衣室にやって来る

データは衣類を脱ぐ、普通ぐらいの胸が露わになる。

私は目を逸らした


データは疑問げに言った


「人間の女は男に興味がある、と聞いたんですが?

 女の私に興味がおありで?」


「…そう言う個体も居るんだよ、レズってやつだ」


私は元男だから、男と付き合う気にはなれない

女の方に興味がある


「ふ~ん、そうなんですね。

 データに加えておきますね。」




私とデータは頭と体を洗い、風呂に入る。


「ふぅ、気持ちいいですね。」


その間私は他の魔族の客をじろじろ見てしまっていた

美少女魔族がたくさん、おっぱいがたくさん。


データはそれを咎める


「こら、ジロジロ見ない。

 マナー違反ですよ」


「ご、ごめん。」


女の子だらけだから気になって。

うん?魔族の中をよく見ると

この前戦った巨乳のレイラも居た


「レイラ、レイラじゃないか?」


「………」


レイラは相変わらず無視だ


「つれないなぁ、引き分けた仲じゃないか。

 少しぐらい話をしよう」


「………」


データは咎めるように言った


「レイラさん、無視はよくないと思いますがね。」


レイラは仕方なく口を開く


「雑談…なに…何を話したい?」


レイラは雑談してくれる気になったようだ。

私は笑顔で言った


「好きな食べ物とか、ちなみに私はからあげだ。」


レイラは顔を赤らめながら言う


「おむ…す」


「え?今なんて」


「オムライス…」


私達は笑った


「お、オムライスですか」


「あのクールなレイラがオムライスなんて、意外だな」


もっとクールな食べ物が好きかと思って居た。


「…オムライスが好きで何が悪い?あれは孤高の食べ物。」


「いや、別に悪くないけど。」


「オムライスはまずご飯とケチャップの黄金比が素晴らしい

 それに加えて卵、卵とケチャップご飯の組み合わせが素晴らしい

 この2つの組み合わせがオムライスを至高に仕立て上げる。オムライスは…」


あっ、これ長くなる奴だ。

私達はしばらくレイラのオムライストークを聞いた




「と、言う事でオムライスは至高。分かった?」


「「はい…」」


そう返事するしかなかった


「分かればよし、ていうか暑くなって来た」


そう言えば、レイラのオムライストークを聞いている間

だいぶ長く風呂に入って居たな


「そろそろ風呂からあがろう、さすがにのぼせちゃう」


2人は賛成してくれた。

私達は2人と一緒に風呂からあがり


服を着る

そして私達はコーヒー牛乳を買い

風呂上がりのコーヒー牛乳を飲む


「「「ゴクッゴクッゴクッ」」」


「「「ぶはぁ!!」」」


「やっぱり風呂上がりのコーヒー牛乳は最高だな」


「ですね」


「…賛成する」


コーヒー牛乳は最高、これは異世界も現世も共通だな。

コーヒー牛乳を飲んだ私達は大浴場前で分かれる


「じゃっ、私はこっちだから。またな」


「また、です」


「…また。」


女になって初めてのお風呂、緊張したけど

なんだかんだ楽しかったな

すごくオムライスが印象に残ったけど…

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

年功序列がない拳と魔法の世界にTS転生する @sennkinn

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ