この素晴らしいエリス様と祝福を! 親友の危機ですよ、女神様 2
「第3章 この親友の縁談に幸運を!」
クリス貧乳お風呂事件から数日、ダクネスが用があると行って帰ってこない事を心配しつつ、めぐみんとクリスがボードゲームしているのを眺めていた。
「ふっふっふっ!めぐみん、これでゲームセットだよ!」
「エクスプロージョン!」
これでクリスが3連続の負け、クリスが項垂れている中、めぐみんが勝ち誇った顔でこちらを見てきて……。
「てことでカズマ、何かご褒美を下さい!」
「何でだよ」
そんなやり取りをしていると、急に玄関の扉が開き!
「た、大変だ!カズマ、大変なんだ!」
平和な雰囲気をぶち壊し、突然、一人の美少女が飛び込んで来た。
それは清楚なイメージを与える高そうな純白のドレスを身に着け、白いハイヒールを履き、長く綺麗な金髪を一本の三つ編みにし、片方の肩から前に垂らした、何処かの令嬢みたいな人だった……。
「……あんた誰だ?」
「今はふざけている場合ではないカズマ!良いから話を聞いてくれ!」
あぁダクネスか、それにしてもその格好…何があったんだ……。
「あぁ、ダクネスお帰り〜。何してたの?」
「あぁ、ただいま…。じゃなく!まずはこれを見てくれ!」
言ってダクネスが俺にアルバムを突きつけた。
アルバムと言うか何と言うか……。
「何だこれ?おぉ?なんだこのイケメンは。ムカつく」
爽やかそうはイケメンが写っていたそれを、無意識の内にぴり……と。
「あぁ!?見合い写真に何をするんだっ!そんな事をしたら、見合いを断る事が出来なくなるだろうがっ!」
ハッ!?
「おぉ?スマン、ついこう……やっちゃった。てか見合い写真?お前結婚すんのか?」
「そうだ!実は前々から見合いは来ていたのだが、ほら、アルダープの奴が行方不明になっただろう?その息子がとっとと自分が継がないと言うことで、見合いを渡して来たんだ、私は嫌だったのだが、お父様が勝手に……。」
狼狽えるダクネスが、オロオロしながら言ってくる。
「確かにアルダープの子か……。嫌だなぁ……。」
「あれ?でもアルダープの息子って確か、あのアルダープの子とは思えないほどの聖人だっていう噂だった気がするのですが。」
なんだ、だったら良かった、安心してダクネスを送り出せる。
「だったら良かったんじゃね?頑張って捕まえて来いよダクネス。」
「正直言って、私は今の暮らしに満足している。それに、私には他に想い人が居るんだ」
そう照れながら告げてくるダクネス、なるほど、確かに好きな人がいるのに、勝手に変な奴と結婚なんて嫌だもんな……。ここは協力してやるか!
「そう言えば、そんなに見合いが来るとなると、ダクネスってそこそこデカい貴族の令嬢なのですか?」
「……わ、私は本名、ダスティネス・フォード・ララティーナと言う。その……。そこそそ大きな貴族の娘だ……」
「えぇっ!?」
めぐみんが椅子から転げ落ちる中、ダクネスが一瞬寂しげな顔をし、辛そうに表情を陰らせた。きっと、今までも名前を名乗り、こうやって驚かれてきたのだろう。
「ふーん、そんなデカい所だったのか、え?俺結構失礼だったけど死刑とかないよね?」
「いやまぁ知ってたけどあれだね、こう改めて告げられるとびっくりするね。」
そんな俺達二人に、ダクネスが驚いたかと思うと……。
「ふ、二人は驚かいのか?いやクリスは女神だし知ってておかしくなないが、カズマはこう、何か思う事はないのか?……。」
そんな不安そうな顔で聞いてくるダクネスに、俺はまるでそれが普通かの如く…
「何だぁ?それがどうしたってんだよ。こちとら女神様がptメンバーだぞ?それともお前だけ特別に扱えってか?嫌だね、お前は俺達のptメンバーであり友達、違うか?」
「……いや、違わないな!」
それはまるで、初めて人に認められた子供の様な無邪気な笑顔だった……。
「良し、ララティーナ、お前のパパ説得しに行くぞ。」
「では、私は用事があるので出掛ますが、帰ってきた時にダクネスが居なかったら許しませんからね?二人共。」
めぐみんは不安そうに何度もこちらを振り返りながら、後ろ髪を引かれる様な表情で出掛けていった。
さて、どうしようか……。
「良しダクネス!一度見合いを受けて見たらどうだ?」
「……どういう事だ?」
俺はダクネスにこんこんと説明した。
今後冒険者をやって行くなら、この際一度見合いを受けてみたらと言う事。
今までは受けずに蹴ってきたのなら、一度受けて見て、一応乗り気ですよ感を出し、パパを少しでも安心させて、もしその相手と見合いをし、ダクネスがそいつを好きになるならそれはそれで良い、と言う事。
ダクネスは少し畝っていたが、それで行こうとの事だって。
因みに今日の昼かららしい……。もっと早く言えよ……。
ダスティネス邸。
街の中央通りに位置するその家は大貴族の名に恥じぬ様相を呈していた
「ほ、本当に?本当にいいのかララティーナ!本当に、見合いを前向きに考えてくれのか!?」
ララティーナ、もといダクネスの親父さんが、ダクネスの手を握り興奮して言ってきた。
ここは街にあるダクネスの実家である屋敷の中。
そこでダクネスが見合いを受ける事を親父さんに報告したのだが。
「本当ですお父様。しかし感謝するならララティーナでは無く、そこの私のptメンバーの仲間である、男に感謝してください……。」
普段と全然違う言葉遣いのララティーナお嬢様に、俺とクリスが笑いを堪えながら肩を震わせていると、ダクネスが顔を真っ赤にしながら説明する。
「き、君がララティーナが見合いに前向きになるようにしてくれたのか?」
わなわなと震えながらこちらに問うララティーナパパ。
「ん〜まぁそうと言ったらそうだし違うと言ったら違いますね。」
そんな曖昧な答えしか出来なかったが、ララティーナパパはと言うと……。
「ほ、本当にありがとう…。君のお陰で長年ララティーナに張り倒される日々を過ごさなくて済むよ……。本当にありがとう!!」
おいおいララティーナお前そんな事してたのかよ……。
「それでもう一つ聞きたいのだが、そちらの女性は?」
そう言ってクリスに目線を示すララティーナパパ、さてどう説明しよう。
クリスは何とかしてくれって目でこちらを見ている……。
「あ〜、それはダクネスから説明した方がいいんじゃないか?」
「それもそうだな……。お父様、この女性は私の初めての友人で、今はptメンバーです。」
「き、君が何時も話していた友人かい?いや〜ララティーナは友人が作れなくてね、君が友人になった日には毎日話していたよ。本当にありがとう!」
そう言い、ニヤニヤしながらダクネスを見るクリス、その目線を受け、ダクネスはそっと目を逸らした。
「いえいえこちらこそ、それよりも、そろそろ見合いが始まるのでは?」
その言葉にハッと思い出したララティーナパパ、すると……。
「それもそうだ!良しララティーナ、準備してこい!お二人は客室へどうぞ……。」
そうして俺とクリスは客室へと招待された。
俺は客室をキョロキョロと見渡していた、すると飾られている調度品の数々に興味が沸く。
そして一際目立つ真ん中に飾ってある絵画?を見た。
ふむ、子供の落書きにしか見えんな……。
「あれ?カズマその絵に興味を持ってどうしたの?」
「いや……絵って難しいな……って。」
「すまない、失礼するよ二人共。」
そういって入ってくるララティーナパパ、用件はなんだろうか……。
「今回の件、本当にありがとう。お礼をしたいのだが、その前に名を教えてくれぬか?」
「あぁ、自分は佐藤和真って言います、後お礼はいいですよ当然の事をしたまでです」
「私はクリス、私もお礼はいらないよ〜。」
「そうか…、ならまた困った時に私の名を使ってくれたまえ!私の名前はダスティネス・フォード・イグニス、以後お見知り置きを……。」
ふむ……イグニスか……かっこいいなぁ、流石王家の懐刀と呼ばれる名に恥じないな。
「それで、イグニスさんは私達に何か用があるんですか?」
「あぁ、実はララティーナはお見合いが初めてでね……父としては余りララティーナに恥を欠かせたく無くてね、それで君達にララティーナの必爺として粗相を起こさないようにしてほしいんだが……どうかね?」
成程ねぇ……まぁ確かに自分の娘に初めての縁談、成功さしたいのは分かる……。
「ねぇねぇカズマ!どうするの?私としては面白そうだからやりたいんだけど……」
おっとクリスさんやい、そんな上目使いで俺を見るのは破壊力がえげつなですねぇ……。
まぁでも面白そうなのは確かだ……ヨシッ!やってみるか!
「う〜んまぁ良いですよ、俺もptメンバーとして彼女の事を心配してるんで!」
「本当か!!有難う!見合いが上手くいったら報酬を出させて貰おう!」
俄然やる気が出てきた!!
「てな訳でダクネス、困ったら俺とクリスに任せろ。」
何処となく不安そうなダクネスにそう告げ、メイド服があまりにも似合い過ぎて相手が内のクリスに惚れてしまうかもしれないと危惧しながらその姿を脳裏に焼き付ける。
「………カズマ、あんまりこっちを凝視するのはやめてくれる…?」
やばいバレてた。
玄関のドアがガチャリと開き、そこからあの写真の男が現れる。
「初めましてララティーナ殿、私はアレクセイ・バーネス・バルター……今日は宜しくお願いします……。」
こうして客間へと移動した俺達は、ダクネスとバルターが向かい合う状態で座り、それを俺達が少し離れた所で見守る形へとなったのだが……
「おいクリス…もうそろダクネスが限界じゃないか…?」コソコソ
「……ねぇカズマ、私耳が弱いからあまりコソコソとしないでくれない?//」
いい事を知れた俺は質問の答えになっていないクリスの事はほっといて…先程からあまり落ち着きのないダクネスを心配している。
「……ねぇねぇカズマ、もうダクネス限界じゃない…?」
ついさっきその話をしただろうに…にしてもダクネスの奴大丈夫か…?いつ暴れても可笑しくないほどにぷるぷると震えてやが((
「ええいッ!まどろっこしいのは止めだ!バルターと言ったな!クラスは騎士なのだろう!?私はクルセイダーだ!そこでお前の素質を見定めてやる!!さぁ、付いてこいっ!」
いきなりとんでもない行動に出たダクネスを俺は止める事が出来なかった。
「勝負はどちらかが音を上げるまで。この私に、こんなのもう無理、お願いこれ以上は許
してと言わせてみせろ!そしてら嫁でもなんでも行ってやるっ!!」
ダクネスが俺達を連れてきた修練場。
その中央でダクネスは、バルターに一本の木刀を投げて寄越した。
それを受け取ったバルターは、困った表情で木刀を一振りさせ。
「えっと……。ララティーナ様、僕は騎士です。訓練とはいえ、女性に剣を向ける事などできません……」
そんなバルターにダクネスは不機嫌そうに顔を顰める。
「なんというフヌケだ、お前は魔王軍に襲われた時に相手の性別が女なら剣を振らないのか?訓練だから何だ!それとも何だ?今の国の騎士は女相手に剣術で勝てないから逃げるのか!?」
その言葉に少し顔を強張らせたバルターは……
「………いくらララティーナ殿でも、騎士を愚弄するのは許せません。だが、私に対してここまで強気にでた女性は初めてだ…俄然貴方が欲しくなったッ!!」
そうしてダクネスへと斬りかかるバルター、初心者の俺でも素晴らしい剣術だと分かるほどに美しかった………が、ダクネスにダメージは入らない。
三十分以上は経っただろうか。
「も、もういいでしょう!もう勝負は見えている!何故諦めないんですか貴女は!!」
終始優勢なのにも関わらず切羽詰まったバルターの声。
実力自体は圧倒的にバルターの方が上だった。
先程からダクネスの木刀はバルターに掠りもせず、逆にダクネスはあちらこちらを打たれそこかしこに痣ができている。
だがダクネスの目は光を無くさなかった。
「どうしたッ!遠慮などせずもっとどんどん来い!徹底出来る強さを見せろッ!」
「………参りましたララティーナ様。僕の負けです。技量で勝っていても心の強さでは貴方に勝てないでしょう……。貴方はとても強い人だ……。」
まるで吹っ切れた顔をしているバルターと、少し不満そうに肩を落とし、それでもバルターに勝った事が嬉しいのか顔に笑みを浮かべたダクネス、そんな絵になる光景を暇すぎて眠ってしまったクリスをお姫様抱っこして見ている俺、そんな破茶滅茶な一日ももう終わりを告げるのだった………。
「そういえばカズマ?と言ったかな、君の手の中に眠っている女性は一体…?」
「ん?あぁこいつはptメンバーのクリスって言うんだ、こいつがどうかしたか?」
「いや…あまりにも綺麗な女性だったので少し気になってね……」
「だろ?まぁ、お前は頑張ってララティーナお嬢様を手に入れるんだな。」
「言われなくても分かってるさ。」
あっぶねぇ……こいつがクリスに惚れたかと思った……やっぱりイケメンは危険な奴しかいねーな!!
後イグニスさん……娘の目合い別に成功した訳じゃないのに10万エリスも贈ってくるのは少し太っ腹過ぎます……。
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