この素晴らしいエリス様と祝福を!あぁ、女神様 2


 『第2章 この右手にお宝【ぱんつ】を!』


「なぁ。クリスってどんなスキル取ってるんだ?」


 あの後4人の翌日の事。


 俺達はギルド内の酒場で、朝食をとっていた俺の目の前のめぐみんは、一心不乱に定食を食らい、ダクネスはそれを心配そうに眺めている


 とても年頃の女とは思えない旺盛な食欲だ…。


「うん?そうだねぇ…私はお宝感知、潜伏、窃盗、敵感知、罠解除くらいかな?」


 ふむ、潜伏は覚えているが、名前を聞く限りかなりこそ泥感強いな…。


「む?カズマはスキルを新しく覚えるのですか?ならエクスプロージョンはどうですか!?私でいいなら幾らでも教えてあげれますよ!!」フンス!


 俺の何気ない一言に、意外な食いつきを見せるめぐみん。そして顔が近い!


「ちょ、落ち、落ち着けロリっ子!そもそもそんなにポイントないから!!」


「ロ、ロリっ子……!?」


 滾るめぐみんは置いといて、クリスに本題を吹っ掛ける。


「てことでさクリス、手軽なスキル何か教えてくれない?」


「うん良いよぉ〜。んじゃご飯食べたら裏路地行こっか!」


 流石クリス様!


ーー場面転換ーー


「では、まずは敵感知と潜伏をいってみようか。罠解除とかは、こんな街中に罠何てないからまた今度ね。じゃあ……、ダクネス、ちょっと向こう向いてて?」


「……ん?……分かった。」


 ダクネスが、言われた通りに反対を向く。


 するとクリスはちょっと離れた所にある樽の中に入り、上半身だけを出す。


 そしてダクネスの頭に、何を思ったのか石を投げつけ、そのまま樽の中に身を隠した……ひょっとして、これが潜伏スキルだとか言う気だろうか…。


「…………」


 石をぶつけられたダクネスが、無言のままスタスタと、ぽつんと一つしか無い樽へと歩いていく。


「敵感知……。敵感知……!ダクネスの怒ってる気配わピリピリ感じるよ!ねぇダクネス!?分かってると思うけどこれはスキルを教える為に仕方なくやってる事たからね!?御手柔らかにああああああああああ!!、やめてぇぇぇぇぇぇえ!」


 隠れていた樽ごと横に倒され、ゴロゴロと転がされ、クリスが悲鳴を上げている、……これで本当にスキルを覚えれるのだろうな…。


「さ、さて。それじゃああたしの一押しのスキルら窃盗をやってみようか。これは対象の持ち物を何でも一つ奪い取るスキルだよ。相手がしっかり握っている武器だろうが、鞄の奥に仕舞い込んだサイフだろうが、何でも一つ!ランダムで奪い取る。スキルの成功確率は、ステータスの幸運値に依存するよ。強敵と相対した時に相手の武器を奪ったり、大事に隠しているお宝だけ掻っ攫って逃げたり、色々と使い勝手のいいスキルだよ!」


 樽ごと転がされ、目を回していたクリスが復活し、窃盗の説明をしてくれる。


 確かに窃盗スキルは中々に使えそうだ。


 しかも成功率が幸運依存って事は、俺の唯一高いステータスを活かせるって事だ。


「じゃあ和真君に使って見るからね?いってみよう!スティールッ!」


 クリスが手を前に突き出し叫ぶと同時、その手の中に小さな物が握られていた。


 それは…。

「あ…。俺のパンツ…。」


 人生で初めてだ…。可愛い女性パンツを奪われる何て、、しかも街中で。


「うぇ!?ご、ごめん…!まさかパンツが取れるとは//」


 う…。危ない危ない、ナニかに目覚める所だった、危うくお金を払う寸前だった。


 そしてめぐみんとダクネス、そんな目でクリスを見てやるな、わざとじゃないからな?

そんな気まずい雰囲気が流れてて、誰が言葉を発さねばと思っていた矢先……。


【【緊急クエスト!緊急クエスト!街の中に居る冒険者の方々は、至急冒険者ギルドに集まって下さい!繰り返します。街の中に居る冒険者の方々は、至急冒険者ギルドに集まって下さい!!】】


 街中に大音量のアナウンスが響く。魔法か何かで音を拡大してるのだろうか?


「おい、緊急クエストってなんだ?モンスターが襲撃に来たのか?」


 そんな不安気味な俺とは対照的に、ダクネスとめぐみんは何処となく嬉しそうな表情だ。


 ダクネスが、喜々とした声で言った。


「……ん、多分キャベツの収穫だろう。もうそろそろ収穫の時期だしな」


「和真君ってそう言えば知らなかったね、この世界のキャベツは………」


 ……何が悲しくて、キャベツを相手に死闘繰り広げなくてはならないのだろうか。


 ……日本に帰りたい、、


ーー場面転換ーー


 ギルドの中で出されたキャベツ炒めを一口食べて。


「何故たかがキャベツの野菜炒めがこんなに早く美味いんだ。納得いかねぇ、本当に納得いかねぇよ……。」


 無事キャベツ狩りが終わった街中では、あちこちで収穫されたキャベツを使った料理が振る舞われていた。


 良い金になるので、結局キャベツ狩りに参加した俺だったが、何だか軽く後悔している。俺はキャベツと戦う為に異世界に来た訳じゃないんだがなぁ…。


「しっかしやるねぇ〜ダクネス!相変わらず硬いねぇ。」


「なッ!硬いはやめろ!!ヘイトを買っていただけだ!」


「フフ!我が必殺の爆裂魔法の前に置いて、何者も抗う事など叶わず。……それよりも、和真の活躍こそ目覚ましかったです。魔力を使い果たした私を素早く回収して背負って、帰ってくれました!そしてなにより背中に安心感がありました!」


「……ん、私がキャベツやモンスターに囲まれ、袋叩きにされている時も、和真が颯爽と現れ、襲いかかるキャベツを次々と収穫してくれた。助かった、礼を言う」


「和真君!私から君に華麗なるキャベツ泥棒の称号を授けてあげる!」


「えぇ、いらねぇ…。」


 流石にエリス様からでもその称号はいらない…。


ーー場面転換ーー


 冒険者レベルが9になった。


 キャベツ狩りでレベルがふたつも上がった事になる。


 俺はキャベツを捕まえただけで、倒しても居ないのに何故レベルが上がるのだろう…。


 そもそもキャベツに何故こんなに経験値があるんだろうか。突っ込むたい所は山程あったが、考えると頭が痛くなるのでスルーしたい。


 そして今手元に3ポイントある分けだが……どうせなら魔法、使ってみたいよね?

と、言うわけで。


「和真和真、私を呼ぶのは願ったり叶ったりですが、初級魔法何て使えませんよ?」


「いやな、本職のめぐみんにさ、魔法を効率良く使う方法を聞きたかったんだよ。」


 そう、この子はこんな見た目でも、核兵器が使える天才ロリっ子なのだ!だから魔法に関しての知識は人一倍あると思う!……多分…。


「ふむ、効率良くですか…。杖を使うのが1番ですが、初級魔法なので要らないですね、そうなるとそうですね…魔法を使う時に手を前に伸ばすのを意識してみては?」


 そうして意識して初級魔法を使ってみると……。


「ッ!少し威力が上がった!?……。」


 やはりこの子は天才だったようだ。

「どうやら上手くいったみたいですね、私の知識が役に立って良かったです。」


「あぁありがとうな!めぐみん。本当にお前は天才だ!」


 そして可愛い!…何て言って引かれたら嫌なんで心の奥に潜めて置く……。


ーー場面転換ーー


「和真!こんな服何てどうかな!!」


 俺はあの後、どうせなら服も買いたいと言うことでクリスと選びに来ている。


 何かめぐみんは友達との約束があるらしい。


 そしてクリスが何故和真と呼び捨てにしているのか、、あの後窃盗の件について謝られて、なら俺の事呼び捨てにしてくれ…。


 それで許すって言ったらこうなった。


「うん。これ安いし動きやすい!すいませんこれ買いまーす!」


 『第3 章この変態剣士に引導を!前編『』


「えぇ冒険者の皆さん、申し訳ありません。最近、魔王の幹部らしき者が近くの廃城に住み着きまして…。その魔王幹部の影響か、こよ近辺の弱いモンスターは隠れてしまい、仕事が激減しております。来月には国の首都から幹部討伐の為に騎士団が派遣されるので、それまではそこに残ってる高難易度のみになります……。」


「魔王の幹部ねぇ。物騒な話だけど、俺達には縁のない話だよな」


「違えねぇ」


 眼の前の冒険者が、俺のやる気無い無責任な言葉に笑いながら同意した。


 冒険者ギルドで駄弁っている連中は以外に多く、面白い話が色々聞ける。


 何処其処で危険なモンスターを見かけたら、暫くはあの辺りでのクエストは受けない方がいいとか。


 あのモンスターは柑橘系の果物の汁を体に付けておぬと匂いを嫌って寄ってこないだとか。


「ま、何にせよ街の北の外れにある廃城には近づかない方がいい。王国の首都でもないこんな所に、何で魔王の幹部様がやってきたのかは知らないがね」


 男に礼を言って席を立ち、俺は自分達のパーティーのテーブルへと向かうと……。


「……どうした?俺を、そんな変な目で見て」


 クリスとダクネスとめぐみんが、テーブルの真ん中に置いた、コップのさした野菜スティックをポリポリ齧り、俺を見ていた。


「ふーん…。随分と楽しそうだっね和真?他のptメンバーと随分親しげだったね?」


「………。」


「何だこの新感覚は?和真が他所のptで仲良くやってる姿を見ると、胸がもやもやする反面、何か、新たな快感が……。もしやこれが噂のNTR!?…」


 えぇ、、ダクネスってそっち方面の人だったのか……。


 そんな事を思いながら、俺はテーブルをバンと叩くと、野菜スティックに手を……。


 ヒョイッ。


「……………だあぁぁぁらっしゃぁああああああ!!!」


 俺は野菜スティックを掴みそこねた手で、今度はスティックが入ったコップごと摑むと、それを壁に叩きつけようと振りかぶり!!


「まぁまぁ落ち着きなよ和真、ほらあ~ん」


「ん、ありがとなクリス」ポリポリ


 おぉ、、上手い…。


「ッ!クリス!今和真にあ~んを…!?」


「ん?そうだけど…駄目だった?」


 何を興奮してるんだこのロリっ子は…。


 今どきあ~んで恥ずがしがってるなんて、、異世界の現代っ子は皆箱入りなのか? 


ーー場面転換ーー


 例の緊急のキャベツ狩りクエストから数日、あの時収穫されたキャベツが軒並み売れに出され、そして、冒険者達にはその報酬が支払われたのだが。


「和真見てくれ。報酬が良かったから、修理を頼んで鎧を少し強化してみた。どうだ?」


 報酬を受け取ろうとする冒険者達によって、酷い混雑のギルド内で、ダクネスが喜々として修理から帰ってきた鎧を見せつけてきた。


「ふーん、中々に様になってるじゃないか!似合ってるぞ。」


「おぉ!そうか。それは良かった!」


 ダクネスが機嫌を良くしてクリスにも聞きに行った…。


 さて、そこに居るめぐみんをどうしようか…。


「ハァ…ハァ…。た、たまらない、たまらないです!魔力溢れるマナタイト製の杖のこの色艶……。ハァ…ハァ……ッ!」


 めぐみんが新調した杖を大事そうに抱き抱え頬ずりしていた。


 今のめぐみんにはあまり関わりたくないので放って置く。


 因みに俺とクリスは100万ずつ稼いだ、正直ギルドのバイトの方が稼げる……。


「……良し!」ボソ


 なにやらクリスが呟いている…と思ったらこっちに来た。


「ねぇ和真!一発ドカンと稼がない?」………










「うーん、幹部討伐ねぇ…。」


 クリスの話はこうだ、女神として幹部を見逃せないのと、どうせなら家を買いたい、でもまだ足りないから幹部倒して稼ごうと……。


 まぁ多分前者が大半の理由だとは思うけどね。


「まぁ折角武器を新調したりしたし、やるだけやってみるか。」


 てな軽い感じで、俺らは魔王幹部を討伐しに行くことになったのだった……。


 『第4章 この変態剣士に引導を!後半』


「てことで作戦はこうだ、まずめぐみんの爆裂魔法で廃城をぶっ壊す…そこで相手が出てきてくれたらダクネスが前線をはり、俺が後ろから弓で撃つ、んで最後にクリスの秘密兵器とやらを使う、これが流れだ。」


 あらかた作戦を言い終わった所で、めぐみんから質問が…


「はい和真!そのクリスの秘密兵器とはなんですか?」


「あぁ、実は俺も知らないんだ。」


「えぇ…。」


 まぁ女神様だしなんとかしてくれるでしょ!(楽観的)


 最悪逃げればいいしね、そこは安心してほしい!


「んじゃまぁ立ち話もなんだし、やってみよう!めぐみんはもう撃っていいぞ」


 そういい、めぐみんは演唱を始める…。


「それでクリス、、その秘密兵器とやらどんなものなんだい?】」


「フッフッフ、それは例え和真でも秘密だよ!」


 どうせエリス様にでもなるんだろう…。


 俺がクリスの正体を知ってるの忘れてないか?


「穿て!!エクスプロージョン!!」


 そういい、大きな爆発音と爆風がくる……。


 さて、開戦と行こうか!そう思っていると、ボロボロになりながら一人の騎士が怒鳴り声を上げて出てきた。


 多分あいつが幹部なんだろう。


「よし行けダクネス!俺は後ろから援護射撃する!そしてクリスは秘密兵器のスタンバイをしてくれ!」


「「了解(した)!」」


「ンソゲキ!ンソゲキ!ンソゲキ!」


 やはりというかなんというか、弓は全然効いてないようだった。


「なんなんだお前らはさっきから!急に爆裂魔法を撃ってきたと思ったら、攻撃を全くしないクルセイダーを寄越しおって!さっきから弓をちくちくと!」


 お相手さんが何か言ってるが気にしない。そしてクリスはまだか?そう思っていると、、


「セイクリッド・ターンアンデッド!」


 そういい放ったと思ったら、相手の幹部が悲鳴を上げている。


 やっぱり秘密兵器はエリス様だったか…。


 それにしてもこんな所でエリス様として出てきて大丈夫なのだろうか?女神が居るとなると騒がれると思うんだが……。


「和真!私が倒したら色々と面倒くさいので、和真が倒してくれませんか!?」


「でもよぉエリス様、俺あいつに決定打もってないぜ?」


 そう、俺は幹部に対する攻撃方法がないのだ、弓は多分効いてない。


「なら……。ターンアンデット!これを今覚えて下さい!」


 ふむ、これならすぐ覚えれてダメージを与えられそうだ!


「よっし!いくぞー!ターンアンデット!」


「うぐ!チッ、、駆け出し冒険者のターンアンデッドなど、効かんに決まってr」


「セイクリッド・ターンアンデット!!」


「うぎゃぁあああ!!」


 なるほど、うーん、となるとダクネスにとどめを刺してもらうしかないな…。


「おーいダクネス!何とか頑張って剣を当ててくれ!」


「私は私なりに頑張ってる!というかそれよりも何故そこにエリス様が!?」


「攻撃当てたら教えてやるよぉ!!」


「よーしその約束を忘れるなよ!」ブン!


 とそんな感じで張り切ったダクネス、さて当たるまでめぐみんに説明でもするか…。


「おーいめぐみん、大丈夫か?」


 ……返事は無い、、ただの屍のようだ…。


「おい勝手に私を殺すな!それよりも、何故こんな所にエリス様が?なんて野暮な質問はしませんよ、多分クリスがエリス様なのでしょ?」


 なんだこのロリっ子、、天才過ぎるだろ…。


 後人の心を読まないでほしぃ…。(切実な願い)


「まぁ所どころ和真がクリスの事を、エリス様って言いかけてましたからね…。」


 ふむ、どうやら原因は俺だったようだ、、しかしそれで気づかないダクネスは鈍感過ぎないか?……、それともやはりめぐみんが天才なのか、、


「多分ダクネスが鈍感過ぎるだけだと思いますよ…。」


 頼むから人の心を読まないでほしい…。(切実な願い)


 とそんな他愛もない雑談をしていると…。


「うぎゃぁあ!」


 と言う悲鳴と共に消え去る幹部が居た…。


「おぉ!ダクネスお前剣当たるんだな!おめでとう!」


「流石に私の事を舐め過ぎではないか?」


 と不満げにこちらを見るダクネス、いや、正確にはいつの間にかクリスに戻ったエリス様を見ているのだろう……。


「………それで和真、、説明してくれないか?」


「いや、それは私からするよダクネス…。」


 そうか…。


 クリスはエリス様って言う事は隠して居たのだ、そして親友にそんな大事な事を隠されていたし、しかもその親友が自分が信仰している神ともなると…。


 びっくりするとかのレベルじゃないからな……。


「ごめんねダクネス…。今まで隠してて、、」


「?何を謝る必要があるクリス。」


「……え?…。」


「例えクリスがエリス様だろうがなんだろうが、親友なのは変わりないだろ?それに、もし私がエリス様だと同じように隠していただろう…。だから何も気にする必要はない。」


「………ありがとうね…。ダクネス…。」


「それに私も身分を隠しているしな」ボソ


 ふむ、良かった、どうやらHappy Endのようだ、こんな展開にしてくれた、名もしらない魔王の幹部さんには感謝しかないな。


 ありがとうな名もしらない幹部さん。


 こうして、クリスとダクネスの友情も更に深くなり、めぐみんはレベルが上がり、俺はターンアンデットを覚え、幹部を討伐し、ギルドに帰るのだった………。

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