遠距離恋愛
🔰ドロミーズ☆魚住
遠距離恋愛
「あー!
「……久しぶり、
「遅い遅い! 遅いったら遅い! 凄く遅い! 全くもう拗ねちゃうぞー? 呪っちゃうぞー? 全くもう! 甲くんが来るまで私はセミさんが鳴いた回数数えて暇潰してたんだよ? ところでセミさん何回鳴いたと思う? 途中で数えるの飽きたんだよね! 責任取って結婚しろやこの野郎! 好き!」
「本当に……遅くなってごめんな」
「許されると思った? まぁ私は性格が大変に素晴らしい美少女なので許してあげるんだよねこれが! で、何で遅かったの? 女? もしかしなくても女? ん? 女か? 私以外の女? 私以外の彼女でも出来た? うわー! 甲くんったらモテモッテ! まぁ、顔良し性格良しの甲くんだから仕方ないね! うん! でもそれはそれとしてなんかムカついてイライラしてきましたので一発呪っとこうかなー!」
「仕事の引継ぎがあってさ。それでどうしても遅くなったんだ。本当にごめんな。お盆には帰ろうと思っていたんだよ」
「ふーん。仕事ねぇ。社会人って大変だねぇ。噂に聞く社会の荒波とやらのおかげで顔死んでるぞー。元気出せー? ほらほら、この超絶美少女の私が応援してんだぞー。出せー? どーした? さっさと元気出せー? 元気出さないと呪ってやりますからねー?」
「確かに毎日きついけどさ……まぁ、給料貰えてこれ準備出来た訳だし、遅れたのは許して欲しい」
「んー? ……うぇ!? は、は、は、は、は、は、花束ぁ……!? え? なに? くれるの? これ? 私に? ……いいの? やったぁ! えへへ、嬉しー! 甲くん好きー! 大好きー!」
「
「セーフセーフ! めっちゃセーフ! そりゃあ乙女なら誰だって1度は夢見ますよ薔薇の花束! だってさぁ? ここら辺じゃ中々咲かないし、見るとしてもキクとかキンセンカとかシオンなんだよ? だから久々に見たなぁ薔薇。別にいいじゃん薔薇! どうせ棘には触らないんだからさー! えへへ、こうして薔薇を貰えて嬉しいなぁ……! こうして貰えるだなんて夢にも思ってなかったから本当に嬉しい……!」
「……覚えてるか? 昔、ここでお前と遊んだ日の事」
「んー? ……あぁ! あったあった! 確か5歳だったけ? うん、めちゃくちゃ遊んでたね! それで大人たちに凄く怒られてさー!」
「確か6歳だったかな? ここで遊んでたら親父たちにすごく怒られたよなぁ。こんな所で遊ぶなってさ」
「えー。遊ぶなって言われたら遊んでしまうのが子供の性じゃない?」
「それをお前は遊ぶなって言われたら遊んでしまうのが子供の性だとかいう屁理屈を並べてさ……。結局また二人でまた怒られて……」
「いやぁ、まぁ、うん。ここで遊ぶのは流石に罰当たりかな? って思ったけどさー。うん。子供の好奇心には誰にも勝てないのです……って、ありゃ? あっ、お父さんがこっち来てる! うわっ、老けてて草だよ草! ふふふっ、ハゲてる……! 髪の毛全滅して、ふふふっ……! って、笑ったら流石に怒られるか。おーい! お父さーん!」
「あっ、
「おぉ、そうでしたか。積もる話もあるでしょうし、儂は席を外した方が宜しいですかな?」
「そーだそーだ! 帰れ帰れー! ハゲは消えろー! 私と甲くんのイチャイチャタイムに水を差すなー! それはそれとして持ってきている和菓子は絶対に置いてね! 美味しければ後でパクパクしてあげない事もありません! さぁ、和菓子を差し出したらさっさと席を外せやハゲー!」
「いえ、外さなくて結構です」
「今日は1人でここへ?」
「えぇ、僕1人だけです。もう京華さんのお墓参りは終わりましたので僕はこれで帰ります。独り言がうるさくてすみません」
「そうでしたか。ですが、こうして墓地まで足を運んで、娘の墓参りをして下さってありがとうございます。死んだ娘も浮かばれる事でしょう」
遠距離恋愛 🔰ドロミーズ☆魚住 @doromi
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