夕焼けよりも綺麗なキミと
柊 夜月
1話目
夕陽が差す音楽室から聞こえてきたピアノの音が聞こえた。
切なく儚いだけどどこか落ち着くような音色に惹かれ気づけば鈴村は音楽室の扉の前にいた。
少し開いた扉から中を覗くと男の子がいた。ピアノを弾くその横顔がとても綺麗で鈴村は目が離せなくなっていた。
男の子は鈴村の視線に気づいたのかピアノを弾く手を止めてこちらを見た。目が合った途端鈴村の鼓動は早くなった。
名前も学年も知らない。ただ、1つ確かに言えること、それは鈴村が彼に一目惚れをしたこと。
「俺の顔になにかついてる?」
「え?!」
突然話しかけられ、鈴村は思わずキョドってしまった。ずっとガン見していたからだろうか。相手も不思議そうに鈴村を見つめる。
「あ、えっと……夕陽が綺麗だなって……思って」
「あぁ、ここから見える景色が好きなんだ。」
必死に言い訳を探し鈴村は窓を見た。そして彼も同じように窓の外を見た。
「あの、僕、1年C組の鈴村冬って言うんだ」
「隣のクラスなんだ。俺は1年B組、東条秋」
暫く続く沈黙に耐えられず鈴村は声をかけた。自己紹介なんていつぶりだろうか。入学した時以来だ。
そして、誰かを好きになることなんてもうないと思っていたのに、こんなにも好きになるなんて。しかもそれが、同性だという事にも鈴村は驚きをかくせずにいたのだ。
夕焼けよりも綺麗なキミと 柊 夜月 @Mayut0806
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