弐話 的前
三年生最後の大会のインターハイ個人予選があった。仮入部の時に話した斜面の中坂哲三先輩が県大会を優勝し、インハイ出場が決定した。二十射皆中(二十本全部的に中てること)だった。実際に試合を見ていたが、ほとんど的心に当てていた。二位の人二十射19中だった。その人は的の中心にほとんど中っていなかった。やはり格が違うのだろう。
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三年生最後の大会が終わって一ヶ月後ようやく的前に上がることが出来た。本来経験者ならすぐ的前に上がれるらしいのだが、斜面だったため正面打起しに矯正していたためだ。しかし、元々経験者なだけはあって上がってすぐに、中るようになっていた。
カァァン パァン
「やっぱ正面だから手の内しっくり来ないけど胴造りが崩れないからいい感じ」
「良かったじゃん」
男子たちはと言うと、、、
「不味いぞ、俺ら男子あの女子に追い抜かれるぞ。てか追い抜かれてるぞ」
「これは不味いですよ、俺らもマジで練習しなきゃやばいな」
「いやぁ、たまげたなぁ。上がって直ぐに中てるじゃん、東野さん」
男子達は焦燥に駆られていた。しかしうちの弓道部の男子特有のあのしゃべり方はなんなだろうか、
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