第133話 お供は守護天使ルイ
皇帝コムゲーン=ジョアーク、死霊魔王ゴルゴンダ、ゴーストキングこと操影のマクドジード、そして大魔王デスジードが帝都リギラウに仕掛けた暗黒結界から現れた大量の死霊モンスターは『
あの『レクイエム』が、とんでもないアルティメットスキルへと進化したのは素直に嬉しい。プリ担当のシェンヒム大司教に教えてあげたなら、弟子の素晴らしい成長ぶりに涙を流して喜んでくれそうだ。
コムゲーン=ジョアークは永遠の不老である為、後継ぎ問題で国が割れるのを避けるために、世継ぎを用意していなかったそうだ。あるいは不老と引き換えに、生殖能力を失っていたのかもしれない。
主を失ったジョアーク帝国の帝国兵は、レジスタンスの求める休戦と武装解除に、半数ほどが驚くほど素直に応じたらしい。どうやら隊長クラスが皇帝の洗脳から解放されたパターンが多いようだ。
残りの徹底抗戦組も、今ではすっかりと鎮圧されて大人しく牢屋に入れられている。
ジョアーク帝国の圧政にあえいでいた一般市民も数多くいた為に、市民に叩きのめされた帝国兵もけっこうな人数がいたらしい。この世界はレベルにジョブやスキルがある世界だから、一般市民もいざ戦闘となればそれなりに戦える者も多い。
レジスタンス主催で、荒れてしまった帝都の住民に帝国の国庫から食料が用意されて、炊き出しが行われる事になった。
市民に皇帝の支配の終わりを印象づける為という思惑もあるので、俺達聖女パーティーも主賓の扱いで一番目立つ帝城の正門前広場へと担ぎ出されてしまっている。
炊き出しでありながら、調理の手間をはぶくために結構豪勢なバーベキュー大会がそこかしこで開かれている。
さすがにこの状況で泥酔するのは身の危険を感じるので、今回は俺達パーティーもレジスタンスの幹部達も誰も酒は飲んでいないのだが、遠慮なく振る舞われている高級肉がとても美味くて大満足ではある。
コムゲーンめ、こんなに美味い肉を毎日食うなんて贅沢しやがって! 肉が憎いのでめいいっぱいやっつけてやる事にした。
挨拶に来る人来る人が、聖女エリーに感謝の言葉を伝え拝んで帰っていく。その度にエリーは、真の立役者はレジスタンスの皆と、
正直それを言うのは辞めて欲しいのだが、エリーは俺と目が合うと、俺にだけ伝わる様にニヤリと悪そうな笑みをして、ホホホと笑う。
あなたも道連れですよ、という心の声がダダ漏れである。そんなエリーもかわいいので俺には止めることができないのだが。
心配してくれていた仲間達に、俺とザックがパーティーを離れていた間になにがあったかを、つぶさに報告したところ、エリーが炊き出しの余興にと俺や、俺や、俺や、俺とレジスタンスの活躍や、ケインとローゼの恋物語をを即興で
それだけでは済まされないので、聖女エリーの浄化の歌の素晴らしさを俺が声高に叫んだところ、聖女コールがなりやまず、しぶしぶ控えめに歌った聖女伝説の歌も、帝都における死霊モンスター討伐の素晴らしい伝説の歌として同時に広まった。
不毛な争いの結果、皇帝の支配のひどさ、レジスタンスの正当性と、聖女エリー、守護天使ルイの伝説が一夜にして帝都中に周知されてしまった。
吟遊詩人としての腕がますます磨かれているエリーの歌って、実は洗脳級にやばいんじゃないかと思ってしまったのは、ここだけの秘密だ。
暫定政府のリーダーは、レジスタンスのリーダーだったフーリオが固辞して、元から帝国民に人望のあったミンクに押し付けた為に元宮廷魔道士のミンクがリーダーにおさまった。
この流れは、少し早まっているがゲーム『ファンサ5』のエンディングで流れてくる物語である為、俺としてもある意味納得の流れである。
そして呪いによる洗脳が解けた元皇帝の右腕、暗黒騎士レオナルドにも嬉しい出会いがあったようだ。フルフェイス型の兜を取った姿は、なんと、どことなくイーリアスに似ていたのである。
カサンドラとイーリアスに引き合わせたところ、暗黒騎士の隠れ里フォルバガードから落ちのびた内の一人で、イーリアスの父ヘレノスの弟の子供であったそうだ。
要するにイーリアスの従兄弟、カサンドラの甥にあたる男だ。
いつそうなったかは分からないが、暗黒騎士の隠れ里の記憶はおぼろげにしかないらしく、イーリアスとカサンドラの事もかろうじて覚えている程度だったが、安否不明だった者同士が再会できた事はとにかくめでたい。
このヘレノス似のイケメン暗黒騎士の名はディーポ=レオナルドというらしい。
彼はレジスタンスに恭順して、共に新たな世直しの為に頑張るそうだ。
キープレイヤーである時魔道士のアルファも無事に取り戻せたことであるし、ようやく本来の目的地、土の大輝石の元へと向かう事が出来るようになった。
いよいよ土の大輝石のある地底世界『ロストワールド』へと突入だ。
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