第132話 聖女伝説

「ぴえぇ〜!」


 ザックが天高く一鳴きした瞬間、俺とザックの間で何かが繋がった!


「ザック!」

「ぴえ!」

 

「アルティメットユナイトスキル、燃えろ体内宇宙コスモ発動!」


 呼吸を合わせてザックに飛び乗る!


 不死鳥フェニックスザックの究極の攻撃、神聖なる浄化の炎を身にまとって体当たりをするスキル『フェニックスウエイブ』で皇帝コムゲーンへと飛翔した!


 激突する瞬間に、極限まで高めた俺のオーラと破邪の剣はっつぁんの限界突破して放出した破邪の力を練り上げて、燃え盛る紅き左手の掌底を繰り出す!  


鳳翼天焼ほうよくてんしょう!!」


 俺の極限まで高めた生体エネルギーと、破邪の力、神聖なる浄化の力を纏った不死鳥フェニックスの羽ばたきが、全てを増幅しながら皇帝コムゲーン=ジョアークの全身に降り注いでいく!


「ウボァー!」


 鳳翼天焼を受けた皇帝コムゲーンは倒れ伏し、ピクリとも動かない。


「ザック! はっつぁん! やったな!」


 別で戦っていたレジスタンスのサリア、ミンク、それにダズー、アルファ、ローゼ、竜騎士ケインが喜びの歓声を上げている。



 

 念の為に皇帝にトドメをさそうとした瞬間、皇帝の周囲が黒い球状に覆われた!


「これは!? 時空魔法『ジゲョン』か!?」


『ファファファファ。我が力を与えし勇者コムゲーンを打ち破るとは、大したものだ。お前が死天王や、死影衆を打倒せし者か?』


「そうだ!」


『我は大魔王デスジードである。お前には我がデスジード城に来訪することを許そう。もっとも、この場を生きて出られたらの話しだがな。死霊魔王とゴーストキングが施した、帝国中のうらみをこの場に集め死霊に変える暗黒結界を突破できると良いがな。ファファファファ』


「暗黒結界!?」


『勇者コムゲーンはもらって行くぞ。まだこの男には利用価値が有るからな。ではさらばだ。ファファファファ』

  

 大魔王デスジードの不気味な笑い声と共に、皇帝コムゲーン=ジョアークは黒い球に吸い込まれ消えてしまった。


 ちっ!

 皇帝を取り逃がしてしまった!


 しかも、暗黒結界に帝国中のうらみの死霊だと!?


 ドガッ!

 バキッ!


 はっ!?

 そうだった!

 まだガルーダと、暗黒騎士レオナルドが残っている!


 まずは……ガルーダからだな!


「ザック! ガルーダから倒すぞ!」


 ザックに飛び乗り竜騎士ケインに加勢して、ガルーダとの戦闘に割り込む。


 ややガルーダ優勢だった戦いは、俺とザックの戦闘参加により一気に俺達が有利に進み、俺のおらおらによりガルーダは光のエフェクトとかした。


『ガルダのしっぽ』を手に入れた!

 

 続けて暗黒騎士レオナルドとの戦闘に介入する。こちらでも俺とザック、さらに竜騎士ケインの戦闘参加でパワーバランスが一気に崩れ、暗黒騎士レオナルドをおらおらしてぶちのめした。


 横たわる暗黒騎士レオナルドの装備した右のイヤリングを、破邪モードとなったはっつぁんが、深紅のオーラの刀身をもって突き刺すと、黒いモヤと共に断末魔の声ようなものが立ち昇った。


「ギャアー!」


 呪いのイヤリングは取り除いた。この後どうなるかは暗黒騎士レオナルド次第だな。




 玉座の間から外が一望できるバルコニーに飛び出してみると、暗黒結界に包まれたジョアーク帝国首都リギラウは、見渡す限りの死霊の海となった。黒い結界は役目を終えたのか徐々に消えていっている。

 

 ジョアーク城内にも死霊があふれかえっている!

 むしろ皇帝へのうらみで一番数が多く、しかも強力なのではないか?


 土の大輝石解放の際に大事なアルファを守りつつ、オーラパンチで次々に死霊モンスターを蹴散らしてゆく。


 俺、ザック、アルファ、ダズーで一組、ローゼと竜騎士ケインで一組、サリアとミンク、それに意識を取り戻した暗黒騎士レオナルドが協力を申し出てくれたので一組となり、それぞれに死霊モンスターを倒していく。


 いつの間にかレジスタンスは、リーダーのフーリオと幹部ガオに率いられてジョアーク城内に突入していたらしく、遠目にだが彼らも死霊モンスターと戦っていたのが見て取れた。


 ジョアーク城内の帝国兵も、レジスタンスとの戦いどころではなくなり、死霊モンスターと応戦している。


 それにしても物凄い数だ!

 

 高位の死霊モンスターも混じっているし、このままでは帝都の一般市民にも数多く被害が出るだろう。


 俺達は城を出て帝都内に繰り出すべきか!?


「ガガッ、ビービー、ルイちゃん! 聞こえる!? もうすぐ帝都に着くけどそっちはどうなっているの!?」


 ダズーのもつ魔導無線機にエリーからの連絡が入った!


「エリー! アルファは取り戻したよ! こっちは今死霊モンスターがあふれて大変な事になっている! おっ! ミューズ号が見えた! 今すぐザックでそっちに行くから待ってて!」


「ザック! ミューズ号まで頼むよ!」


「ぴえぇ〜!」


 ザックにアルファとダズーを乗せてミューズ号に合流した。 

  

「エリー! チョコ! 詳しい話は後だ! やれるかな!?」


「はい!」「ぷえっ!」「ぴえぇ〜!」


 おっ!? ザックも加わってくれるのか!?

 エリー達と何かが繋がったのを感じる!


「「アルティメットユナイトスキル、『主の翼を』発動!」」

  

 俺は背中を丸めつつ、そのままミューズ号の甲板へと背中から転がり込み、天へと『けり』の流星のエフェクトを発生させた。


 エリーを背に乗せたチョコがさらにザックに乗り、ザックが俺の足の裏に飛び乗ったタイミングで、チャクラの癒しの生命エネルギーをザックとチョコに分け与えると、倒立の腕の力も利用して天高くザックを射出する!


 ぐんぐんと上昇を続けながら、俺のチャクラのエネルギーをチョコヒールに練り込んだチョコと神聖なる浄化の炎に練り込んだザックが自身の周囲に癒しと浄化の複合空間を形成する! 


 天頂へと達したザック、チョコ、エリー!


「天空より吹き荒ぶ慈愛と浄化の歌をなんじに与えん! 極・天空愛嵐歌スカイラブハリーケーン!」


 エリーの歌に合わせたチョコとザックの「ぷぇ〜」「ぴえぇ〜」というハーモニーが合わさる事によって、チャクラ、魔法、歌、浄化の炎という四つの異なる癒しと浄化の力が溶け合った、究極のアンデッド浄化の歌が完成した。


 ザックが帝都リギラウの上空、天高くをゆっくりと旋回しながら、まんべんなく飛んでゆく。騎乗しているエリーとチョコ、ザックからの繰り返される慈愛のハーモニーにより、次々と光のエフェクトを発生しながら浄化されていく死霊モンスター達。


 その光景は、まるで神か天使の降臨かのような壮厳さがあった。




 帝城の正門前の大広場にふわりとザックが着地した時には、一体のアンデッドも残っていないようだった。


 まさに究極のスキルだったな。


「エリー、チョコ、ザックおつかれ!」


 ミューズ号をエリー達の隣に寄せて着陸させると、エリー達に労いの言葉をかけた。


「ぷぇ!」「ぴぇ!」

 

「状況はよくわからなかったけど、なんとかなったのかな?」


 エリーが首をかしげているけど、大活躍だったよ! 


 アルティメットユナイトスキルの凄まじい効果を目の当たりにした帝都リギラウの民達が、口々にエリーを褒め称えている。中にはエリーの事を聖女だと拝んでいる者達もいるようだ。

 

 ついにエリーは新大陸でも聖女とまで呼ばれ出してしまった。同じパーティーメンバーとして鼻が高いね!


 

 ――――――――――――――――――――――――――――


 

 ついにジョアーク帝国皇帝を打倒しました。

 

 そしてエリーはジョアーク帝国の版図だった北の二つの大陸でも聖女と崇められる事に……


 明日からは投稿時間を朝の7時24分に戻します。


「面白かった!」

「続きが気になる!」

「ルイパーティーの今後はどうなるのっ・・・!」


と思っていただけましたら


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 目次ページ

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