第78話 腕輪の意味 (第三部序章終わり)

「うちの村の風習では、腕輪を贈るっていうのはプロポーズのサインなんだよ」


「へえ、そうなんだ。……え!? という事はクリフ君は俺に将来プロポーズするから待っててくれって言ったって事!?」


「多分そうだよ。ルイちゃんは凄く可愛いからクリフもルイちゃんの魅力にやられちゃったみたいだね。クリフモオオキナオッパイガスキダッタノカ」


「え〜!? それは困るな。いくらクリフ君が可愛くても俺は男と結婚する気が無いから」


「じゃあ後腐れが無いように、はっきりと断ってあげてね。結婚する気が無いのに、間違っても腕輪を受け取ったり、相手にはめて上げたりしたらダメだよ」


「受け取らないようにはするけど、相手にはめて上げるって言うのは何?」


「そのプロポーズを受け入れますっていうサインだよ」


 あっぶねー!

 

 知らないローカルルールって怖いな。クリフ君とは滅多に会わないだろうからいいけど、これからはゴライアのプレゼントには特に気を付けよう。いつの間にか婚約させられそうだ。


 腕輪をプレゼントか。どっかであったなそういうシチュエーション。

 

「ルイちゃんもむやみに腕輪をプレゼントしたりしたらダメだよ」


「うん、気を付けるよ」


 エリーが俺の顔と体を何度もちらちら見てくる様な気がするのは何故だろうか。


 あっ!


「あの〜、この腕輪って女の子同士でも成立するのかな」 

 

 俺は左腕に装備しているアクセサリー『護る!の腕輪』を触りながらエリーに尋ねてみた。これはかつて俺がエリーに渡した後、エリーの手によって俺の腕に装備された物だ。

 

「他の人の事は知らないけど……多分……」


 自信なさ気なエリーの返事が帰ってくる。

 

 おおぅ……マジか……


「ご、ごめんね勝手に婚約した事にして。俺そういうルール知らなくって。俺が一方的にしたことだから、エリーは無かったことにしてくれて良いんだよ」


「ううん、ル、ルイちゃんは出会った時から私の王子様で天使だったから……出来ればそのままが良い」


 えっ!?


 良いの!?

 そのままでって婚約って事だよね!?


 星の明かりを映したエリーの瞳はきらきらときらめき、少し潤んでいる。前世じゃ知り合うことさえ考えられない程の美しさとスター性を持っているエリーが俺と……俺と、あれ?


 エリーが求めているのは女の子なのかな?


 そうすると男に戻りたい俺の望みとバッティングしちゃうんだけど……どうしよう。エリーの好意は信じられない程に嬉しいんだけど、男に戻れなくなっちゃうのかな。


「エリー、俺の望みは男に戻る事なんだ、だからもしエリーの望みが女の子と結婚する事だったら、俺としては困った事になってしまうんだけど……」


「私は……ルイちゃんが好きなんだよ、男でも女でもなくそこを越えて。だけど出来れば、私はお母さんみたいに自分の子供も産んで、家族で幸せに暮らしたいから……ルイちゃんが男の子に戻ってくれるのを応援するよ」


「エリー……」


 俺はエリーをそっと一度抱きしめてから、もう一度エリーと向き合った。 


「嬉しいよエリー。でも一つだけ懸念があるんだ。俺が男に戻ると今の神様仕様の可愛い姿を引き継いだイケメンじゃなくて、元のおっさんの姿に戻るかもしれない。のじゃロリ女神にもイケてない顔だと言われた平たい顔をしてて、足も短いおっさんに。前世は全然モテなかったし」


 エリーは少しむくれて答える。


「性別を越えて好きって言っているんだから、見た目なんて気にしなくて良いのに……」


「だからさ……男に戻ったらもう一度、今度はちゃんと腕輪を贈るから、その時にエリーが自分の意思で腕輪をどうするか決めてもらっていい?」


「どうするかなんて、もう決まっているけどね!」

 

 エリーが挑発的な笑顔をして言った。


 めちゃくちゃ可愛いんですけど!


 なんか既に幸せだな。


「ルイちゃんが男の子に戻るまで、私もルイちゃん好みに大きくなるよう頑張るから協力してね」


「お、俺は、大きさに拘りなんかないからそのままでも大丈夫だよ」


「大きい胸を見るとデレデレしてるくせに?」


「それはそれ、これはこれなんだよ!」


 その後も他愛のない会話を沢山してから、エリーの家に二人で戻った。間を置かずクリフ君には、腕輪を貰う事は出来ないと丁重にお断りをした。泣かれてしまったが、これは仕方がないよね。この方がクリフ君の為にもなるだろう。


 


 俺は一刻も早い大魔王討伐をこの日見た星に誓った。大魔王デスジードよ、俺のイチャコラ生活を実現する為に、すみやかに倒されて性転換薬をドロップしてくれ。


  


 飛空艇建造ドックで飛空艇技師シュドウに潜水艇建造の依頼をしてから五日目になった。エリーの家族に別れを告げ、一応勇者の様子を確認した後にビーギン村を飛び立ち、モロダジャナ王国へと向かう。


 飛空艇建造ドックに着くと、ジャイアントタートルの甲羅を利用した潜水艇は見事に完成しており、関係者にお礼をした後、シュドウを連れて飛空艇ミューズ号は飛び立つ。


 因みに潜水艇は元々が魔物素材でドロップ品である為なのか、インベントリへと収納可能なのだ。飛空艇は収納が出来ないというのに、だ。世界の不思議はまだまだ沢山あると言える。

 

 次の目的地はズイーブト大陸の東にある、通称カエル島だ。ここでは水の大輝石のある海底神殿で、海月魔王クラーゲンを倒すのに必要なイベントがある。気を抜かずに遺跡を探検しよう。

  

 


―――――――――――――――――――――――――――――



 〜あとがき〜


 ついにメインヒロイン、エリーと婚約(仮w)しました!


 ご祝儀は☆星やフォローでいただけますと、ルイとエリー(と作者)がとても喜びます♪



「面白かった!」

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 と思っていただけましたら


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 面白かったら星3つ、つまらなかったら星1つ、正直に感じた気持ちで、もちろんOKです!

 

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 応援コメントも随時お待ちしております♪


 執筆の励みになりますので、よろしくお願い致します♪    


 第三部の序章が終了しまして、次回からは再び世界各地を飛び回ってファンサ5の世界を攻略していきます。引き続き、応援していただけますと、嬉しく思います。


 次回はみんな(?)大好き水着回でっす♪


 最後までお読みいただきありがとうございました! 


 

 

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