【１４万ＰＶ感謝！】美少女モンクにＴＳ転生した俺はとにかく殴る！たまに蹴る！

第４４話 混合レム

　スノーゴーレムに使った『ボムムの右腕』の効果は大きかった。スノーゴーレムは炎の威力でどろりと溶け、光るエフェクトを放ちながら消えていった。

『火』が弱点属性なのはゲーム通りだったな。良かった。これで一、二回ボムムの右腕を使えば倒せる事がわかったので、スノーゴーレムの脅威度は下がったな。

「シュドゥさんにも『ボムムの右腕』を渡しておくので、スノーゴーレムが現れたらすぐに使ってください。沢山あるので遠慮しないでばんばん使ってくださいね」

「了解じゃ」

　魔法が使えない我がパーティーの人間ユニットに遂に魔法攻撃手段が加わったな。でも、早いとこ本物の魔法系の仲間が欲しいなぁ。そんな事を考えながら再び洞窟を奥へ奥へと進んで行く。

「ぷぇ！！」

　チョコの警戒を告げる鳴き声がした！

　慌てて後ろを振り返ると、エリーを乗せたチョコの後ろからスノーゴーレムが突然現れた！

　まずい！　バックアタックだ！

「デス♪」

　スノーゴーレムの放った即死魔法がチョコとエリーに飛んでいく！

　エリーがチョコから飛び降り、庇うように手を広げた！　エリーに魔法の黒い光線が当たる！

「「エリー！！」」

　エリーに当たったかと思われた瞬間、エリーの装備していたミラーリングが輝く光の膜を形成し、魔法の黒い光を跳ね返した！

　黒い光はスノーゴーレムへと吸い込まれていき、スノーゴーレムはバタリと前に倒れて、光るエフェクトとなって消えていった。

「エリー！　チョコ！　大丈夫か！？」

「大丈夫です！　ミラーリングの効果でちゃんとリフレクトが発動しました！」

「ぷぇ〜！」

　ミラーリングが作動してくれて良かった。

　一瞬、エリーにデス♪が当たってしまったかと思ってヒヤッとしたよ。

　それにしても隠れてバックアタックとは、現実のスノーゴーレムは性悪度がよりアップしていやがるな。次からは油断せずに索敵にもっと力を入れないといけないな。

　今度こそ順調にエンカウントしたゴーレム達を倒しつつ、警戒を強くしながら更に奥へと進んで行く。隠れたスノーゴーレムも、逆に先制攻撃で『ボムムの右腕』で数体溶かしてやった。

　周囲の岩肌の煌めきがより強く、かなり明るい開けた場所へと到着した。遂に最奥に到着したようだ。

　その場を守護するかのように、一体の群青色をした三メートル程のゴーレムが仁王立ちしていた。俺の記憶通りならアダマンタイトゴーレムだ。通称『混合レム（コンゴーレム）』

「皆！　あのゴーレムは仲間を呼んで自分に取り込み、どんどん強くなっていく！　仲間を呼ばれる前に急いであいつを倒すぞ！」

　叫びつつも、猛突進してアダマンタイトゴーレムを殴る！

　ゴゴゴゴン・ゴゴゴゴン！

　硬ったぁ！！

　なんだこの手応えは！？

　文字通り岩の塊を殴っているかの様な手応え！

「かえるの歌！」

　ミス！

　イーリアスも斬る！

　ザガッ！ザガッ！　『斬れぬでござる！』

「むぅ！　硬いな！」

　殴る！

　ゴゴゴゴン・ゴゴゴゴン！

「暗の剣！」

　ザシュ！

　暗の剣のＨＰドレインは効くみたいだな！

「かえるの歌！」

　ミス！　

　やっぱりカエル化はしないか！？

「エリー！　後はすばやさの歌とちからの歌で頼む！」

「はい！」

　アダマンタイトゴーレムも俺達に黙って殴られているわけではない。三メートルの巨体でありながら、その巨体に似合わぬ素早さで様々な攻撃をしてくる。かなりの格闘センスだ！

　すばやさの歌が効いてきた！

　殴る！

　ゴゴゴゴン・ゴゴゴゴン！

　斬る！

　ザシュ！

　隙を見てチョコの『チョコメット』も飛んできた！

　ミニ隕石が突然アダマンタイトゴーレムの頭上に出現し、押しつぶす！

　ゴシャッ！

　しかし何事もなかったかのようにアダマンタイトゴーレムは仁王立ちを崩さない。

「グオオオオーン！！」

　やばい！

　遂に仲間を呼ばれてしまった！

　どこからともなく、数体のゴーレム達がアダマンタイトゴーレムに走り寄る！

「新しく来たゴーレムから先に倒せ！　吸収されるとＨＰも回復されるぞ！」

　皆で新たなゴーレムに集中攻撃をするが全ては倒せず、一体のアイスゴーレムがアダマンタイトゴーレムに辿り着くと、アダマンタイトゴーレムはアイスゴーレムを鷲掴みにし、バリバリと食べてしまった。

「間に合わなかったか！」

　アイスゴーレムの特性を吸収し、ＨＰを回復させ『混合レム（コンゴーレム）』となったアダマンタイトゴーレムが更に大暴れする。

　口から吹雪を吹き出してきた！

　シュドゥがボムムの右腕で吹雪を吹き飛ばす！

　また接近して一からやり直しだ！

　殴る！　　

　ゴゴゴゴン・ゴゴゴゴン！

　斬る！

　ザシュ！

　ある程度ダメージを与えたかと思うと、また仲間を呼ばれてしまった。

「グオオオオーン！！」

　どこからともなく、数体のゴーレム達がアダマンタイトゴーレムに走り寄る！　

「げ！？　スノーゴーレムは絶対に吸収させるな！」

　ゴーレム達に混じって雪だるま君（スノーゴーレム）が笑顔で転がって来ている！

　奴が吸収されたらおしまいだ！

　膨大なＨＰと硬さをもつ即死魔法使いなんてヤバ過ぎる！

『ボムムの右腕』でスノーゴーレムは倒せたが、聖銀ゴーレムが混合レム（コンゴーレム）に吸収されてしまった。

　こちらも致命傷を受けるわけでもないが、敵を倒し切る事が出来ない。　

　一進一退の攻防が続く。

『千日闘争（サウザンドウォ〜ズ）』の様相を呈してきた。

　新たに呼ばれたゴーレムを倒した時、俺のレベルが上がった！

　これであのスキルが使えるか！？

「イーリアス！　黒の剣で混合レム（コンゴーレム）のＭＰを全部吸収して、空にしてくれ！」

「承知！　黒の剣！」

　ザシュ！

「黒の剣！」

　ザシュ！

　アダマンタイトゴーレムは混合レム（コンゴーレム）になっても、スノーゴーレムさえ吸収していなければＭＰはそこまで高くない。空になった頃合いだろう。

　ホークトナックル装備者限定で、レベル９９で覚えるモンクの必殺技をくらえ！

「必殺拳（お前はもう死んでいる）！！」