第43話 レゴ厶の洞窟
飛空艇技師シュドゥを仲間に加えた俺達は、彼にこれまでの経緯をもう少し詳しく聞いてみた。
「このユーフー山に辿り着く直前に、ゴーツ王国軍の一部隊に遭遇してのう、奴ら問答無用で襲ってきおって、儂の仲間やモロダジャナ王国の護衛は散り散りになってしまったんじゃ。皆がわしを逃がして、浮遊石の採掘を託していきおった。」
ゴーツ王国とモロダジャナ王国の仲はかなり悪いというゲーム設定が、そのまま生きているっぽいな。
「今もゴーツの奴らを近づけぬように、ゲリラ戦で食い止めておる。仲間も護衛も皆強いからの、死にはせんだろうがなるべく早く浮遊石を手に入れて、撤退の合図を出したいんじゃ。ところが『レゴ厶の洞窟』に入ると、前は居なかったモンスターがおって困っておったんじゃ」
「シュドゥさんはどのぐらい戦えるんですか?」
「儂は若い頃からオーパーツを求めて数々の遺跡を巡っておるからな、それなりには戦えるぞい。レベルは50ある。わしの武器はこれじゃ」
ステータスやメインウェポンの槍を見せてもらうと、どうやら前衛職向けのステータス構成のようだ。これだけHPが有れば後衛にいてもらって、エリーを守る形で一緒に付いてきて貰えば、そうそう死にはしないだろう。
「わかりました。それではシュドウさん、道中は必ず俺の指示にしたがってください。それからカサンドラさんはここでザックと待機してもらいたい」
俺がそうカサンドラに話すと、カサンドラは素直に頷いてくれた。
「そうね。私は戦闘には向いてないから足手まといにならないように、ここで待っているわ」
「ザック、危険な事があったら昨日の野営地までカサンドラさんを乗せて全力で逃げてくれ」
「ぷえ!」
「イーリアスと俺、エリーはいつも通りで連携していこう。よし、それじゃあ『レゴ厶の洞窟』に突入だ!」
洞窟内はごつごつした岩肌があらわになっており、不思議と壁面が所々青白く発光していてそれなりに明るい。
レゴ厶の洞窟の中に入ってしばらく歩くと、すぐにモンスターに遭遇した。まるで門番かのように仁王立ちするアイアンゴーレムだ。
「アイアンゴーレムだ!いつも通り行くぞ!」
「かえるの歌!」
ミス!
俺とイーリアスが駆け寄ってアイアンゴーレムをボコる。
いつも通り俺はとにかく殴る!
ドドドド・ドドドド!
ザシュ!ザシュ! 『やっと出番が来たぜ~!』
ドドドド・ドドドド!
ザシュ!ザシュ! 『イーリアスまでインベントリに入れよってからに!』
ドドドド・ドドドド!
ザシュ!ザシュ! 『鉄でもスパッと!』
ドドドド・ドドドド!
カシャーン!
硬質なガラスが繊細に砕けるような澄んだ音をたてて、アイアンゴーレムが光のエフェクトと共に消えていった。
「やっぱりゴーレムはHPが高いな。アイアンゴーレムは物理オンリーだけど、魔法を使うゴーレムも出てくるかもしれないから魔法にも気を付けてくれ!」
「はい!」
「承知!」
「わかったぞい!」
「ぷぇ〜!」
『普段から儂に出番をくれ!』
約一名、騒がしいおっさんが混じっているな。そういえば成長したって言っていたっけ。心も成長して、必要な時以外は無言でいてくれないかな。
更に奥へと進んで行くと、ロックゴーレム、サンドゴーレムが出て来るようになったが物理オンリー系のやつは俺たちの敵では無い。
奥に進むに連れ少しずつ気温が下がってきた。アイアンゴーレム、ブロンズゴーレムと撃破しつつ奥に進むと遂にアイスゴーレム、聖銀ゴーレムが出てきた。
「魔法系だ! 気を付けろ!」
俺は叫ぶなり飛び出していき、アイスゴーレムに張り付く。できるだけ魔法を使わせないようにしなければならない。イーリアスも同時に動いて聖銀ゴーレムを相手取っている。
ドドドド・ドドドド!
ザシュ!ザシュ!
「つきの歌!」
エリーが『アルテミスのたてごと』で使用できる歌スキル『つきの歌』で援護をしてくれた。この歌は確率で敵を状態異常『沈黙』にして魔法を使わせないようにできる歌だ。
ドドドド・ドドドド!
ザシュ!ザシュ!
「つきの歌!」
ドドドド・ドドドド!
カシャーン!
まずはアイスゴーレムを倒した!
イーリアスを援護しに、聖銀ゴーレムへと駆け寄る!
物理・魔法両方に高い防御力を誇る聖銀ゴーレムはかなり手強い。だがな、うちには凄いやつがいるのだ。
「イーリアス! 暗の剣だ!」
「おうとも! 暗の剣!」
防御力を無視して問答無用でHPを吸収し削り取っていく暗の剣で何度か斬りつけると、無事に聖銀ゴーレムも倒す事ができた。
更に奥へと進んで行くと、スノーゴーレムが現れた!
この洞窟で一番会いたくない悪魔のような奴。見た目は赤いバケツを被った可愛らしい雪だるまのくせに、即死を含む状態異常系の魔法を乱発してくるとんでもない奴だ!
「魔法系だ! 状態異常魔法を使ってくるぞ!」
俺とイーリアスには装備のお陰で状態異常攻撃は効かない! 急いで駆け寄りヘイトを稼がねば!
「つきの歌!」
「デス♪」
うおっ! 実に楽しそうに即死魔法を使って来やがった!
こっちの射程に入ったな!
モンクスキル『けり』からの接近して連続パンチだ!
ドガっ! ドドドド・ドドドド!
「黒の剣!」
ザシュ!
「つきの歌」
「······♪」
お!? 沈黙したかな!?
ゲームと違ってアイコンが出てくれないから、いつかかっていつ効果が切れるか分からなくて怖いな。
よし、ヘイトを稼ぐ必要が無くなれば······
「『ボムムの右腕』!」
ボン!
アイテム『ボムムの右腕』は上級炎魔法と同じ効果を敵に与える消費型アイテムだ。
やったか!?
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます