第34話 星読の姫巫女 (お風呂回)

 カサンドラが隠し持っていた凶器により、危うく昇天しかけてしまった。


 ゲームでは知ることがなかった情報を、身をもって体験できるなんて、リアルになったこの世界は素晴らしい!


 たまには、のじゃロリ女神に感謝しても良いかもしれない。そういえば、ゲーム情報といえば、イーリアスは亡国の王族の末裔という設定なんだよな。


「イーリアスは王族の末裔なんでしょ? お父さんか、カサンドラさんのどちらかが王族なの?」 


「······それも空想世界の私が語った事なのか。どうやらルイの話は真実で間違いないようだな。その通りだ。母上が、今は亡き小国イデュラ王国の王女だったのだ。父上は暗黒騎士の隠れ里の棟梁家の長だった。父上は隠れ里に攻め込んできた帝国軍との戦いですでに落命している」


 その話題が出た事で、カサンドラの赤い瞳の色がワントーン下がった気がする。聞いちゃいけないことを言ってしまったみたいだな。


 俺の表情を察したカサンドラが薄く微笑んで口をひらく。


「ルイさんは気にしなくても良いのですよ。悪いのは我が国と暗黒騎士の隠れ里を滅ぼした帝国軍ですからね。もっとも、私がリアを授かって力の大半を失う前で、王城に残っている状態だったなら、帝国軍など攻めてきても、王城は陥落しなかったでしょうけれども」


 何やらカサンドラが、怒りを滲ませながらとても勇ましい事を言っている。


「え!? カサンドラさんってそんなに強いんですか?」


「え!? とても非力で弱いですよ? ああ、勘違いさせてしまいましたか。私は主人と結ばれるまでは、『星読の姫巫女』と呼ばれていまして、『占星術』という特殊なスキルを使えたんですよ。残念ながら、その······主人やリアとマナが混じってからは力が衰えたのですが」


 占星術師という事なのか?

 ファンサ5では実装されていないスキルだな。


「私以外では見たことがないスキルなのでご存知無いのも無理はありません。そのスキルを使えば、戦場一帯に渡って私が敵だと認識した相手の運命を強制し、行動不能にすることができるのです。もちろん全員というわけではなく、効かない星廻りの相手も出てきますが」


 なにそれ!?


 めちゃくちゃな力だなそのスキル!!


「今でも占いは得意なんですよ。自分自身にまつわる運命は視れないんですけど、それ以外での事ならかなり当たると評判が良かったんですよ。······あら? なんだか私の中のマナの混じりが少し落ち着いているみたいだわ······石にされている間に何か変化があったのかしら?」


 カサンドラが沈黙してしまった。

 自分の内なる力の事を探っているようだ。


 食事も終わったし、ちょうどいい頃合いか。


「それじゃあ、そろそろお開きにして、この宿屋の名物のお風呂にでも入ろうか」


 この宿屋の凄い所は、一日に五組限定しか取っていない宿泊客の部屋に、部屋風呂が有るのだ。セレブ御用達は値段も高いがやる事も凄い。こんな贅沢はなかなかできないので今回だけかもしれない。のんびりと内風呂を楽しもうと思う。


「皆が良ければ、俺が先に入らせてもらっても良いかな?」


 俺がそう問うと、皆が首是したのでそそくさと風呂場へと行く。石にされていたカサンドラの為と言いつつも、自分へのご褒美も多分に含まれている。グフフ、パーティーリーダーの特権だね。


 身体を洗った後に広い湯船に浸かり、目を閉じて鼻歌を歌っていると、なんだかワイワイとした声が聞こえてきたかと思うと風呂場のドアが開いた。


 何と、俺が入っているというのに、エリー、カサンドラ、イーリアスと次々に風呂場に入ってきた!


 何故か少年漫画のように、肝心な所は湯気に隠れて見えていない。


 え! イーリアスはまずくない?


「イーリアスは一緒に入るのはちょっとまずくないか?」


 俺が慌てて問いかけると、イーリアスが答える。


「なぜだ? 私の故郷では『裸の付き合い』という言葉があってだな、親睦を深めるのに有効な手段なのだぞ」


 その言葉、俺の故郷にも有ります。

 

 でも男女ではちょっとね。と言おうと思った瞬間、湯気がさっと晴れて皆の裸がはっきりと見えてしまった。


 小、特大、······大!


 イーリアスに、む、胸があるじゃないかー!?


「イーリアスって女だったの!?」


「む、失礼な奴だな、私は生まれた時からずっと女だぞ」


「武者鎧の姿だから、ずっと男だと思っていた······」



 

「母上、お背中流しましょう」


「あら、ありがとう。リアが小さい頃には隠れ里でよく洗ってもらっていたわね」


「隠れ里には他所では珍しく浴場が有りましたからね、懐かしいですね。ようやく母上を取り戻せたと実感しています」


「あのお風呂はお父様に頼んで、私が作ってもらったのよ」


「そうだったんですか! 流石は母上! お姫様は違いますね!」


「あら! そんなからかいを言うなんて、リアが成長してくれてとても嬉しいわ」


「もう私は、大人になりましたからね。母上が石にされた時は10歳でしたから······」


 再開した母娘の、心温まるとても良い光景が俺の前で繰り広げられている······裸で。


 俺、このままここにいて良いんでしょうか?


 笑う度に、二人してプルプルしているんですが······




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 平日は朝の通勤通学時間帯に毎日更新を致します。


 イーリアスとカサンドラのステータスです。


名前∶イーリアス=イデュラ=レオナルド

性別∶女

年齢∶23歳

職業∶ダークナイト

レベル∶61


HP∶5347

MP∶555

  

力  ∶320

体力 ∶320

素早さ∶258

器用 ∶186

知性 ∶248

精神 ∶248

運  ∶40

 

装備

 右手∶破邪の剣

 左手∶平氏の盾

 頭 ∶平氏の兜

 体 ∶平氏の鎧

 足 ∶平氏のすね当て

 アクセサリー①∶平氏の小手

 アクセサリー②∶鬼面


スキル∶暗の剣、黒の剣、暗黒、自爆




名前∶カサンドラ=イデュラ=レオナルド

性別∶女

年齢∶30(+13)歳

職業∶星読の姫巫女

レベル∶18


HP∶125

MP∶144

  

力  ∶19

体力 ∶19

素早さ∶38

器用 ∶60

知性 ∶60

精神 ∶60

運  ∶20

 

装備

 右手∶タロットカード

 左手∶水晶玉

 頭 ∶シルクのベール

 体 ∶シルクの服

 足 ∶シルクのスカート

 アクセサリー①∶誓いの指輪

 アクセサリー②∶ヘッドドレス


スキル∶占星術・星運停止(現在使用不能?)

システム外スキル∶占い

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