第32話 チョコ座

 このままでは全滅する!


 一旦『けり』で大きくイーリアスを吹き飛ばして、蘇生の隙を得ようとした瞬間!


 ザックと何かが繋がった!


 そのまま『けり』のモーションで流星のエフェクトを発生させつつ······


「ザック!」


「ぷえっ!」

 

「アルティメットユナイトスキル、燃えろ体内宇宙コスモ発動!」

 

 流星のエフェクトの中にザックが飛び込み、更に俺がザックに騎乗する!


 ザックのチョコラッシュの勢いを重ねた俺達のスピードは音速を越えた!


 パンチの究極連打!


チョコ座スチョコザス流星拳りゅうせいけん!!」


 ドオォーン!!! 


「ぐはぁ!」


 チョコザス流星拳をまともにくらったイーリアスは吹っ飛び、大扉に激突した後倒れ伏してピクピクと痙攣けいれんしている。


 今のうちにエリーとチョコを急いで蘇生させないと!


 慌ててエリーに駆け寄り、レベル65で覚えたモンクの蘇生スキル、その名も『蘇生』を使い、戦闘不能状態から復活させる。続けてチョコも同じ様にして復活させた後に、俺のチャクラと、ザックのチョコヒールで全員を回復させた。


 はっ!?


 のんびりとしてはいられない!


 イーリアスは逃げ足がとんでもなく速いんだった!


 大扉の方向をバッと振り向くと、ちょうどイーリアスが立ち上がったところだった。


「くっ! 急用を思いだした!! 必ず戻って来るか······」


「破邪の剣!!」


 逃げられる前にと、イーリアスのセリフに被せるように慌てて声をかけ、インベントリから破邪の剣を取り出しイーリアスへと掲げた。


「なん、だと······!?」


「本物の破邪の剣だ!」


『ぷはぁ! やからインベントリはあかんって言うたやろ!』


「今良いところなんだから、破邪の剣は黙ってろ!」


『そ、そんなに怒らんでもええやん······』


「今、何か妙な声が頭に響いたんだが······」


 破邪の剣の声を聞いてしまったイーリアスが、胡乱うろんげに首を傾げている。


「本物の破邪の剣は、インテリジェンスウエポンなんだ。意思のある武器だから、念話で話しかけてくる」  


「そうだったのか······いや、そんな事はどうでもいいか。たった今まで戦っておいて、こんな事を頼むのは非常識だということはわかっている。だがあえて頼む。本物の破邪の剣ならば、あらゆる呪いを断ち切れるはず。少しだけ私に貸してはもらえないだろうか」


 イーリアスが頭を振りながら俺に頼み事をしてくる。俺の返事はもちろん決まっている。


 はい。か、積極的なイエス! かだ。


「良いよ。どうせ俺達は装備できないから、貸すなんて言わずに、破邪の剣はあげるよ」


「そうだろう、普通断るだろうな。わかっているさ。だが、ここは絶対に引けん! 腕ずくでも、もらっていくぞ! 第二ラウンドだ! ······えっ!? 今なんて?」

 

「え!? ああ、貸すなんてまどろっこしい事は言わずに破邪の剣をイーリアスにあげるって言ったんだよ」


「信じられん······良いのか!?」


「もちろんだ、ほら。その剣で俺達に斬りかかるのはやめてくれよ」


「そのように恩知らずなことはしない」


 俺が差し出した破邪の剣をイーリアスは受け取ると、しげしげと眺めている。

 

 あっぶねえ〜!!


 第二ラウンドはまずいよ。アルティメットユナイトスキルを閃かなかったら、負けていたかもしれないんだ。勝てるかどうかわからない戦いを、またやるなんてごめんだぞ。 


『小手越しじゃなくて、素手で握ってもらいたいなぁ〜』


 駄剣がまた余計な事を喋り始めた。お前、ホントに呪いを断ち切れるんだろうな。嘘だったら叩き折って海の底に沈めるぞ。


 おそらく、聞こえてきた声にビクリとしたんだろうな。イーリアスが驚きながらも自分のインベントリから石像を取り出した。


 母親かな?


 持ち歩いていたんだね。


『おっ! その石像から強烈な呪いの臭いを感じるで! その呪いを斬りたいんか?』


「ああ、私の母上だ。なんとしてでも呪いを解きたい。出来るのか?」


『わしにかかれば朝飯前やで! わしが合図したら呪いに向かって剣を振るうんや。心臓の辺りやで』


 破邪の剣がそう言うと、にわかに柄頭の聖魔石が、白い光と黒い光をグルグルとかき混ぜるようにして輝き出した。それと共にガード部分にある赤い宝石が一層紅く輝き、刀身が紅色の光をまとった。


『よし! いつでもええで。切っ先がギリギリかするくらいで、わしを振り抜くんや!』


 その言葉に導かれる様に、イーリアスが石像に向かって剣を振るう!


 刀身の先が、実体を持たない紅の光の剣と化して伸び、石像を断ち切った。 


 石像と化した中の人間まで真っ二つか!? と一瞬思われたが、石像自体はなんともなく、黒いモヤのようなものが浮き出てきて、断末魔の声のような耳障りな音が聞こえ、その後霧散した。


 石像が急激に色を取り戻していく。


 ついには一人の人間となった。


「母上! ご無事ですか!?」


「私を母と呼ぶあなたは、もしやイーリアスですか?」


 イーリアスが鬼面をはずし、素顔を母親に見せる。


 褐色の肌をした物凄い美形だ。初めて見たな。


「ああ、やはりリアでしたね!」


 そういうなり、母親はイーリアスの事を抱きしめた。イーリアスも抱きしめ返し、感動の親子の再会がはたされた······


 

 

 しばらくの間、抱きしめ合っていた二人だが、イーリアスが抱擁をとくと俺達に話しかけてきた。

  

「まさか母上にかかっていた魔王の呪いを解くことができるとは······もう一度お前の名前を聞かせてくれ」


 俺か?


 俺の名はチョコ座チョコザのルイ。

 聖女めがみエリーを守る、守護天使セイント☆おねえさんだ。


 なんちゃって。


「俺の名前は、ルイ。こっちはエリーだ。チョコザのチョコとザック」


「エリーです」


「「ぷえ!」」



「そうか。ルイ、お前は私を仲間にしたいと言っていたな。それがお前の望みか? 私を仲間にして何をするつもりだ?」


「俺達は、魔王討伐の旅をしている。そのパーティーメンバーになって、一緒に魔王を倒すのを手伝って欲しい」


「魔王か······奴らにはでかい借りがある。良いだろう。恩人の頼みならば否とは言うまい。これからよろしく頼む」


「あぁ、よろしくな!」



 

   

 ――――――――――――――――――――――――――――



 あとがき

 

 スペシャルサンクス 花京院依道さま

 

 チョコザス流星拳のアイデアは、近況ノートにて聖騎士の読み方募集をしていた時に、聖闘士の話題が出た事によって閃きました。


 本作のコメント欄でも毎回お世話になっております。ありがとうございました♪

 



 遂に念願のイーリアスを仲間に加えることに成功しました······


  

「面白かった!」

「続きが気になる!」

「今後どうなるのっ・・・!」


と思っていただけましたら


 目次のページ

https://kakuyomu.jp/works/16818093077952549761


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面白かったら星3つ、つまらなかったら星1つ、正直に感じた気持ちで、もちろんOKです!

 

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あとがき内上記の近況ノートはこちらです。


https://kakuyomu.jp/users/okigen/news/16818093079128459912

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