第28話 疲れた時はお風呂に入ろう!
カエル状態の勇者パーティーの三人に、さんざん指でツンツン、グリグリしながら説教をした後に、アイテム『乙女のチッス』を使用し、カエル状態を解いて回復してあげた。カエルじゃなかった白魔道士ネアもちょうど気絶から回復したところだ。
「もう俺とエリーに、絡んでくるなよ! それと今の仲間を大切にしろよ。」
「「「ゲコッ!」」」
慌てて口を押さえるアイス、ゴライア、ローザの三人。カエルの時間中にしていた返事が染み付いてしまったみたいだね。
特にローザはかなり憔悴している感じだ。さっきの戦闘では、俺達を殺す気マンマンで魔法を放ってきていたからな。仕返しではないが、多めにツンツンしておいてやった。
俺達がギルドを去ろうとすると、ゴライアが俺を呼び止めて、近付いてきた。
「今回は負けたが、ルイ、お前をまだ諦めたわけではないぞ。必ずや肉体でお前を上回って妻にしてみせる!」
「あー、ゴライアには残念な話だが、俺は男を好きになる事も、男と結婚する気も無い。だから諦めてくれ」
「ゲコォ!?」
振り返って今度こそギルドから去ろうとすると、ギルドの玄関にラゴウ=メカイデカ伯爵が、待ち構えてていた。
「そんなに慌ててどこに行こうというのかね。さあ、私にも冒険譚を語ってもらおうではないか。さあ! 風呂と食事と寝台の準備はできているぞ。さあ、我が屋敷へと来てもらおうか。さあ! さあ!」
サアサアうるさいなこの伯爵は。卓球選手か!
ん!? お風呂か。あの素晴らしい環境にはもう一度浸りたいな······勇者パーティーのせいで疲れたし。 エリーの方をみてみると、エリーもオッケーらしい。元々貴族の誘いはそうそう断れないんだっけ。
メカイデカ伯爵の勢いにおされて、伯爵邸で晩餐に招待された俺達は、食事をいただきながらヴィクトリア聖国での出来事を身振り手振りで語ってきかせた。
一通り語り終わり、食事も一段落したところで、メカイデカ伯爵の熱い視線がエリーへとそそがれた。
なんだ!?
いくらイケメンお貴族様とはいえ、エリーはやらんぞ!?
「それでは、一曲ご披露いたします」
俺が訝しんでいると、エリーが曲を奏でだした。
あ、そういうことなのね。
わくわくするようなリッチ討伐の冒険譚だ。
いつの間に歌を作っているのだろう。吟遊詩人の
相変わらず、そうとう美化されている所があったけど、素晴らしい歌だった。
「素晴らしかったぞ、エリー! まだ他にも歌は有るのか?」
リクエストされたエリーが、次々に奏で始める。
俺への美化が凄い事になっている。
恥ずかしくて赤面してしまう。
次は聖女誕生の瞬間だ!
あれ!?
ちょっとちょっとエリーさん、聖都上空の大量のアンデット退治の歌がやけにあっさりしてない?
もっとプリップリな歌でいいと思うんだけどな。
何なら変身したことにしても良いくらいなのに······
俺への美化が極まった歌との対比が······でも凄くいい歌に仕上がってるね。俺の事もおさえめで作ってくれないかな。
アンコールで最後に歌ったワイバーンキング討伐の歌は、当事者の俺でさえ手に汗握る展開になっており、盛り上がりは最高潮となった。
本当にいつの間に、こんなに沢山の歌を作っているのか。
謎だ。
伯爵様がエリーの歌に満足してくれたので、お待ちかねのお風呂タイムだ!
この世界では珍しいお風呂!
日本人はやっぱりお風呂だね!
「それではお身体を洗わさせていただきます」
ん!?
湯着をまとった綺麗なお姉さんが、またもやいつの間にか背後に立って石鹸を泡立てていた。
今回は事前にお断りしていたはずなのに······
「いえ、自分で洗えますので······」
「前回は、とても喜んでいただけましたので私から伯爵様にお願いしたのです。さあリラックスしてそこにお座りください」
え〜!?
結局されるがままに全身泡だらけにされて、洗われてしまった。洗っていくたびにお姉さんの湯着も濡れて透けていくので、ついつい目で追ってしまう。
そしてこれまた、いつの間にか隣ではエリーも洗われていた。もちろん、すっぽんぽんだよ。
続いて全身マッサージまでされてしまった。めちゃくちゃ気持ちいい〜! お姉さんのお胸が当たってくるんだよ。
お姉さん、わざと押し付けてきてない??
お風呂はやっぱり最高だね!
翌日になって、伯爵に見送られながら伯爵邸を出発した。
伯爵は今日は勇者パーティーを呼んで、冒険譚を語ってもらうらしい。昨日のうちに段取りをつけていたそうだ。どんだけ冒険物語が好きなんだこの人は。
お風呂で元気いっぱいになった俺達は、チョコザの本気走りにより、わずか一日でナイヤチ村まで辿り着いた。
早速『チャモ爺さん』事、ナイヤチ村の村長シロー爺さんの家に訪ねて行くと、チャモ爺さんは、病に
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