第15話 エリーの最強装備

 チョコザのザックにまたがり、ジャイアントタートルにむかって、大地をかける!

 

 巨大ガメ狩りだ!

 

 近づくにつれてその大きさに圧倒される。

 

 目測だが25メートルプールよりも大きいんじゃないか!? 30メートル位だろうか? 体高は7メートル程か。


 でかい!

 

「エリーかえるの歌だ!」


 ミス!


 ミス!


 ミス!


 やはり無理だったか、じゃあ仕方ない。


 とことん殴り合おうじゃないか!


「みんな! 後は作戦通りに頼む!」


 ある程度近付いたところで、ザックから飛び降りる!


 まずは俺がヘイトを稼がないと、他のみんながやばい。俺以外はうたれ弱いからな。


 ダッシュで近づき、とりあえず前足付近を殴る!


 ゴンッ!!


 硬った〜!!!


 え!? こんなに硬いの!?


 まるで岩を殴っているみたいだ!


 自分の拳が心配になるが、ステータスで強化されているせいか、拳が壊れるということはなさそうだ。


 とにかく殴る!


 殴る!


 殴る!


 ジャイアントタートルは頭や手足、しっぽを引っ込めているが、ときおり体から出して反撃してくる。それがカメのくせに意外と素早く動く!


 だが、素早さでは俺が圧倒している為、危うげなくよけられる。そこは事前シュミレーション通りだ!


 オーラパンチ!


 ゴンっ!

 

 オーラパンチ!


 ゴンっ!


 オーラパンチの方が、一撃の威力は高いはずだが、効いている感触はない。やつにとっては誤差でしかないのか!?


 身体がジョジョに軽くなってきた!


 エリーのすばやさの歌が効いてきたな!


 ここからはずっとおらのターンだ!


 オラオラオラオラおらー!?


 ズゴゴゴゴゴッんっ!!


 〜!?


 効いてる?


 ねぇ、効いてる?


 よっし! 力も上がってきたぞー!!

 

 オラオラオラオラおらー!!


 ズゴゴゴゴゴッんっ!!


 もしも〜し!


 カメさん!


 カメさんよ〜!


 ズゴゴゴゴゴッんっ!!


 効いてる?

 

 ひたすら殴りながら。わけのわからないことを考えてしまった。いかん! 集中しなければ!


 殴る!


 殴る!


 手応えはめっちゃあるんだけど、HPを削れている気配がまるでない。効いてはいるんだろうけど、やはり硬すぎる!


 ジャイアントタートルがひっくり返った!


 高速回転攻撃だ!


 エリー達は大丈夫か!?


 初見ではやばそうだ!


 ダッシュでひいてエリー達の盾となる!


 きた!

 高速回転からの尻尾攻撃だ!


 ドゴン!!


 うお〜!!


 受け止めたのにふっ飛ばされてしまった!


 HPがやばい! チャクラ!


 ザックからチョコヒールもきた!


「チョコ! 今の回転攻撃よけられそうか!?」


「ぷぇ!!」


「よし! じゃあ次からは回避してくれよ!」





 もうどれぐらい戦い続けているのだろう。


 ひたすら殴る!


 カエルの時みたいに腹の中から殴れないかとも考えたが、カメはかみつき攻撃もしてくる。口の中に飛び込んだら餌になるだけだろうな。チャレンジするのは怖すぎる。


 殴りながらも思考はやめない。


 できるだけ効率よくダメージを叩き込まないと!


 ん!?


 高速回転攻撃もだいぶ目が慣れたし、この方法でいけるか!?


 次の高速回転攻撃の時に······


 よしきた!


 タイミングをあわせてジャンプ!


 むき出しの腹の上に着地して殴る!


 ズゴン!!


 今のは効いたな!


 確かな手応え!


 それでも腹も硬い!


 殴る!


 殴る!


 回転攻撃が終わり、通常状態に戻る前に飛び降りる!


 よし! これでいこう!


 



 何度目かわからないが、腹の上にジャンプ!


 からの殴る!


 まるで某ゲームの配管工の赤い帽子のおじさんみたいだ!


 いかん!

 またくだらないことを考えてしまった!


 集中してオーラパンチの連打だ!


 ドドドドドドっゴン!!



『カシャーン』


 硬質なガラスが繊細に砕けるような澄んだ音をたてて、ジャイアントタートルが光のエフェクトと共に消えていった。 

 

 つ、ついにやったぞ!


 長い長い闘いだった。


 ある意味、ラスボスよりも手強いんじゃないのか!?

 


『ジャイアントタートルの甲羅』、『護る!の腕輪』を手に入れた!


 ジャイアントタートルの確定ドロップだ!


 よっしゃ〜!!


 つ、疲れた!


「みんなお疲れ様! ありがとう!」


「ついに倒しましたね! レベルも凄く上がりました!」


「「ぷぇ〜!!」」


 チョコザ達は勝利のダンスを踊っている。よっぽど嬉しかったんだろうな。まあ、嬉しくないやつなんかいないか。俺も嬉しい!


 駆け寄っていって、チョコとザックを抱きしめ、最後にエリーを抱きしめる。


「エリーの歌はほんとに凄いよ!」


「そんな! ルイちゃんの方が凄いよ! あんなに大きなジャイアントタートルにほとんど一人で立ち向かって!」


「それはパーティーの役割分担なだけさ。それよりも、見てよこれ! この『護る!の腕輪』こそがエリーの最強装備になるんだよ! はいエリー」


 俺がエリーに『護る!の腕輪』を手渡すと、エリーが自分にはめようとしたので、それをとめる。


「あっ! 違う違う、それを俺の腕にはめてほしいんだ」


 疑問に満ちた顔をしながらも、エリーは俺の腕に『護る!の腕輪』を装備してくれた。


『護る!の腕輪』は装備にかかわった対象者を、自動で物理攻撃や単体魔法攻撃から庇うアクセサリーだ。これを装備したことでエリーが登録され、かばう対象となる。


 つまり······『カチモン』の俺が鉄壁の肉の盾となる。


「エリーの最強装備、それは俺!」


 俺の決めゼリフを聞いたエリーは、なぜか赤面していた。




  

――――――――――――――――――――――――――――――


 

 第15話で第二章が終わりとなります。


 閑話を挟んで、次章、第三章は、魔王の呪い編となります。

  

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